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先日噂で聞いた花畑だ、
「其の花畑に行った者は誰しも帰ってこないと云う」
本当に只の噂だ。
でも、私は行きたくなった。導かれてる気がしたんだ。
そして私は今、此処に居るのだ。
本当に不思議な所だ見るもの全てが可笑しい
秋の此の季節に合わない花々。珍花の数も異様だ。
そして、一番不思議なのは_
翠の瞳の少年だ。
花畑の上にゴロンと寝転がっている彼は妖精か何かなのか、
そう思えるほど美しく人間とは思えなかった。
此方に気づいた彼と目が合った。其れだけで倒れてしまいそうだ。
「ねぇ君、お菓子を持ってない?」
ハッとし直ぐにポッケに手を突っ込んだ、
案の定ポッケは空。私は普段菓子を持ち歩く様な人間じゃない。
ないの~、とムッとする彼は随分幼く見えた。
「すいません…あ、あの名前お伺いしても宜しいでしょうか…?」
「僕?僕の名前は江戸川乱歩!」
開いた其の薄目が美しくて眩しくて、消えてしまいそうだった。
「_君の名前は?」
彼はいつの間にか彼は私の顔を覗き込める程の至近距離に居た、
「だっ、太宰…です、」
「へぇ~太宰!」
私の名を呼ぶなり嬉しそうにする彼が愛おしい、
その後、彼は自分の身近な話を語って呉れた。
自分が孤児で在ったこと、ちゃんと大人で成人してること、拾って呉れた方が亡くなったこと、
嬉しそうな顔も切ない顔も全てが、全てが愛おしい。
きっと彼の全ての仕草が私にとって毒なんだ_
この毒で私は今、生きているような気がして堪らなく幸せだった。