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創作。
kyng inm
伏せ字なし
手先の感覚がどんどん鈍っていくのを感じる。手袋を持って外出したはずが鞄やポケットの何処を探してもなく、絶望に明け暮れている昨今。
自分の冷めきった手と手を擦り合わせても暖かくなるはずもなく寒さは俺の体をどんどん蝕んでいった。
このまま寒さで死んでしまうんじゃないかと思っていたら、 後ろから甲高い聞き覚えのある、いや聞き馴染みのある声が俺を呼び止めた。
そいつの正体は同僚であり同期の伊波ライ。
彼奴は防寒着を身に纏っていて、雪だるまみたいな格好だったが服が服故に羨ましいという感情が溢れ出てきた。
「ずるい俺にもわけろ」なんて声に出すとその倍の声量で否定の言葉が返ってきた。
ある程度仲が深まると同期の扱いも雑になるもんだななんて寒さに比例しない呑気な思考に笑いが溢れる。
これが配信ならコメント欄はかわいいなどで埋め尽くされていたことだろう。だが相手は伊波ライだ。「キモ」と一言だけ言われた。
お互い激務でろくに話せていなかったせいか思った以上に話が盛り上がった。いい所で別れたからか珍しくライから「ゲームしない?」という文面と共に通話がかかってきた。
外でたくさん話したはずなのに2人とも会話が絶えることなく話し続けた。お互い明日がオフだと知ると嬉々として明日の予定をたてた。
会話に終わりがなくずっとフルスロットルで話していたからか普段よりも数時間早く眠気が俺を襲った。ライとまたなと言葉を交わして通話を切る。
すぐベットに身を任せて数秒もしないうちに深い眠りについた。心做しか胸がバクバクしていたのは気のせいだと思っておく。
そして今。額に汗を浮かべている俺を全世界のみんなが笑うだろう。
なぜ俺がこんなに焦ってるかって?時間は嘘をつかない。ライと約束した時間は12時。今の時刻は12:30。
こんな俺でも愛してくれ、ドクター、そして同期兼恋人くん