泣くスズランは恋に浸って
《第1章》嬉しくも悲しくもない卒業式
4月のミントの様な色の空。空の下の住宅街。 朱色の太陽に照らされ少し熱くなったアスファルト。その上にいる私_ 流下 羽琉は よく 見慣れた景色を歩きながら私は虹色中学校と言う昔からある古くてボロ臭い中学校に向かっていた。私は3年生。今日は卒業式。嬉しくもないし悲しくもない自分でもわからない不思議な気持ちになりながら1人端っこの歩道を歩いていた。
10数分後私はド田舎にある虹色中学校に着いた。中学校に向かう生徒は皆、親を連れて学校に来ていた。でも私は、親の都合で一緒に来ることが出来なかった。まぁ、別に来ない方が、気まづくないから良いけれど。
何十分か経った今、やっと卒業式が始まった。校長先生の話は長いし、卒業証書授与式は返事するの恥ずかしいし、その後もなんかずっと長いし、ずっと座ってお尻痛いし卒業式にはいい事なんてひとつも無いと思ってる。友達も全然いないから悲しくもない。そんな事を思ったりしながら私はずっと座っていた。
「卒業番号526!琉下羽流!」
大っきい声で言われたから正直目を丸くしてしまった。ボーッとしてたからもう卒業証書授与式に入っていたとは思ってなかった。
「は、はい!」
声を振り絞ってちゃんと皆に聞こえるくらいの声を出した。練習の時はいつも声が小さくて怒られてたからな。
返事をしてから校長先生の前に立つ。(だりぃ)などと私は心の中でだらしないことをずっと思っていた。校長先生の前で一礼して手を伸ばし、卒業証書を受け取る。私は校長先生とも目を合わせずに直ぐにまた校長先生の前でまた一礼して校長先生の前からすぐさま離れ、自分の席に「はぁ」とひとつ小さな溜息をつきながら座った。この後も長い長い卒業証書授与式が何十分も続いた。この後も色々あって、何時間か経った。やっと終わりだ。私は座るのに疲れて、ダラダラしたいと思っていたが、したら怒られるから頑張って最後の力を振り絞ってた。最後を迎えた。
「これで第◯◯回虹色中学校卒業式を終わります。」
と校長先生が言い、卒業式が終わった。
これでやっととても長かった中学校生活が終わった。私は心の中で嬉しい気持ちになった。でも少し心の奥底で何故か悲しい気持ちがあった。友達一人も作れず終わった中学校生活。いつも暇で授業もイマイチ分からなかったがそんな中学校生活もこれで終わり。
卒業式が終わり、オレンジ色の空が広がる夕方頃、私は学校から帰っていた。 学校から帰っている途中、落し物だろうか。歩道の真ん中にシンプルで藍色のハンカチが落ちていた。私はハンカチの端っこを持ち上げると、私の前にロング髪の女の子に出会った。「高校生かな?」と思うほど大人っぽくて背が高い。
「すみません。それ、私のです。」
横髪を耳にかけながら微笑んでロングの子は言った。優しそうに私に声をかけてくれたが、その子はとても何故か不気味だった。その子の笑みには、とても闇を抱えてそうな無理してそうな笑顔。私は少し心配したが、その女の子は
「ありがとうございます。では」
と私に喋る暇も与えず、歩道をすてすてと、歩いて行った。私の額には少し冷や汗が滴っていた。
「こ、怖かった。」
私は胸を撫で下ろし、さっさと家へ帰った。
○○○
「はぁ。1週間後は高校生か。友達出来るかな。」
私は夜ご飯や、風呂を済ませた後、自分の部屋の色々散らばった机に突っ伏して腕の中に潜り込んで友達出来るかずっと不安に思ってた。ふと、窓の外を見れば藍色の空に白い絵の具を撒き散らした見たいな真っ白な星。田舎だから星はよく見える。空ってこんなに綺麗だったんだな。よく見てなかったから今まで分からなかった。
「水彩スケッチでもしようかな」
私の趣味は絵を描くこと。幼稚園や、小学生ではよく「絵を描くの上手いね」と褒められてたっけ。嬉しかったな。中学生ではもう褒められることも無くなって。ちょっと悲しかったんだよね。机の棚からスケッチブックを手に取る。片付けていない、机の隅に置いてあるパレットや筆を手に取ると、窓の外に見える藍色の夜空と満天の星を描き始めた。
筆の先に藍色の絵の具をつけ、画用紙にめいっぱい塗る。青や、紫などの寒色系の色も使いつつ、夜空を再現する事が出来た。その後は筆の先に純白な絵の具をたっぷりつけて画用紙に散りばめた。
最近絵を描いてなかったせいか、前よりも断然クオリティが下がってる。私はちょっと残念に思った。そこで私はこう思った。
「私の絵のクオリティを取り戻そう!」
私は決心し、高校生になるまでのこの一週間の休みで絵を上手くするための時間に注ぎ込んだ。でも、今日は疲れたので絵の特訓は明日から。私はベッドにダイブすると1分も経たずに眠りに落ちた。明日から頑張ろう。
2話へ続く➠
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!