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この物語は高校二年生の千夏と冬弥の物語である
第1話 約束 【千夏目線】
チリン
聞き覚えのある風鈴の音が鳴った
「お待たせ」
「え、冬弥6時ピッタリじゃん!!」
「あぁ、俺は約束を守る男だからな」
「いや普通は5分前とかに来るでしょ」
私、千夏。今、幼なじみで私の片思いの相手、冬弥と夏祭りに来てるの
(約束を守る男、ねぇ)
確かに冬弥は約束を破ったことがない気がする
「何食べる?」
「俺ラムネ飲みてー」
「じゃあ私もラムネ買おうかな」
「…」
「…」
沈黙が続いた
聞こえるのは、他の人の喋り声と蝉の声だけだった。
冬弥とはもう家族みたいなものだったから、前はこんなの気にならなかったけど…
もう今は違う。だって冬弥は私の、
「あ、俺たこ焼き買ってもいい?」
私の回想を途切れさせるように、冬弥が言った
「あ、う、うん!」
(そういえば浴衣、変じゃないかな)
冬弥を好きになってから、こんな事しか考えてない気がする
「はい」
「えっ?」
「たこ焼き。一緒に食べよ」
「あ、うん!」
「でもおはし1本しかないよ? 」
「昔はこんなこと当たり前だっただろ?だから気にすんなって」
(え、それって冬弥と間接キス?!)
「いただきます」
ぱくっ
「あっつ!!」
「冷ましてないからでしょ!?!笑」
「ほら、お前も食べろよ」
「え、あ、うん!」
アナウンス
ーーもうすぐ花火の時間となります。ーー
「花火だってー」
(見てみたいな)
「見に行くか?」
「うん!!行きたい!!」
冬弥はいつも私が欲しい言葉をくれる
心の中読まれちゃってたりして笑
まぁそんなことはないだろうけど
さっき買った飲みかけのラムネを持って隣を歩く
少し冬弥の方が歩幅が広いから、遅れないように必死で歩く
そんな私を気にかけてくれるように、少し止まって後ろを見てくれる
私は駆け足で追いつこうとした時
ズキッ
「痛っ!!」
足首に激痛が走った
「大丈夫か? ほら乗れよ」
って言ってくれた。やっぱり好きだな、
「重いけど大丈夫そ?」
「うん」
私はおんぶされたまま花火を見た
「うわぁ、キレー!」
「あんま暴れるなぁ!!」
「だってだって!!こんなに綺麗なんだよ?」
「子供かよ」
「違うし!! …また来年もこうしてさ、一緒に花火見ようよ」
「あぁ、約束な」
「冬弥は約束を守る男だもんね!」
「絶対守る」
「もう痛くない、下ろして大丈夫!」
「無理するなよ」
「大丈夫だって!ただの靴擦れだったし」
「そっか」
「…冬弥が着けてるキーホルダー、私とお揃いのやつだよね?」
「あぁ、風鈴のやつな 」
「冬弥がさ、誕生日プレゼントって言ってくれたんだよね!」
「よく覚えてるな 」
「覚えてるに決まってるじゃん!!」
(覚えてるに決まってるじゃん、だって冬弥は私の…)
「なぁ千夏」
「何?」
「あのさ、伝えたいことがあるんだ」
「何」
「俺千夏のこと好きなんだ。だから、付き合ってほしい」
「いいよ」
私は人生で初めて頭が真っ白になった
だってこんな事…ありえないと思ってた
冬弥は恋愛に興味無いと思ってた
「私のどこが好き?」
「性格も見た目も可愛いとこ」
「いつから好き?」
「んー中三くらい? 」
「勝ったー!私は小5から好きでーす」
「何その謎マウント」
「てか冬弥1個約束破ったね」
「だな」
「あ、冬弥も覚えてる?」
「もちろん」
…あれは小四の頃、私が友達と喧嘩して
「千夏なんて大嫌い!!もう友達じゃない!!」
こんなことを友達に言われてしまった事がある
それで私が落ち込んでたら
「俺は一生お前の幼なじみだから!!」
「味方なの?」
「おう!」
って言ってくれたことがあった
でももう今は違う。冬弥は私の…
「今度、部活ないからデート行くか?」
(また邪魔された…)
「いいね!行こう!!」
その日、2つの約束をした