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「でさ〜…っておい!きいてんのかきんろき!」
「聞いてる聞いてる〜」
「それはきいてないはんのうらって〜」
そう言ってきりやんはぐびっとビールを飲み干した。
なんでこんなことになってるんだ…。
話は数時間前に遡る…。
きりやんとスマイルのLINE
『』→やん
「」→すま
『スマイル〜』
「きりやんからLINEしてくるなんて珍しいじゃん。どうした?」
『突然なんだけどさ』
「うん」
『今日って夜空いてる?』
「夜?特に予定はないけど…」
『あ、マジ?じゃあスマイルの家行っていい?』
「いいけどさぁ…なんで?」
『飲み仲間が欲しいんだよ〜』
「え?他のメンバーは?きんときは除くとして…他のメンバーはどうだったんだよ」
『Nakamuは夜Broooockときんときと出かける予定があって、それできんときとBroooockも無理。シャークんは編集中。んで、スマイルしかいなくなったってわけ』
『誰でもいいから一緒に飲みたい』
「他に聞いたならいいか…。じゃあ鍵開けておくから着いたら入ってこい」
『りょうかーい』
それにしてもめずらしいな…。いつもだったら一人で晩酌してるところなのに…。
今から寝ようと思ってたけどきりやんが来るなら話は別だ。さっさとおつまみの用意しないと。
俺はスマホから視線を外し、キッチンへ向かう。
これとこれとこれ…くらいでいいだろ。うん。
おかしを手に抱え、きりやんの到着を待つ。
チクタクと秒針の音が静かな部屋に響く。
何回目かの短針が動いた。
それにしても遅いな…。
…うーん…。
きりやんが来る前に一本くらい開けて飲んでたっていいよな…?
俺はかしゅっと缶のプルタブを開けた。
次の瞬間。
ピンポーン♪
あ、来た。
「はーい。今出まーす」
俺は玄関のドアを開けた。
そこには酔っぱらったきりやんがおぼつかない足取りで立っていた。
「しゅまいる〜きたろ〜」
「お前…飲み過ぎだっての…何本飲んだ?」
「ん〜?さん、くらい?」
「家でそんだけ飲んでさらにここでも飲むのかよ…吐くなよ?」
「はかないはかない〜。はやくなかいれろよ〜」
「はいはい。こっちだぞ」
俺は千鳥足のきりやんの手を握り、リビングへ連れて行く。
もちろん靴は脱がせた。
「しゅまいる〜ついら?」
「着いた着いた。ほらそこ座って。」
「ん〜」
きりやんはどかりと音がしそうなくらい勢いよく座った。
そしてさっき俺が開けた缶をぐびっと飲んだ。
「あ、俺のビール…」
「なあきいてくれよきんろき〜」
「俺はきんときじゃない」
「な〜にいってるんらよ〜きんろき〜」
どうやらきりやんは俺のことをきんときだと勘違いしているようだ。どんだけ酔ってるんだこいつは…。
まあ仕方ない。今日くらいは酔っぱらいの話に付き合ってやろう。
「で、なんだよ」
「きょお〜しゅまいるとたくさんはなせたんら〜」
「…俺の話?」
「らからきんろきじゃらくてしゅまいるのはなしらっていってるらろ〜」
「そうだったな。話を続けてくれ」
「そんで〜おれうれしかった〜」
「うん」
「あ゙〜…なんれおれはいっつもしゅまいるにきつくあたっらうんだ〜…」
さっきまでにこにこ話していたと思ったら今度は鼻をすすって泣き出した。酔っぱらいのテンションは分からない。
「ぐす、おれらってもっとやしゃしくしらいし…しゅまいるにすきになってもらいらい…」
「…え?今なんて?」
「まえはなしただろ〜おれは〜しゅまいるのことらすきなの〜」
どうやら聞き間違いじゃなかったみたいだ。
「俺…じゃなった…スマイルのどこが好きなわけ?」
「まずやさしいとこだろ〜?あろ〜かっこいいとこ〜。それと〜」
「ちょっと、ストップ、理解ができてない」
「でさ〜…っておい!きいてんのかきんろき!」
「聞いてる聞いてる」
「それはきいてないはんのうらって〜」
自分で聞いておいてアレだがイマイチ理解が追いつかない。
「…じゃあ、もしスマイルから告白されたら付き合うわけ?」
「そらもちろんらよ〜しゅきなあいれにこくはくされれうれしくないわけないらろ〜」
「じゃあその耳でよーく聞いておけよ」
俺はきりやんの耳元にぐいっと近づいた。
「好きだよ、きりやん」
「ん゙っ!?」
きりやんの体が大きくびくんと跳ねた。
きりやんの顔が真っ赤に変わる。
「しゅしゅしゅしゅまいる!?!?なんれ!?」
「俺は最初からここにいたよ。ていうかここ俺の家なんだけど。」
「まっっっじで、ちょ、酔い覚めたって、え、さっき言った言葉マジ…?」
「大真面目。マジマジ。」
「は、うそだろ…マジで?」
「マジ。」
「う…嬉しい…絶対叶わないと思ってた…」
きりやんの目がうるうると涙ぐむ。
俺はきりやんをぎゅっと抱きしめた。
「絶対大事にする」
「あ、りがと…俺も…す」
「ん?」
「う、やべ、ちょ、と…トイレ…吐きそ…」
「よりによって今?ここでは吐くなよ」
「だいじょぶ…うぷ…」
「トイレ行って来い。俺が連れてくから。」
「ありが、うっ…」
「無理に喋るな」
真っ赤に染まっていた顔が青く染まったきりやんをトイレに連れて行く。
きりやんがトイレから出てきたその後。
さっきの言葉の続きを聞こう。
俺はそう心に誓った。