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はむっ、もぐもぐ、と小動物のようにクッキーやケーキにかぶりつく。突然止まったかと思えば目を輝かせてまた口を…「って食べすぎじゃない!?」菓子が乗っている机をドンッと叩き、中也の方を向く。
「急に大声出すなよ……手前も食いてえのか?」
そう言って手に持っていたいちごタルトを差し出す。 いい焼き加減のタルトの上には何個もいちごが乗っかっていた。それに小人が噛んだような歯形付き
「いや、そうじゃなくて…まぁ貰うけど」
恋人の食べかけを貰わない人なんてこの世には存在しない
手を汚さないように食べる姿を見て、しかめっ面でこちらをじーっと見つめる。可愛いが……
「どうしたんだい?中也、」
甘ったるいいちごタルトを食べ終わって質問をした。
すると「豪快に食べたいと美味くねえだろ」と、可愛い返事が返ってきた。タルトでお腹がいっぱいなのにこれ以上お腹いっぱいにさせてどうするつもりなのか
「それはともかく、もう1時だよ?こんな時間にお菓子なんて食べたら太るんじゃないかい?それに虫歯も…」
目を丸くしてハムスターのようにマフィンを食べながら「お前、そんなこと気にするようになったのか」 と失礼な返答をする。そこも含めて好きになったのだが
ポートマフィアにいた頃は自分のことも他人のことも面倒を見ていなかった、だから探偵社に入ってからの私に驚いても当然と言えば当然だ。
いや、それにしてもこの量はさすがに…
「あのねぇ…2連休だからって五大幹部様が夜中にこんな可愛らしいお菓子を食べてるって知られたらどうするの?」
「ばれねェよ、お前もばらす気はないだろ?」
新しくチーズケーキを手に持ってゆらゆら揺らしながら上目遣いでニヤリと笑う。
「あーんしてやるからよ」
恋人が男前すぎて辛い、絶対明日襲ってやる。
「仕方ないなぁ〜、あー」
「ん!」
口にはなにもなく、中也が一口で全て食ってしまっていた。 中也がお菓子を分けてくれる時は年に1、2度ほど。
そして今日、私は中也から食べかけのいちごタルトを貰った。分かっていたことだが少し期待してしまった。
「ほんっと子供なんだから…」
「あァ!?」
◇
「買い出しに行くぞ。」
ずっと座っていたふかふかのソファから腰をあげたかと思えばこの発言。このチビはどれほど食えば気が済むんだ……
今の時刻は2時、ほとんどの店はとっくに閉まっているであろう。
「丑三つ時だよ?それにお店開いてないと思うけど」
「近くに24時間コンビニができただろ。そこに行く」
そういえば、あれはコンビニだったのか
工事が終わっても特に気を使っておらず、何が立ったのかも分かっていない状態だった。
「家に居とくか?」
と言い、携帯と財布を持って外出の準備をする。 女性のように小柄な恋人を夜中のコンビニに一人で行かせるわけがないだろう。これでも一応マフィアのお偉いさんなんだ。
敵組織かなにかの連中に攫われたらどうする? 中也は毒に弱い、なにか盛られたら……
「ついて行くに決まっているでしょ。
攫われたらどうするの?」
「ははっ、そりゃあいいボディガードさんだなァ」
寝静まった街の道路を少しだけ車が通りかかり、 日中の賑やかさを忘れてしまいそうになる。
「夜になっただけなのにこんな…」
自分しか聞き取れないような小さな声でそう呟くと、私のことを横目で見ながら寂しそうに私の手をにぎる。
マフィアにいた頃はいつも言い合ってここを通っていたかな、静かな街に私達の声だけがぶつかっていた頃を思い出して少し申し訳がない気持ちになった。
「置いて行ってしまってごめんね」
「ふん、もう気にしてねえよ。」
そっぽを向き、私の手を握りしめながらコンビニへと走りかけて行く。
髪がふわふわと靡いている後ろ姿はとても見れたものではなかった。
ソファに腰をかけ、端に先程買ってきた大量のお菓子や、菓子パンを置く。
「もうすっかり凍え死にそうだなァ…。あ、今川に飛び込んだら死ねるんじゃねえか?」
「私は今美人との心中を望んでいるのさ。というか、買ってきたお菓子食べないでもいいのかい?」
数秒経つと中也が「今はこうしときたいんだ」目をつぶって嬉しそうな顔をしながら肩にもたれかかる。
すっかり甘え上手になっちゃって…と言い、近くにあった毛布を一緒にかけて少しの間ゆっくりした。
◇
時計の針が動く音と共に袋の開く音が鳴る。
「まぁ〜だ食べる気かい?」
「そう言いながらも付き添ってくれてるじゃねぇか」
「寝れないだけさ、君を心配してあげているのだよ」
どうも素直になれない自分が嫌だ。
告白だってビビって何年も言い出せなかったのだから
「お前も同席しろよ
1人で食べてても美味しくねえ」
だったら私が居なくなった間は誰と食べていたんだ、 そんな疑問を持ちながらもそう言われたら拒否できるわけがない。仕方なく傍にあった小さく、鮮やかな桃色のマカロンを手に取る。パクッとマカロンを口に入れるといやな味がし顔を歪ます。
「あははっ!なんだよその顔!」
私を見ながら腹を抱えてクリームをつけた大きな口で笑っていた。
「なんだい、この味は……」
「まぁマカロンは好みが別れるからなぁ
変な味だろ?」
「嗚呼、すごく…」
台所に行き、上の棚にある中也とお揃いのマグカップを出して水を注ぐと「俺のも頼む」リビングの方から声がする。
私は君の召使いかい?とか何とか思いながら紅茶をだす。 中也の好きなお菓子もわかったことだし、お給料日に買ってあげようかな、そう思いながら一緒に菓子を食べた。
◆アトガキ◆
何故幹部は甘党になったのか、生まれつきと言うものもありますが幹部はどうなのでしょう。
ストレスで…寂しくて…こんな思いで爆食をしてしまい、甘いもの中毒になっていたりして………。
物語の解釈は読者の皆様にお任せします。
甘々な太中も、不穏な太中も、どちらにも美しさが存在してありますからね。
私の太中は基本、闇に突っ走っていまして笑
甘いと思われたが結局はそっちかい!ということが多々…
頭を抱えて太中のことを深く深く掘っていても霧がありませんね、体調不良でも太中のことを…いや、これはもう中毒と言っても良いのでは?