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そしてお兄ちゃんが会議から戻ってきたとき、凄く困った顔をしていた。「セレノ。次の戦争はクリスマスにやるらしいぞ。またキツネ族と、だが、姫とホワイティスが失踪中なんだよ、何か知ってたりしないか?」そういえば、こうなったら誰と戦争をしなければならないのだ? それと、もしもお兄ちゃんにキツネ族を殺したことがバレたら…… 「セレノ? ホワイティスが居なくなって悲しいのか? きっとあいつは戻ってくるさ、まぁ戻ってこなかったら戦争出来ねぇからどうにかして探さなきゃなんだがな」お兄ちゃんは何も知らないから自分に微笑んでくる。殺したのは自分だ。自分が殺しさえしなければ。でも、あんなの聞いたら殺さずにいられないよな。きっと自分は悪くない、そう。僕は悪くない。多分。
*
ホワイティスが殺されたという事が知られた。姫は行方不明。そして、それが発覚したのは聖戦の1ヶ月前。すると「君たちオオカミ族と対戦するはずだったキツネ族は半壊状態である。つまり、戦争が出来ない、そこで私は考えた。私たち獅子族を相手をしようと。良い提案だろう? さて、楽しみにしておいておくれ」と、獅子族の王が知らせてきた。それから自分は、酷く悩んだ。僕のせいで獅子族と対戦しなくてはならなくなったんだ。みんなが死んじゃうよ。みんな獅子族に殺されるんだ。すっごく怖かった。僕は考えた。「獅子族の王を殺せばいいじゃないか」と。
それから作戦がまとまった頃に獅子族の王が自ら現れてくれた。なぜなら僕目当てだったから。「やぁオオカミ族の女王くん。私は君にいい提案をしに来たのだ。興味は無いかね?」自分は愛想笑いをして「興味がある」と言ってみせた。それから「お茶をしながらお話しましょう」と言って台所に行きホワイティスにやったように銃を準備した。そしてホワイティスと同じように頭へ撃つ。だがそれはすぐに避けられた。「おやおや、どうしてしまったのかね?」獅子族の王はそういい煽り笑いをすると僕から遠ざかった。僕は近接しか出来ないから遠くに行かれると何も出来ない。だから僕は猛スピードで王へ迫り、そのまま脚を撃った。当たったぞ! 王は倒れた。その隙を狙って今度はみねうちを撃ち、次に頭を撃った。これで死んだだろう。小周りの効かないライオンにオオカミは有利である。そしてそのまま獅子族の王を燃やし、証拠隠滅をした。ホワイティスの時と同じように。
それから、みんなに獅子族の王が失踪したと嘘を吐き、戦争も中止にさせた。これでみんな死なない。これで良かったのだ。
僕は、流石にバレるだろうとオオカミ族を旅立った。僕は、人型にはならず、オオカミの姿で森をさまよっていた。そして喉が渇いたので水を飲もうと湖へ向かった。そこは最初に女王陛下とあった場所。水面に映る僕はどうも女王陛下に似ていて、「貴方は女王なんかじゃない」と、その水面に映る僕に言われた。そしてその女王陛下に似た僕の姿が消えると灰色のオオカミが居た。
オオカミ族の中で灰色の狼は階級にも入れられない最低最悪の色とされている。もしもそんな色のヤツが居たら直ぐに殺す。オオカミ族に不幸をもたらすとされているからだ。そんな灰色のオオカミが、僕だった。オオカミ族から離れて正解だった。それから、幻覚を見るようになった。最初は僕が灰色のオオカミになった時と同じようなものだったけど、次第に鮮明な物になっていって、いずれ、それは女王陛下や旧王様、ホワイティス、昔のご主人様に院長であった。みんなそれぞれ信じ難い事を僕に吐き捨てて行った。女王陛下からは「オオカミ族に戻れ、そして殺すのだ」と。それから旧王様には「絶対にオオカミ族に戻るな。戻ったら殺される」と、ホワイティスからは、特にない。目線を送ってくるだけだ。昔のご主人様は「お前の仲間達は見捨てた事を恨んでいるぞ」と。
それから、一番信じ難くてそもそも信じたいとも思えないことを言ってきていた。「お前は私の実の息子だ」と、僕は女だ。だから娘であるはずだ、そもそも、僕は人造人間であるから誰の子でもないはず。だから院長に聞いてみた。「息子? 僕は娘では無いのか? それに、院長の子だなんてありえない」と言った、それに対して院長は「あぁ、それなら私が性転換をさせたからだよ」一体いつ?「あぁ、あとお前は人造人間ではない、本当に人間なのだ。私と私の妻が愛し合って生まれたかけがえのない命なのだよ」なにが、なんなんだ。もう頭がパンクしてしまいそうだ。
「ねぇ! あんた大丈夫? おぉい」可愛らしい声が聞こえてきた。気づいたら寝ていたようだ。「ねぇ、ねえってば! 大丈夫なの? うなされてたよ?」その声の正体はどうやら虎族のようだった。「君は、虎族かい」自分は頭をくらませながらも声を発した。「そうよ! うち虎族の姫なの! ティグリスって言うのよ! それにしても、獅子族の王が消えて清々するわあ!」獅子族の王は虎族にも嫌われていたのか。そして気がついたら人になっていた。「ねぇ、あんたってもしかしてオオカミ族の女王⁈ まぁ、噂に聞いてたけど本当に綺麗ね! でも髪が灰色よ?」まずい、自分はすぐに腰につけている銃を取り出し構えた。「え⁈ ちょっとちょっとどうして⁈ 待ってよお⁈」とても驚いている。敵意はないようだ。銃を降ろした。「灰色になってることは気にしないでおくね、って、よく見たらあんた男ね⁈ じゃあ女王じゃないわね、ごめんなさい、とっても美しかったから勘違いしちゃったわ」この女は、何を言っているんだ? 自分は確かに女のはずだ。もしかして、院長の言ったことが影響して? 水面に映る自分を見てみた。確かにそれは、男であった。「いえ、良いのです。ですが、灰色であることは触れないでください。私は女王ではありません、ただの追放者ですから。これが本当の一匹狼ですか」苦笑いをして見せた。「ねぇ、あんたうちに着いてくる気はない?」「ないですよ」何かされたらこまる。「そっかあ。ところで名前なんて言うのよ?」名前、本名は良くないからフロースと言っておこう。「私の名前はフロースです。」「フロちゃん⁈ あ、ごめんごめんなさい!」フロちゃん? 昔ご主人様が使っていた呼び名と同じだ。不思議だ。着いて行ってみるか。「フローススちゃんね!」「ちゃん付けをするな」腹が立つ。でも力になりそうだから利用するとしよう。
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あれ? これは幻覚だがホワイティスが凄く、私を見つめている。「セレノ、なにか良くない事が起きる。注意」突然言ってきた。一応、信じるとしよう。「ねぇ? お腹減ったよね! 家おいでよ! こっちこっち!」本当に元気なやつだ。なんだか私まで元気になる。