わんくっしょん
バレンタインの話(knsr、rurb、kikt、wntt)
※左不在、後編r18(未定)
※こちらはnmmn作品になっております。
ご本人様とは全くの無関係です。
文が拙い、ちぐはぐな部分がありますが脳内変換していただけると幸いです。
地雷の方は自衛のため、お戻りください。
knsr
ガラスを挟んで奥に見えるオレンジ色。
レシピ通り綺麗に膨らんでいるのを確認し、よし…と頷く。
2月14日。
世間ではバレンタインとどこもかしこも大賑わいで買い物にいけばお菓子作りの材料や大量のチョコが棚にずらりと陳列していた。
花びらのような桃色に染まった頬を緩ませ、商品を手に取っては悩む女の子たちを横目にかく言う自分も仲間であり恋人の奏斗に渡そうと奮闘しているのだ。
ミトン越しに伝わる熱に気をつけ、焼けたそれをオーブンから皿に移す。
爪楊枝で刺して何も付かなかったため、ちゃんと中まで火が通っているだろう。
甘い匂いを漂わせ、ほんのりと焼き色がついたカップケーキを丁寧にラッピングし並べる。
「これは凪ちゃん、こっちはひば。そんでこっちが」
奏斗。
奏斗のはちょっと特別でチョコチップの他に食べると中からチョコが溢れ出てくるのを作ってみた。
渡すお菓子にはなんとか的なことを前に見たことがあり、そういう意味も込めている。
「喜んでくれるといいな」
なんて心配する必要のないことをぼやきながら太陽のような黄色のリボンをそっとなぞった。
カップケーキ:あなたは特別な人
rurb
バレンタインということもあってか人で賑わう店のショーケースを眺めては悩みを繰り返し、朝早くから来ていたのに気づけば昼になっていた。
デカいハート型のチョコがあったが少食の彼では食べきれないだろうし、かく言う自分もあまり甘いものは得意じゃない。
気分転換に本屋で特集されている雑誌を探すのもありか、と方向を変えた。
本屋へ入ると予想通り、入口付近に専用のスペースが設置されていたのでありがたく思いつつ、パッと見て気になった一冊を手に取って開く。
「うーん…」
レシピやおすすめの店舗などが載せられたページをぺらぺらとめくる。
渡すものによって意味もあるらしくマシュマロやグミなんかは貴方が嫌いという好意を伝えるバレンタインには最悪の意味合いがあるようで。
余計に頭を悩ませる。
難しい、るべち頭パンクしそうなんですけど。
うんうん唸りながら飛ばし飛ばしに次々とページをめくり、最後の方のページで手を止める。
「あ、これいいかも」
小さくカットされた木のようなケーキ。
ふんわりとした優しい甘さで残ったとしても美味しく食べられる。
あげるのも意味的にもこれがピッタリだ。
あとは鈍感な狼が気づけるかどうかだが、まぁ良いとしよう。
ふふん、と本を戻すと上機嫌に色とりどりな甘い匂いの場へもう一度足を運んだのだった。
バウムクーヘン:幸せが続きますように
kikt
任務を終えた頃、オレンジに染まった空にだんだんと夜の帳が下りる。
バレンタインのいざこざから生じた呪物の対応に追われ、痴話喧嘩に巻き込まれ散々な1日だった。
なにが悲しくて惚気けるカップルの間に挟まれなければいけないんだ。
「ん…?」
疲労で重い身体に鞭を打ち、ラーメンでも食べにいこうかとネオンの街並みを歩いているとふと古い看板の店目に止まった。
こんなところにこんな店なんてあっただろうか。
記憶にない店に首を傾げつつ、ショーウィンドウから少し覗いてみる。
くすんだ硝子の窓から見える店内は懐かしさのある雰囲気で惹かれるままにOPENの文字が掛かった木製の扉を引いた。
カランカラン、と音を立て中へ足を踏み入れれば不思議と祖父母の家へ来たかのような感覚に引き込まれる。
棚に飾られた置物やハンカチ、お菓子など色々なものが並べられている。
見たところ、どうやら雑貨屋のようだ。
個性的と言うべきか不細工と言うべきかなんとも言えない見た目の置物にくすりと笑みが零れる。
透き通った硝子の簪や手触りの良いハンカチなどを手に取り見ていると、お菓子が並べられた棚にふと考えつく。
ジャムが入れられているものより一回り小さな瓶に詰められた真ん丸の砂糖菓子をカウンターに持っていく。
あいつ甘いもの好きだったよな、なんて緑の彼を思い浮かべながら。
「これ、お願いします」
キャンディー:あなたのことが好き
wntt
「アッヅッ!!?」
熱々の電子レンジから取り出したばかりのバトンに触れてしまった手をぶんぶんと振り、水道をひねる。
2月の冷たい水に手を引っ込めそうになるも爛れるのは嫌でひんひん泣きながら流水で冷やす。
赤みが引いた頃合に水を止め、薄らと痛む手の具合を見てみれば軽い火傷だったようで安堵と疲れを孕んだため息を零した。
「なにやってんだマジで…」
ここ数年片思いをしていた彼と先日晴れて結ばれ、浮かれて変に張り切った過去の自分を恨む。
料理が苦手という訳ではないしある程度できるとは思っている。
しかしお菓子作りとなるとまた別で難易度が格段上がる。
分量やら温度やらなにからなにまでが難しいのに関わらず何を思ったのかその中でもマカロンなんて難しいのを選んだのだ。
まぬけすぎる。
もう諦めて市販のにしてしまおうか。
「いや。がんばれ、佐伯イッテツ」
落ちた気分を上げるため頬を叩き、己に喝を入れる。
ところどころ焦げている中から綺麗なのを選び、慎重に作業を再開する。
付き合って初めてのバレンタイン。
美味しいって喜んでくれる彼を見るのだから。
マカロン:あなたは特別な人
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