「 わああああ!! 」
思わず、口が開いてしまった。
私はそのあと、ルーチェさんがいつも朝食を食べている場所へと向かった。
意外とたくさんの人がいて、びっくりしちゃったな…。
ここはどうやらお城みたい。やっぱり、本で見た悪役令嬢…みたいな感じ。
目の前にある、美味しそうな朝食。いつも、あんな朝食だから、人一倍に感動してしまう。
「 お嬢様、今日は機嫌が良いのですね 」
メイドのナナさんが声をかける。
「 ええ、少し今日はいい気分なのよッ 」
少し、お嬢様の言い方にも慣れてきたみたい。
それならよかった。
「 いただきます… 」
できるだけ礼儀正しく、食べ進める。
お嬢様ってこんな感じだよね…?
ふわっふわっのオムレツを口に運ぶ。
すると、とろけるような優しいたまごの甘さが口の中に拡がった。
「 んんんん 〜 ♡ 」
声にならない喜びが出る。
美味しすぎて…涙が浮かびそう。
私の苦手な野菜でもとんとんとんとん食べれた。お嬢様の生活ってすごいなあ…と改めて感じる。
私の顔をじっとみて隣の少女が声をかけてきた。
「 ルーチェちゃん、どうしたの?いつもこんな感動しないじゃん。なにか変な薬でも飲んだの? 」
その少女は白髪がとっても綺麗で、星空のような瞳だった。思わず、きゅん…としてしまう。でも『ルーチェ』の演技をしないと…。
「 そうなのよ〜嫌だわ、今日変なことしちゃうのよ〜 」
私はその少女の肩をぽんぽん叩いて笑う。
「…怒らない、おかしい。」
と少女は、ぼそっと呟いた。
いつもルーチェさんは怒り気味なのかな?馬鹿にされるのが嫌なのかな?…私変なことしたよね?
「 ふふっ、これから暴言は吐かないって決めたのよ〜 」
誤魔化すように笑ってみると、「 そうなんだね〜 いいじゃん 」と笑顔で返してくれた。…この子のことなんて呼べばいいんだろう。名前…分からないや。
「 ルーチェちゃん、よければ一緒に学校行かない? 」
「 がっ…こう。 」
つい驚いて声が出てしまった。
この世界にも学校があるなんて…。
「 いいわよ〜大歓迎っ!一緒に行きましょ! 」
…こんな風だよね、ルーチェさんは…。
「 ありがとう、ルーチェちゃん! 」
彼女はぎゅっと私の手を掴んで、一緒に学校へ向かった。
学校までの道は、彼女の後ろについて行ったらなんとなーく分かった。
つくと、立派な学校だった。…まあお嬢様だから当たり前だよね。ドーン!と大きく立っている学校に思わず目が開いた。
「 さっ行こ? 」
「 うん… 」
私は緊張しながらも門に足を入れる。
近くに学校名が書いてあった。
『 魔法学校 ラベンラー 』
なんてオシャレな名前…。ってな魔法!?
私は魔法を使うためにここに来たってこと!?
やだ、無理。どうしよう。
私はぶるぶると足が震えた。
…通りすがった生徒の声を聞き取る。
「 令嬢様のルーチェ様とミア様がご一緒してるわ… 」
「 挨拶しに行った方がいいんじゃない? 」
「 無理無理、ルーチェ様に睨まれる 」
ふーん、隣の子の名前は、ミアって言うんだね…。
ってか、今、私に睨まれるって言ったよね。
ルーチェさんってそんなやばい存在なの!?
嫌だな…そんな存在に見られるなんて。
せめて笑顔で明るく挨拶をしないと。
「 おはようございますわ、! 」
声が裏返りそうになった。
手も震えていた。
でも、みんなは気にせず
「 ルーチェ様…今日機嫌いいみたいね… 」
という事実に驚いている。
「 ふんっ、そうなの〜今日の朝食美味しくてさ〜 」
やばい…あっちの世界の口調で話しちゃった…バレませんように、バレませんように。
そしたら、ミアは口を開いて言った。
「 そうなの、ルーチェちゃん今日めっちゃ朝食に感動してたもん! 」
と自慢げに言ってきた。
「 そうなんだねー 」
と生徒たちは教室へ向かった。
わ〜緊張する。魔法上手く使えるかな?
「 皆様、おはようございますだわ! 」
ドアを丁寧に開けて挨拶した。
「 ルーチェちゃんおはよー 」
みんなは支度しながら私の挨拶を返す。
あっちの世界だと挨拶なんかしたことないし、返されたこともないのに…。
少し、嬉しくなってしまった。
授業が始まった。
幸い、ルーチェさんのノートを見ながら魔法を使えることが出来た。でも、先生には
「 今日はあんまりだな、 」
と言われてばっかり。
まあそうだよね、仕方ない仕方ない。
でも、うんと怒られた。
「 こんなんで、魔女になれるかと思ってんのか!魔女試験ももう近くなってるんだぞ!なのに、こんな下手くそな魔法使いやがって。舐めてるんですか??? 」
私はくっと言葉を抑える。魔女試験…、もし入れ替わりが続くのであれば、私が魔女試験をしなければならないのか…。
ズンと気持ちが落ちる。
「 すみません…。今日、調子乗ってたわ…。 」
と頭を下げて謝った。
「 確かに、今日のルーチェはおかしかった。いつもならみんなのことをからかっていじめていたのに…。 」
「 ッッ!? 」
ルーチェさんって“いじめっ子”だったの…?
私はどちらかと言えば“いじめられっ子”の方の立場…。
真逆だ。そんなんで、いつものルーチェさんでいられる物か…。
ありえない。いじめるなんてこと出来ない。
「 そうなんですよ、今日はおかしいんです。なので甘めに見てください… 」
「 …正直関係ないんだけどな…仕方ない、今日だけな。」
と許してもらえてなんとか平気だった。
今日もねむりにつくときはぐっすりだった。
でも、また白い床もないあの風景だった。
目の前には私が居た。
私は口を動かしても何も聞こえない。
2人は近寄ろうとして、声を上げた。
「「 また…入れ替わっちゃうの? 」」
朝起きると、本当の私の光景だった。けれどもすごく部屋が片付いてた。
もしかして…中身がルーチェさんの私が?
少しありがたくなってしまった。
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