コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
パチパチ パチパチ
音が聞こえる。
パチパチ パチパチ
心地の良いリズムを刻みながらゆらゆらと揺れる炎はいつまでもみていられそうだ。
パチパチパチ
頭の中の誰かが言う。
素晴らしい!
手と手を打ち合わせて、
炎と混ざりあった音を鳴らしながら。
笑顔が消え、口が動く。
「、はは、」
それを、燃やせ。
一言、そう残してそれは消えた。瞬間、
目の前に真っ赤で熱い何かが立ち上がる。
ゴォっと、さっきとはまた違う音を立てて建物に乗り移ったそれは大きく広がり、
自分にとっての地獄を燃やし尽くした。
「…はぁ~…これからどうしようか…」
とある一軒家を燃やし尽くした男は
やれやれとでも言いたげにため息を吐く。
そんな声色と正反対な笑顔を見たものは、
見れたものは、
その場に誰一人としていなかった。
まぁ、息をしている、
どころか原型を保っている人間ですら、
男以外は一人もいなかったが。
ゴウゴウと燃え盛る建物を背にくるりと
男が振り返ると、 逆光によって 真っ黒い
シルエットが写る。
ボサボサの少し長い髪を持った、 痩せている少年のシルエットが浮かび上がる。
軽い足取りで、鼻歌でも歌いそうな程に
上機嫌な少年は
その夜、深い闇へと消えていった。