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「 ──好きです。」
街中が眠りに落ちている最中、私は目を覚ます。懐かしい物を見たなと私は微笑んだ。あれはずっと片思いだった彼に告白された時の事だ。思い出に浸っていずに周りを見渡すと起きている窓はなく、深夜の静けさは耳鳴りがするほどだ。
そんな静寂の中に、空気を引き裂くようなメールの着信音が鳴り響く。私は携帯を取り出して確認する。彼からだった。私は嬉しくて内容をすぐに確認する。結婚式の事についてだった。彼は先月プロポーズして晴れて結婚することになった。私は深夜だった事もあり頭が回らず思いつく言葉をかき集めるようにして少し雑談を交えつつ会話を終わらせその日は眠りへ落ちた。
そして結婚式当日私は今にも泣き出しそうな目で入場してくる彼らを拍手で迎えた。こぼれ出た一筋の涙はこぼれ始めると歯止めがきかなくなった。彼らは嬉し涙だと受け取るだろう。違う。違うの。彼の隣にいるのはウェディングドレスを着た私だったのに。
──続いてのニュースです。同性婚を認める判決が出ました。その時彼の目は希望に満ち溢れていた。私は違和感を覚えたが彼の口から聞き出すことは無かった。あのニュースから3日後。私は彼に振られた。私は最初は別れるのを拒んでいたけど何より彼が辛そうだったから別れることにした。
まさかあの2人が結婚するだなんて私は思いもしなかった。なんて笑いながら友人と言葉を交わしていた。
帰りの車で窓ガラスを流れる雫をただひたすら目で追っていた。私は おめでとう とまだ祝福かけていない事に彼は気づいているかな?───同性婚なんて無くなればいいのに。私は代わりに呪いをかけた。