何回見たかわからない、きっと親の顔より見たであろう、オークションネタを書いていきます!⚠️アニメ勢ちょっとネタバレあり!!!
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「さぁ!本日の品はあの恐ろしい種族、自戒人です!」
気づいたら俺は
「さっそく始めは500万ロンドからです!」
闇オークションに出品されていた。
(どうしてこんなことに……?!)
遡ること数時間前……
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ドットは休日、久しぶりに街に出かけていた。最近は何かと忙しく、街に出るのも何週間ぶりだったので楽しみにしていた。
「えーっと、茶葉とお菓子、それから雑誌だな」
と、買うものリストを事前に作ったりもしていた。そういえば雑誌のマップでこっちの方が近道だということが書いてあったことを思い出したドットは、少し薄暗く、人通りも少ない道を通って行先の店に向かうことにした。
「んぐっ?!」
気がつくと背後には数人の男がいた。気がつかなかったドットはハンカチに染み込ませた睡眠薬を吸い込んでしまい眠りについた。
そして、目が覚めると序盤のようなことになっていたのだ。
(ここどこだよ?!ってか、手足も拘束されてるし杖もないし!身ぐるみ剥がされてるし?!)
「2000万!」
「3500万!」
ドットは驚きと焦りでいつの間にか跳ね上がる自分の金額に気づいていなかった。その間にもいかにもお金持ちそうな者もいたり、新聞で顔を見たことがある政治家のような者もいたり、客層は様々だった。
(う、どうすれば……)
「5億だ」
一人の声によって会場がざわめいた。
「5億、だと?!」
「え、あの人……どっかで?」
男はベネチアンマスクで顔半分は隠れており、誰かは分からなかったが、風貌からして学生とだけはわかった。男はコメットブルーの綺麗な髪をしていて、ローブを翻しコツコツと足音をさせながらステージに近づいた。
「ご、5億で落選です!!!」
5億なんていうふざけた額で落選されたドットは呆然とした様子で男の様子を探っていた。
「帰るぞドット」
その聞き覚えのある声、仮面をしていてもわかる滲み出るイケメンオーラ。
「……は、?!ランス?!」
どうしてお前がここにいるんだ、と問いかけようとする前にランスはもうこのオークションの開催者の男に杖を構えて
「グラビオル」
と唱えていた。男はぐあっ、という呻き声を出すばかりでどうすることもできなかった。
「え、あれって神覚者のランスクラウン?!」
「本物めっちゃイケメンじゃん」
そんな女性たちの黄色い声が会場に響く中、ステージの上ではランスが余裕そうに警備やら開催者のグループの男たちやらを次々になぎ倒していった。
ある者は骨が軋む音が聞こえ、ある者は内蔵が押しつぶされ血を吐く者もいた。会場内の半分はさすがにやりすぎじゃ……とも思ったが、闇オークションに自分が参加している以上、何も口を出すことはできず、ただただ見ていることしかできなかった。
最後の一人も圧倒的な差で倒し、その直後、事前に呼んでいたであろう警察などが入ってきて、無事事態は収まった。
ランスはすぐさまドットの元へ駆け寄り、拘束や足枷を外していった。
「はぁまったく、あんな奴らに攫われて。肝が冷えたぞ。」
「あ、ほっぺ血ついてる」
ランスは自分の頬を擦ったが、血も何もつかなかった。ドットは自分が取る、とでも言うようにランスの頬を掴み血を拭っている間に、ランスの唇に軽くキスをした。
「油断しただろ〜、ま、ありがとってことで!」
と、軽いノリで言ったドットだったが、肝心のランスはと言うと、はぁ、と溜息をつくばかりだった。あれ、もしかして嫌だったか?と心配になったドットだったがその心配は要らなかった。
「お前、帰ったら覚えとけよ……」
ランスは顰めっ面を浮かべていたが、確かに射るような目でドットを見つめていた。
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