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side宇賀神玲
「うーん、自殺…でしょうか…?」
綾乃が言います。
「何故そう思うんですか?」
僕は聞きます。
「だって、室内に荒らされた形跡はないですし…
それに、遺書もある以上は…」
「いいえ、これは自殺に見せかけた他殺です。」
僕はキッパリとそう言いました。
「…何故なんですか?」
「これを見てください。」
「これ…?
パソコンに何かあるんですか?」
「このマウスの位置ですよ。」
「マウスの位置…???
普通に見えますけど…
普通はパソコンの右側に置きますよね?」
綾乃が不審そうに言います。
「普通はね。」
「わかりません。
わかるように説明してください!」
「全く頭が鈍いですねぇ。
良いですか?
今マウスを操作したところ、左右のクリックが反対に設定されていました。
これを設定するのはね、そう、左利きの人なんですよ。
なのに、マウスはパソコンの右側に置いてあった。
これは、犯人がマウスを元の位置に戻したのでしょう。
つまり、犯人は亡くなった東雲一郎氏が左利きと言う事を知らなかったのです。」
「なるほど!
じゃあ、東雲一郎氏の娘の美佳さんと、弟の良吾さんは犯人から外れる、という訳ですね!?」
「まぁ、そうなるでしょうね。
実の娘と弟が左利きを知らなかったとは考えにくいですからね。」
僕は言いました。
となると、怪しいのは弟の奥さん東雲佳代さんと、娘さんのお婿さん相根号さんですかね?
「この2人に左利きを知っていたかどうか確認してみましょう。」
僕は言います。
「え?
お義理兄さんの利き腕ですか?
さぁ?
知りませんけど…」
東雲佳代さんは答えました。
「え、お義父さんの利き腕?
右じゃないんですか?」
こちらも黒っぽいです。
つまり、今のところ容疑者は2人。
さて、どちらなのか?
一旦僕たちは部屋に戻りました。
「うーん、わかりませんねぇ…
どっちが犯人なんでしょう?」
「エッチしたらひらめきそうなんですが…」
「有り得ません!」
何で決めつけるんですか!?
愛の力は偉大だって言うじゃないですか!?
「もう、事件なんてどうでも良いです…」
「何言ってるんですか!?
弁護士でしょう!?」
「弁護士の前にオトコなんですよっ!」
「そ、そ、そんな事見れば分かります!」
「分かっていません!」
僕たちはその日結局喧嘩して、別々に寝ることになりました。
あー!
イライラして眠れません!
♦︎♦︎♦︎
翌朝。
歯磨きしてたら、ふと、疑問が浮かびました。
あの遺書!!!
「綾乃!
あの遺書!」
「へ?
何のことですか?」
「東雲一郎氏が残した遺書のデータ見せてください!」