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わたし、柚。ロングの巻き髪がトレードマークで、よく大人っぽいって言われる。恋の話題になると、まりや美奈よりも「余裕あるよね」って言われがちだけど……。
実際のところ、そんなに余裕なんてない。
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「柚はさ、好きな人とかいないの?」
まりにそう聞かれたのは、ちょうど教室の窓際で夕陽が差し込んでるときだった。まりはいつもみたいに元気そうだけど、目だけはちょっと真剣。最近、まりは恋のことを考えてるみたい。美奈も慎重ながら興味はあるみたいだし、二人とも少しずつ変わってきてるのかも。
「うーん、どうだろ。」
わたしは笑ってごまかした。
***
正直、わたしにも気になる人はいる。でも、それを言葉にするのはちょっと怖い。
だって、口に出した瞬間、ただの「気になる」じゃ済まなくなる気がするから。
わたしはまりや美奈みたいに「まだわからない」とか「慎重に考えたい」とか、そんなふうに言えたらよかったのかもしれない。でも、もう自分の気持ちはなんとなくわかってる。でも、だからこそ簡単に言えない。
「柚は余裕あるよね。」
まりがぽつりと言った。
「……そう見える?」
「うん。」まりは笑う。「でも、柚もちゃんと悩んだりするんだろうなーって思うけど。」
まりの言葉に、少しだけドキッとした。
「……かもね。」
そう言って、またごまかす。
本当は、もうちょっとだけ、素直になりたい。
でも、それはもう少し先の話。
***
**柚の恋が動き出すのは、もう少し後のこと。**