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あれから3日たった。ハーマイオニーが伝えてくれた。シリウスが死んでしまった。最初は何かの冗談だろうと思ったが、どうやら本当に…殺したのは、ベラトリックス・レストレンジ。あの時、わたしがとどめをさせていれば…死の呪文、死の呪文さえ使っていれば、死ななかったはずなのに…ひたすら自分を呪っても、後悔しても遅かった。
『アリス、ちょっときなさい。』汽車が発車し始める時、わたしはニーファを乗車員に渡していた頃、ダンブルドア自らわたしを呼び止めた。ローブのフードをかぶっていたのになんでバレたんだ。そういう思いでダンブルドアを見つめると、ダンブルドアは微笑みながら、言葉を連ねた。『儂はまず、君にお礼を言いたいのじゃ。』『わたし、何もできてません。』ダンブルドアの言葉を遮り、たとえその行動が愚かだとしても、わたしは言いたかった。『シリウスさんを救えなかった。あの時わたしは…わたしはベラトリックスをあと少しで……殺せる、ところまで追い詰めたんです。だけど、死の呪文を放つという考えがなかった。だから、わたしの、せい、でシリウスさんは死んだんです。』わたしは半ばしゃくりあげながら言葉を連ねた。そうだ。自分のせいでシリウスは死んだ。躊躇、恐れ、悲しみ…どんな言葉で取り繕ってもどんな言葉で着飾っても足りない。わたしのせいなのだから。ダンブルドアは首を振った。『いやいや、それは間違った考えじゃ。アリス、君は最後にヴォルデモートがハリーを乗っ取ろうとしていたじゃろう?君はその時、何をした?その様子を黙って見ていた?いや、違う。君はハリーを抱きしめ、自我を取り戻させようと必死じゃった。君はそんな臆病者ではない。』わたしは…その、わたしは…』どうしても言葉が出てこなかった。『それともなんじゃ?君は、英雄が失われるのが怖かったのかね?』『いいえ、違います!友達が、ハリーが、いなくなることが嫌で…怖くて…それで…』ダンブルドアは頷き、わたしを見据えた。『君はやはり勇気がある。その気持ちを持ち、ハリーを救ったのじゃ。その思いは無くしてはならん。…アリス、その気持ちを何と呼ぶのか知っておるか?』やはり言葉が出ず、立ち尽くした。『愛じゃ。友情なるものの。君は、ハリー、ロン、ハーマイオニーを何を投げ打ってでも助けたいと思っておる。君は臆病ではない。勇気ある優しい子供じゃ。』それを聞いた途端、わたしの目から涙が出てきた。ずっとずっと溜めていた想いが溢れ出した。声をつまらせ、わたしは咽び泣き続けた。ダンブルドアは優しい笑顔でわたしを見つめていた。たまらなく、優しい目で。
しばらくして落ち着くと、ダンブルドアはまた口を開いた。『そして…君は…尻尾が見えておる。セブルスの薬品庫から一体何を取ったのだね?』『あっ、ち、違うんです。アイツ…ヴォルデモートはわたしに死の呪文を放ちました。それがこの結果になりました。意味がわからないです。』わたしはローブの端から少し出ていた尻尾を隠しながら言った。またもやダンブルドアは微笑みを浮かべ、『いやいや、冗談じゃよ。なんせ、少し微笑ましかったのじゃ。君の尻尾じゃが…おそらくそれは君の魔力を具現化したものじゃ。』わけがわからない。わたしが口をぽかんと開けていると『左様。驚くのも無理はない。君の父…シークが死ぬ前に、君に施した秦裂の呪文じゃ。これは呪いが体に当たる前に呪いそのものを切り裂き、効果をなくす呪文じゃ。セブルスと一緒に制作した呪文らしいから、かなり強力でのう。今回もその呪文が効果を発揮し、君を守ったわけじゃが……やはり愛の守りよりも弱く、効果が薄れてきてしまっとる。その為、ヴォルデモートが放った呪いが欠片となり、君の魂に引っかかったのじゃ。しかしながら、君は呪いを使おうとはしない、純粋そのものの心じゃ。だから呪いに体が蝕まれることがなかった。いや、それよりもプラスの効果を受けたのじゃ。』そのプラスの効果が尻尾が生えるだと?何の関係もなさそうだが。わたしは尻尾を握りながら思った。『君に残された魔力が形を得て君の尻尾となったようなものじゃ。そして君は父と母に愛されていた。だから君には…いわゆる祝福…神からの恩恵が渡されたのじゃ。だから君はこの前のことで新たな力を得た。その力は…おそらく魔力によりだされる残穢や波動を五感で感じ取るものじゃ。心当たりはあるね?』あの時にヴォルデモートの死の呪いの軌道がわかったのもそれか。『だから、君に来年は頼み事をしたいのじゃ…だが今はゆっくり休みなさい…おっと、宿題はせねばならぬぞ。』『はい、先生。』わたしは汽車が発車する音と同時に汽車に乗った。ダンブルドアを含め、先生たちが手を振ってきた。わたしは振り返した。来年?杖を無くし、人間から離れてしまったわたしに?
来年も何かある年になりそうだ。
END