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お前がいる世界が俺にとって一番綺麗で、美しいんだ。運命がたとえ、残酷だったとしても。
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つい先日、オメガ性の検査結果が返ってきた。自分で言うのも癪だが、俺はごく普通の一般人。だからβだと思っていた。
「…やっぱりな」
検査結果はβ。αの方が良かったとかは思ってない、断じて。
こういうのは人にはあまり見せないと思うが、マッシュが自ら結果を報告してきたので、いつもの5人で報告し合うことになった。4人はβ、残る1人はαだった。その残る1人というのは
「…俺はαだった」
そう、ランスだ。まぁそうでしょうね、と納得の結果だ。
「はぁ〜これだからスカシピアスは!第二の性まで希少ですってか!こんにゃろ…」
と、可愛げのない悪態をついた。その場はそこでお開きとなり、解散ということになった。
俺は久しぶりに図書館で勉強でもするか、部屋にはアイツいるし。と珍しく図書館に向かった。今はちょっとアイツとは会えない気がする。
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問題を解いても、本を読んでも一向に集中できない。何を考えるにしても頭にチラつくのはあのイケメンランスだ。
「…俺がΩだったらなぁ」
あいつがαだと言った時は正直かなりショックだった。βだったらなんとか、付き合える未来があったかもしれない。いや、そんなの関係ないのかも。
でも、αには必ずΩの運命の相手がいる。その運命の相手とやらに俺もなってみたかった。
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運命の相手ではない、とわかっていても、アイツがいると世界が輝いて見えるのは何故だろう。俺はまだランスのことを諦めきれずにいた。
(神様はなんで第二の性なんてのを作ったんだよ…)
と、ランスを見る度にそう思う。きっとこの世界の神は性格が終わってるんだろう。そう思うことしか出来ない。
ランスの運命が見つかるまで、お前が映るこの美しくて残酷な世界を見ていたいと思ってしまう俺を、どうか許してほしい。