コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
僕の手を引くのは、小さくて柔らかい江戸の手だ。
僕の瞳に映るのは、とても我儘な引きこもりだ。
僕の体に触れるのは、僕よりも身長の低い交渉相手だ。
僕を楽しませるのは、いつだって外に怯える君
だ。
あまりにも眩い朝の光が、体と目を照らす。
その眩しさに少し立ち眩みしたが、その後は何ともなくなり体を起こす。
手を開いたり、閉じたりする。
意味のない行為に没頭しつつ、現実へと頭を引き戻した。
ボヤける視界と、力の入らぬ手を振り絞り布団から出る。
今日は少し寒いのか、身が震え鳥肌が立つ。
「あ、起きた?おらんだ」
「…あぁ、起きたよ。江戸は何時に起きた?」
「う〜んと、…確か5時かな?」
「アハハ、相変わらず早いね」
拙い会話を江戸の手を握り、二人で廊下を歩きながら話す。
こうやって不恰好であったとしても、江戸は何も言わない。
その理由は未だに決定的なモノは見つからないが、人に言えた立場ではないと分かっているのであろう。
「江戸?どこ見てるの?」
「外。出る気はないけど、少し気になっちゃって」
「あんまり気にしないでいいよ
ちょっとした事だから」
「そう」
誰かの為に僕は生きない。
勿論、ソレは君も、誰彼しもそうだ。それは人として、命を持つ生き物としては絶対的な事だろう。
だけど、君は怖いんだよ。