これはとある一夜の話なんだけどよ。まだ、おれ達がメリー号に乗ってた頃の話だ。
「お、もうこんな時間か…そろそろ、寝るかな」
ウソップ工場での一作業を終えたおれは、あくびを噛み殺しながら男部屋へ向かっていたんだ。
──その時。
「…っ、てめぇ…重ぇんだよ……!」
「はぁ!? 誰のせいでこうなったと思ってんだ、クソマリモ!!」
……倉庫の方角から、何やら不穏な声が聞こえてきたんだ。
「おい……! 動くなっつってんだろ、バカ!」
「テメェこそじっとしてろ!!……っ、うわあああ!?」
ガシャーーーン!!!
──やべぇ物音がした。そこで、おれさまは咄嗟に倉庫の方へ走ったわけさ。
「何やってんだ!」
扉を開けた先には!変な取っ組み合いの形になってるサンジとゾロがいたんだ
近くに割れた酒瓶とワインでびしょびしょになってるゾロの上にサンジが乗っかてるみたいな…
いや、本当の話だぜ!確かにおれはよく嘘つくけどよ。大マジだ。 おれが扉を開けた途端に、二人がこっちを見上げてた。
「ウソップ…?」
おれは、一瞬固まった。
いや、そりゃそうだろ! 目の前にはワインまみれで床に転がってるゾロ、その上にこれまた酒臭いサンジが乗っかってる。しかも、二人とも妙に真剣な顔してこっちを見てんだぞ!? これでツッコむなって方が無理がある!!
「……お前ら、何してんだ?」
とりあえず冷静に聞いてみた。そしたら、サンジが舌打ちしながらゾロを指さして言いやがった。
「こいつが悪ぃんだよ! おれがせっかく新しいワインを仕入れてきたのに、勝手に飲もうとしやがって…!」
「ハァ!? テメェがトロトロしてるから、先に味見してやろうと思っただけだ!」
「お前が飲んだら“味見”じゃなくて“消費”だろうが、クソマリモ!!」
「うるせぇ、クソコック!!」
……また始まったよ、こいつらのケンカ。
おれは思わず頭を抱えた。いや、どう考えてもワインまみれになってるお前らの方が問題だろ!? ていうか、そもそもなんでそんな絡まり合うような格好になってんだよ!!
「で、なんでゾロが床に転がってんだ?」
「……あー、その…」サンジが少し視線を逸らす。
「こいつがしつこく動くから、押さえつけようとしたらよ」
「そしたら、おれの足引っかけて一緒に転んだんだよ! んで、酒瓶が割れて……まぁ、こうなった。」
ゾロがぼやきながら、酒まみれのシャツを引っ張った。ワインのせいでいつもより酒臭いし、なんかすげぇ面倒くさいことになってる。
おれは溜め息をついて、手をひらひらさせながら言った。
「……とりあえず、シャワー浴びてこいよ。めっちゃ酒臭ぇぞ、お前ら。」
「チッ、おれのワインが……」
「くそっ、着替えんの面倒くせぇ…」
二人はまだブツブツ言いながらも、ようやく起き上がった。すると、ちょうどそのタイミングで──
「ん? なんだ、なんだ?」
ルフィの声が聞こえた。
──ヤベェ。
振り向くと、すでに興味津々な顔した船長がこっちを覗き込んでいる。しかも、後ろにはナミとチョッパーまでいるじゃねぇか!?
「おいおいおい、何があったんだよ!」
「うっわ、酒臭っ!! あんたたち、何やってんのよ!?」
「ああっ!? ゾロが血を流してるぞ!! だ、大丈夫か!?」
「いや、ワインだよ! 血じゃねぇ!!」
──おいおい、こりゃ収拾つかねぇぞ……。
あのあと、解散してサンジとゾロが風呂場に行くとこまで見送って倉庫で掃除したんだっけなぁ…いやー、そのあとあいつらに何があったかはしらねェけどよ?
次の日の朝、妙な距離が空いてたこと
おれは忘れねえぜ。ま、一日たちゃ元通りだったけどな!
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こんにちわなりきりしませんか?