君に花を咲かせてあげたかった 。
春目前 。辺りはみんな桜色に染まっていて俺の隣にいる少女は何処か今にも散りそうな桜の花を持っていた 。
「 どうしたの?桜良 ? 」
散りそうな桜を一生懸命捕まえている彼女は俺の言葉など耳に入らないようだった 。
「 あっと、ごめんね聞こえてなかった 」
春は好きだ 。
桜が見れるから 。
春は嫌いだ 。
桜良が散ってしまいそうだから 。
「 またお医者さんに言われちゃった 」
「 私 、今年は必ず死ぬらしいよ!春の前に 」
早咲きの桜は今年で散るらしい 。
15年間必死に花を咲かせていた桜良はもうこの世にはいれないらしい 。
「 私別に驚きもしないし悲しくもないの!なんでかな?!!██くんがそばに居るからかも ! 」
そうやって瞳に涙を溜めて言うほど、君は強く儚かった 。
「 桜良 、明日は俺とデートしよう 」
突然の誘いに驚き戸惑いそれでも笑った 。
「 いいよ ! ██くんはどこに行きたい? 」
「 花見 」
当日 。
桜は未だ咲いていない公園で2人レジャーシートを並べる 。
俺が作った花見大福に、桜良が作ったお握り 。
「 まだ、咲いてないね 」
「 そりゃそうだよ!まだ2月だもん 」
辺り一面桜色でも、冬は過ぎ去っていなくて皆春を待ち望んでいた 。
出会いと別れの季節でも、俺はここ数年“別れが来るのでは”という恐怖に追いやられ春は何処か生命を吸い取る季節と考えしまう 。
「 私さ、 体の奥が痛いんだよね 」
突然の自分の体内の様子を俺に伝えられ、握り締められたかのように心臓が破裂した 。
「 え 」
その声にも反応せず桜良は言う 。
「 多分 ね …. ? 」
死期を悟ったかのように穏やかに笑う彼女を
抱き締めて置けばよかった 。
「 うんうん花見はやっぱりこうじゃなきゃ 」
3月下旬桜は満開で、君は車椅子。
「 2月と比べて断然こっちのが綺麗だよ! 儚い感じも素敵だし?! 」
空元気に手足の動かない桜良 。
儚い雰囲気は確かにこっちの方がある。
「 そろそろ私に固執するのはやめなよ 。 私はもう死ぬから 」
彼女が言った初めての死という単語 。
呪い呪われてしまう 。そんな呪文 。
「 はは 、私より先に逝くとか聞いてない 」
命は儚く散って、恋心は儚く散って
今年もまた早咲きの桜は君を、見ながら花見をする 。
「 塩入れすぎたかな …_ 笑 」
「 ██ くんって性格悪いなぁ 」
早咲きの桜良は、数年後散った花弁を探すように木の枝から飛び降りた 。
【 桜良吹けば空に舞う 】
end
コメント
1件
何書きたかったんだろう😎 季節外れ笑える