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階段を降りて、リビングの電気をつける。食卓に目を向けると海苔弁が置いてあった。食べろ、ということだろう。一旦椅子には座らず弁当を見る。海苔のったご飯に鮭、コロッケ、小松菜の和え物、煮物、卵。以外にも苦手なものは少なく安心した。煮物のその一本のインゲンは苦手だが。表記には、蓋を開けて500w90秒とある。端にある2つのテープを外し、適当に机の上に貼り付ける。蓋を開け電子レンジに入れる。静かな為、ピッピッという電子音が異常に響いて聞える。ふと、600wなら何秒なんだろうと思った。よく父は500w表記のものを600wに変えて計算する。その方が早いとはいえパッと答えが出るのは素直に凄いと思う。まぁそんな事を思い出しても私には無理なのだが。気づけば後30秒ちょっと。食器棚から橋を一膳取り出す。戻るとまだ30秒くらいで、以外と長いな、なんて思いながら待つ。途中、あまりにも暇だったので一秒に一度のタイミングで箸を交差して音を出していた。両手に箸を片方ずつ持ってる姿は、誰もいないからこそできる。自分は馬鹿だなと思いつつ、ピーという音でハッとし、少し慌て気味に電子レンジを開ける。表記通りにやったものの、まだ少し冷たいか不安な為、本当に少しだけ手で触る。どうせ食べるのは自分で、見ているのも自分だけだ。とても暖かい訳でも無く、とても冷たい訳でも無く。悶々としつつ取り出して食卓に戻る。ついででもないが、学校のバックから水筒を持ってくる。さっきの待ち時間でやるべきだったな。また食卓に戻り、漸く椅子に座る。手を合わせ「頂きます。」という。家に帰ってから初めて喋った気がする。食事の時、私は基本主食から食べるのだが、そうすると毎度母に「ご飯ばっか食べない!」と怒られる。別に嫌いなものを避けている訳でもない。しかし、誰も居ないが視線を気にしているのかご飯を避ける。誰も居ないが。ご飯を避けたので先に卵を食べる。卵は好きなので最初に食べる。確認はしたが意外と熱くて驚く。寿司の卵も好きだがやはり暖かい方が好きだなと思う。次は小松菜の和え物を食べる。そこには大きめの油揚げが二つ。油揚げは苦手でもないが好きでも無い。そもそも何故野菜に油揚げがあるのか理解し難い。正直パサパサするあの感覚は苦手かもしれない。次に煮物を食べる。インゲンを先に口に含み、噛む前に蒟蒻、人参、じゃがいもを口に入れる。こうすれば苦手な物でも食べられたりする。本来そう食べるのだろうが。何故かじゃがいもだと確信していたそれはサツマイモだった。何故か裏切られた気分だ。次は漸くご飯を食べる。海苔弁は大好きなのだが、海苔が箸で切れない点は許し難い。結局また最後の方に全ての海苔と少しのご飯を食べるんだろうな。海苔の下に昆布があるが鮭と一緒に食べる。さて、最後だ。コロッケを食べる。特別好きだから取っておいた訳でも無く、気づいたら最後だった。一口で半分食べると、中身はじゃがいもとコーンだった。今日の給食でスープにコーンが入っていた。しかし、量を減らす時にコーンが全てなくなったのである。先程裏切られたじゃがいもといい、コロッケは私の好物となった。箸と空になった弁当をシンクに入れる。忘れていたので、キッチンで手を合わせ「ご馳走様。」という。再び電気を消して二階の自分の部屋に行く。階段を昇っている途中、テープ忘れたなと思ったが、気付かないふりをして部屋に着く。