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こういう系の話大好きです…🤦🏻♀️💕
akを手放したくないfw×fwのために別れたいakのfwak
過多は関東人です。関西弁にわかです。
ハッピーなエンドではありません。
*
俺は今日、大事な恋人をフる。
一年ほど前、ふわっちに告白された。
驚いたけど、嫌な気持ちはなくて、むしろ嬉しい気がして、俺とふわっちはお付き合いすることになった。
ふわっちといる時間はすごく楽しかったし、全部全部、ものすごく大切な思い出。
だけど俺は、ふわっちとの“恋人”らしい雰囲気に耐えられなかった。耐えるなんて言い方をしてしまうほどにしんどかった。
嫌いじゃない。ふわっちのことは大好きなのに、そういう雰囲気を感じるとどうしても鳥肌が立って、逃げたくなる。実際、その雰囲気から逃げてしまう。
俺もふわっちもまだまだ人生これからだから。ふわっちに幸せになってほしいから。こんな情けなくて、ふわっちに我慢させてばかりの俺から、ふわっちを解放してあげなくちゃいけない、そう考えたんだ。
*
「ふわっち、俺ら別れよう」
とうとう言われてしまった。
明那はこの関係を終わらせたがっている。薄々、そんな気はしていた。
「俺さ、恋人としてじゃなくて親友として、そばにいたいんだって気づい、て」
明那の綺麗な水色の瞳が大きく揺れて、きらりと光る。
拭ってやりたいが、今の俺に、明那にフラれた俺にそんな資格はあるんやろうか。
「ふわっちが、俺のことすごく、大事にしてくれてるのも、めっちゃわかってる、けどっ…」
それが明那に伝わってたのは、明那がそれをちゃんとわかっててくれたんは、すごく嬉しい。
こんな状況だけれど明那が好きだと、改めて実感する。
「___あきな、」
自分が思っていたより掠れた低い声が出た。
その声に明那がびくりと身体を震わせる。
そうよな、怖いよな。今俺、明那にフラれてんだもんな。
「あきなは俺のこと、嫌んなった?」
そう尋ねれば、俯いていた明那はパッと顔を上げ首を振る。
「なるわけ、ないよ。おれ、俺ふわっちのことっ…」
だいすきだよ
そう言った明那の瞳から大きな粒がいくつも流れ落ちる。
美しいそれを見て俺は、「明那の涙はどんな味がするんやろか。」
そんなことを思った。
ごめんな明那。
もっと俺のこと好きにならせてあげれたらよかったな。
俺しか考えられないように、俺しかいらないように、俺だけが必要だって思わせてやれたらよかったな。
明那にフラれたことで、はっきりとわかってしまったんや。
明那しかいらない。明那だけがほしい。明那がおらんと、生きる意味がない。
ずっと、俺だけの、俺のだけのモノな明那でいてほしいって。
「ふわっ、ち…?」
指先が冷たくなった明那の手をとる。
明那はこの先、俺以外とこの手を繋ぐんか。
明那に、俺の知らん誰かが、俺の知らんところで、明那に触れるんか。
ぎりり、と明那の手をとる自分の手に力がこもる。
「いたっ、ちょ、ふわっちっ!」
ああ、考えただけで、はらわたが煮えくりかえりそうや。
明那が俺のモノやったから、他の人間が明那に触れても許せていたっていうのに。
なあ明那、なんで手を離そうとするん。
どうして、俺から離れようとするん。
俺はこんなにも、明那を必要としてるのに。
離れて行かんでよ。
どうしたら近くにおってくれるんや。
どうしたら、明那を、
俺のモノでいさせられるんや。
その時、明那から力が抜けた。
瞬時に崩れる明那を抱き抱える。
びっくりした、明那が怪我しなくてよかった…。
うん、気絶してる明那も可愛いね。
俺、明那を抱きしめていると、とてつもない幸福感に包まれるんよ。
明那のそばにいるだけで、俺は、満たされるんよ。
明那もさ、俺のこと、「大好き」だって言うたやん。
「あきなぁ……」
一生ずっと、俺のそばで、俺の目が届く範囲で、俺の手が届く範囲で、生きててよ。
俺が明那を幸せにするから。
「ごめんな」
これでいい。そう思うのに。
それでもなぜか、口から出てくるのは謝罪の言葉だった。