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暗い、光が差し込まない空間。
差し込んだとしても、其れは救いの光ではない。
恐らくその光は闇の世界への招待状だ。
僕が生きるのは、そんな世界。
寝床と一寸した机がある医務室の様な部屋。
その部屋に寝床に座る小柄の少年と、目に包帯を巻いた、二人の少年がいた。
「中也、お早よう。よく寝れたかい?」
優しい昼前の暖かい光が窓から差し込む。
「おう、多分…よく寝れた。」
中也が曖昧な返事をする。多分、って何だい。
「多分、かい?自分のことも分からないの?」
少し笑いながら僕が聞くと、
「仕様がないだろ、分かんねぇ物は。」
笑いを含んだ様な優しい声で、中也が答える。
「あ、そうそう!中也、何処か行きたい場所無い?何処でもいいから!」
明るい声で中也に聞く。
「は?何処かって…俺、此の部屋から出ちゃ駄目って言われてるんだけど…?」
困った様な、不思議そうな声で中也が訊ねた。
「森さ…首領が僕と外出しても良いって言ってくれたんだよ。だから、僕と一緒なら外出できる」
そう僕が言うと、中也は顔を輝かせて、
「じゃあ、太宰と一緒に出かけられんの!?」
と、言ってきた。不覚にも少し可愛いと思ってしまった。本当に同い年とは思えない。…身長も。
「うん、そうだよ。遊べる場所でも良いし、買い物でも良い。何処行く?」
すると中也は嬉しそうに、
「なら、行きたいところあるんだよ!此処からはちょっと遠いかもだけど…行けるか?」
そう言って、地図を出して指差した。其処は…
「森さーん、入るよー」
セキリテヰに囲まれた、重い扉を開ける。
「森さん、中也に行きたい場所聞いてきたよー」
「エリスちゃんこれ着てよぉ、可愛いだろう?」
「嫌よ!季節に合ってない!もう半袖は嫌!」
目の前にいるのは、森鴎外。ポートマフィアの首領で、幼女好きの変態。
そしてその隣にいるのはエリス嬢。森さんの異能で、十歳ほど幼女の見た目をしている。
「はぁ…森さん、いつまでこうしているの?もう飽きてきたよ、此の茶番!」
「あ、だ、太宰君…!?御免、御免って!!」
僕がポケットから取り出した毒を呑もうとすると、森さんは慌てたように言った。
「はぁ、全くもう…、中也に行きたい場所聞いてきたよ。車出せる?」
中也とのお出かけは、森さんが計画している物だ。
「嗚呼、勿論。それで何処だい?中也君がご要望の場所は?」
僕がポケットに入っていた地図を取り出し、その場所を指差す。
「此処さ、中也のご要望とやらは。」
其処は…
「擂鉢街…か。」
真剣そうな顔で森さんが言う。それもそうだ。
「嗚呼。一応理由を聞いてみたら、”俺の実家があるから”、だってさ。」
「実家、ねぇ。”子供を売ろうとした”実家に帰省をご要望か…」
目を細ませて、呆れたような顔で森さんが呟く。
「で?如何なの?連れて行ってくれる?」
僕が尋ねると、
「その毒を貸してくれるなら許可しよう。」
と、満円の笑みで言ってきた。大人ってずるい。僕は大人に成る前にちゃんと死のう。
「はぁ…仕様がないな〜。はいっ!」
「わぁっちょっ!?投げないでくれよぅ〜」
森さんが慌てて手を伸ばして毒をキャッチする。
「ほら、渡したから。車手配してよ。」
「嗚呼、勿論。もうロビーで私の部下がエンジンをかけて待っていると思うよ。」
やられた。最初っから、毒を渡さなくても準備してたんじゃないか。
「本当、大人ってずるい。多分この世で醜い生物だよ。」
そう言い残して、ロビーへ向かった。
だが醜いのは、残念ながら大人だけではない。
「ふぅ、中也。久し振りの実家の街を歩く気分はどうだい?」
雲一つ無い快晴の下で、護衛を纏った二人の少年は、灰色の街の汚れた土の上を歩いていた。
「嗚呼、最高の気分だよ。有難う、太宰!」
「ふふ、感謝してよね。それで中也、擂鉢街なんかに来て、どこに行くのさ。」
すると中也は少し暗い顔をして言った。
「心配なんだ。彼奴達が。デカい組織と合併するとか言ってたけど、この街は腐った死体と灰色の人間達の街だからな…」
「…彼奴達が言ってた”デカい組織”ってのが、完全な組織とは限んねぇ。だから、彼奴達の…“羊”の無事を確かめたい。」
羊。未成年のみで構成された互助集団。かつて、中也が長を努めていた組織。
「そうかい…中也は仲間想いだね。」
そんな会話を交わしながら、中也はかつて羊の拠点があった所へ段々足を進める。
羊の奴達は、君を…“重力使いの中原中也”を、売ろうとしたとは知らずに。
ういー。主です。
ノベルよくわかんない。
誤字は見逃してください。バイバーイ