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rbru 殺人表現あり 歪な愛
「小柳くん、俺人殺しました」
淡々と言う星導に対し、俺は動揺を隠しきれなかった。人を、殺した。所々服には血がついていて、顔にも返り血が飛んでいた。そんな綺麗な顔に物騒なもの付けんなよ。包丁を持っているわけでもない、殴ったとしても手袋にもっと血がつくはず、かと言って崖から落とせば返り血はつかない。どう考えてもループに陥るから、俺は星導の返り血を擦って落とした。
「どうしてほしいんだよ」
そう言ったとき、星導は待ってましたと言うように食いついた。
「ごめん小柳くん、一緒に埋めて」
ぞわっと背筋が凍る。一緒に埋めるということは共犯になってくれということだ。一応恋仲関係にあるとしても、さすがにこれは…。ふと彼の顔を見れば俺の目を真剣に見つめていた。その目が、なんとも愛おしくて。やってはいけないとかやったらよくないとか、そんな言葉より、彼の願いを叶えたいと思ってしまった。
「……死体、どこにあんだよ」
「だいぶ埋まりましたね〜、これで大丈夫かな?」
スコップを地面にドスッと落とし体重をかけた。現在、3時6分。真っ暗で人間なら何も見えないだろう。人間なら。
「てか、なんで人なんか殺したんだよ、恨みでもあったん?」
何気なく聞いた。でもその何気なくがよくなかったのかもしれない。星導はにんまりと不気味な笑みを浮かべ、こう言った。
「この前小柳くんのしり、触ってたんですよコイツ。小柳くんはなんか当たったかなくらいだったと思うんですけど、愛してる恋人にそんなことされたら誰だって怒るじゃないですか。だから触手でぐちゃぐちゃにしてやりました。」
軽く触った程度でそこまでする星導は、どれほど俺を愛しているのだろうか。傍から見れば歪んだ愛かもしれないが、俺にとっちゃ真っ当な愛で向き合ってくれていると思えて幸せ極まりない。星導は埋めた達成感からか、俺に触ったやつを埋めたからか、俺に向かって優しく微笑んだ。なんていう人と付き合ってしまったのだろう。綺麗で取り込まれそうな見た目に、中は嫉妬心でぐちゃぐちゃの醜い獣。
「…好きだよ、星導」
一瞬固まった星導の隙をつき、初めてのキスを落とす。ああ、なんて生臭いのだろう。星導からは血の匂いもする。それでも、俺を愛してくれている証拠だ。このままふたり、夜明けに溶けていきそうな初キスを迎えた。