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人の心なんて分からなかった俺が知らない感情を抱いたら、雛鳥である俺が親鳥のなぎちゃんに相談するのは至極当然の仕組みで、生徒会室にて話を聞いてもらっていた。
【俺は、雲雀のこと好きなのに、雲雀は別に好きな人がいて。】
今の俺はすごく無様だと思う。。大きな体をソファに丸めて小さな子供のようにぐずっているのだ。こんなところ誰が綺麗なんて思うんだろう。俺の奇行になれているはずの凪ちゃんでさえ表情を困惑の一色で染めあげている。
【叶わないなんて最初からわかってるんだよ。わかってるのに諦めきれないからこうなってるんだ。】
想っている人が既に結ばれていたなら祝福してあげるのが普通の人ならする行動なんだろうな。でも俺は普通なんかじゃないからその想いを捨てきれずに持っちゃったんだ。それがあとから大きな重しになることなんて知らずに。
【俺は誰の一番にもなれないし雲雀の一番になんてなれやしない。どうしたら俺だけに見てくれるのかな、友達の1番だって奏斗だし、恋愛なんてもってのほか。俺に勝ち目なんてないよ。】
最近も最近になって、しかも凪ちゃんを通して知り合った俺の事なんてただの友達ぐらいで眼中になんてないに決まっている。そのうえ恋愛対象までなろうとするなんて傲慢がすぎるだろう。
【も、やだよ。俺あいつが仲良くしてるの見たくない。】
これ以上を望むなんてそれこそ高望みなんてわかっているのに、本能に埋め込まれたものに抗うことなんてできなかったよ。なに、言い過ぎだって?
【こんなの醜い嫉妬なんてこと、とっくのとうに気づいてるよ。】
初恋は叶わないなんてよく言うけど、その通りだね。たくさんの命を散らして希望を奪ってきた俺が幸せになろうとするなんてダメだったんだよ。
【足抜けなんてしなくてもいい。俺は最初からこうなる運命だったんだ。凪 ちゃんだけでも幸せになってね。バイバイみんな。あとくだらないひとりごとに付き合わせちゃってごめん。】
そういって、俺はみんなとの関わりをなくした、足抜けのことなんて無かったことにして。時々声をかけてきたけれど必要最低限の言葉だけ交わしてこの学園を去り、暗殺業に戻った。どこかで君が足抜けをしたって言う噂を耳にしたよ。良かったね。それと同じくらいの時期に想い人が結婚したという噂も聞いた。心がズキズキと傷んで、まだ諦めきれてないんだと自嘲する。
なんで、なんで助けに来るの? 俺はそこにいちゃダメなんだから。俺の目に映る君たちはあの頃よりも成長していて顔つきがたくましくなっている。そりゃ、3年もすれば変わるか。俺だけがあの頃よりも退化している。腰まで伸びた髪は桜色から真っ黒に塗りつぶされて、動くようになった表情筋だって1ミリたりとも動かない。こんな俺が隣にいるなんてふさわしくない。もっと世の中にはいい人がいるから、そのことを伝えたら悲しそうな顔をしていた。なんでだろうね。
【好きだったよ、雲雀】
もう会うことは無いだろうけど。君がいてくれただけで俺の心は確かに救われてたんだ。いまさら言ったって遅いけど、それでも伝えることは大事だから。