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𓏸𓏸しないと出られない部屋……？

第1話 - 𓏸𓏸しないと出られない部屋……？

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2025年04月08日

#fjky

#フジキヨ

ゲスト

フォロワー様！ご協力ありがとうございました！

fj & ky→BL（fjky）作家

ギャグです。ネタです。ギャグです。

「さて……」

真っ白な部屋に置かれた2つの作業机の内の一つに腰を下ろした俺は小さく呟いては向かいに座る男＿＿基、フジを見た。

「…取り敢えず、やるしかないんだよね？」

「……うん。」

「…1時間以内。やれるところまでやるか…」

「無理して書く必要も無いしな、最悪3行で……」

真っ白な部屋にブーッという不正解ときになる様な無機質な音が響いた。

「……ダメらしい。」

「お疲れ様でした。」

天を仰いだ俺に苦笑してはフジは原稿用紙に向き合った。

遡ること数分前＿＿。

俺達は【𓏸𓏸しないと出られない部屋】に連れ込まれたのだ。しかもその𓏸𓏸とは「BLを書かないと出られない部屋」である。

一 , BLを書くこと

二 , 主人公はキヨorフジにすること

三 , CPは主人公の2人を使うこと

四 , 1時間以内に完成させること

五 , 出来上がった作品を互いに読み合うこと

…Fantastic（クソ喰らえ）！！！（※あくまで意訳であり本当の訳とはかけ離れています）

何がどうしてこうなった訳？？チラリとフジに目をやると顎に手をやり長考している様子。その姿に不覚にもドキッとしてしまった己の心を落ち着かせるべく短く息を吐いて文字が浮かんだ壁を見詰め直す。

俺には秘密があった。

のぞみーるの写真集を観賞用と保存用と布教用と使用用諸々合わせて7冊持ってる事じゃなく、最近の実写動画でフジのモザイクを忘れかけたことでもない。

＿＿そう、この俺、キヨは……腐男子である。しかも何が辛いってBL作家である事。事の発端はフジのことが好きになったあの日から、フジにあんなことやこんなことされたいと想像している内にふとこの世に”BL”という存在があることを思い出した。興味本位で手を出してみると有り得ないほどの素敵な作品やイラストが出て来たのだ。それでも俺の心は満たされなかった…、欲しいシチュエーションが無かったのである。困りに困った俺は思い切って小説を書いて投稿した。するとあら吃驚！思ったより人気になったではありませんか！！後戻り出来なくなった俺は静かにBL作家を続けながら実況者をしていた＿＿＿。

俺には秘密があった。

バンドの収録でベースの録画を回し忘れたまま演奏したことじゃなく、キヨの全動画を３周したことでもない。

＿＿そう、この俺、フジは……腐男子である。しかも何が辛いってBL作家である事。事の発端はキヨを好きになって愛おしさが爆発しかけたあの日。俺は何気なくSNSをいじっていたら”BL”と言うものを見つけた。なんだなんだ、と手を出してみると夥しい数のkyのBLがあったのだ。小説然りイラストや二次創作動画まで……、こりゃすげぇ！！とか浮かれていたらとあることに気がついた。rtky…usky…gtky……kk…hykr……。

俺は！？！？！？！！！？？！？！？？？

居ても立ってもいられなくなった俺は #fjky なるものを作り上げ需要数が少ないとしても小説を投稿し続けた。そうこうしているうちに需要数も高まり始め俺の認知度も上がって行った。今ではfjky創立者として1部ファンから崇め奉られているくらいには成長した＿＿＿。

（（本業ともとれるBLを書くのかぁ…））

2人の心情はそれはそれは複雑なものだった。

まずまずどんなものを書こうか、もちろん、過激はなしだし、キスも危ういな…ハグか？ハグが今日範囲か？？？嫌でもルールを見るに”成立”はさせなくても別にいいって書いてあるし……、両想いが発覚した位がいいのか？…えぇい！考えてるだけ時間の無駄！書いちまえ！！そんでなんも知らんフジにお手本として見せてやればいい！！

キヨは思考を放り投げて思うがままに筆を動かし始めた。

こういうのってどこまで書くべきだろう。俺の動く手のまま書いていいのだろうか。そうなれば確実に引かれる……！でも今描きたいシチュもあったのに！！！！こういうのはさっさと書いて何も分からないであろうキヨにお手本がてら見せることが……そうだな！それが最優先！ちゃちゃっと書いてキヨに見せてあげよう！！

俺<キヨとなったフジは書きたかったシチュエーションに手を出した。

あれから数十分……、キヨは思わず立ち上がった。

出来た！！！！！！！！！！！！

原稿用紙にペンを走らせるのに必死で半分息をしていなかったキヨは肩を上下させてフジを見下ろした。

「……出来た？」

「出来たよ、キヨは？」

「早っ……、俺も出来た。」

「早くない？」

「お互い様だろ、ほら、交換。」

「ん。」

（（どうせこいつはすぐ終わらせ……思ったより長いな？？？？））

『好きだと言っても届かないのなら。』

作:フジ

朝目が覚めても夜眠る時もずっとずっと彼＿キヨのことを考えている。彼を思うと胸が苦しくて、心臓が止まるのではないかという程に締め付けられる程には彼を愛している。

この世の中には性別というものがある。俺は性別で分けることには比較的反対だ。というのも俺が彼に想いを伝えても”気持ち悪い”で終わる未来しかないからである。自分勝手な理由なのは重々承知の上だがやはり彼に想いが伝わらないのは辛いし辛いし辛い。

そんな性別の壁が俺の恋を拗らせた。

キヨは今日も何も知らずに俺の家まで遊びに来た。撮影のため、なんて言えばのこのことやってくるキヨが最早愛おしく感じられる。口角を歪めていればキヨが覗き込んできた。

「どしたん。」

「ん、あぁ何も無いよ。」

「……へぇ。」

パソコンを取り出し俺の目の前で動画の編集か何かを始めたキヨをまじまじと見詰める。肌白いなぁ、とか首筋エロいなぁとか、良いこと悪いこと考えていればキヨは顔を上げた。

「…なんでそんな見てんの。なんかついてる？」

「…ついてないよ。ただ俺がキヨを見てただけ。」

「……ふ、何それ。」

キヨが可笑しそうに笑えば目を細めたまま俺を見やった。

「変態。」

どくん、と俺の心臓が大きく脈打った。妖艶なその姿に不覚にも性的興奮を覚えてしまった。俺の手で汚したい、乱したい、俺のものにしたい、俺の＿＿俺の＿俺の……！

「ッ……、フジ！？」

俺は勢いよく立ち上がればその勢いのままキヨの唇に貪り付いた。

そうだ……。初めから思いが伝わらないのならこうしてしまえば良かったんだ。あぁ、俺はなんて馬鹿だったのだろう。こんな簡単なことに気付かなかったなんて……。

「んっ、ぁ、ふ…ぁ、」

「……、キヨ。」

「ふ、じ……」

恐れを瞳に宿したキヨは後ろに身を引きながらも俺を見詰めた。

「キヨ、大好き。」

俺しか見られないように沢山教えてあげるからね。

……ん？

この書き方見覚えあるぞ。

そりゃあfjky小説なんて沢山あるし、ky受けの小説だって沢山ある。俺は文字を読むのが苦手だからイラストを主に見てるけど、それこそイラストだって”萌ないゴミ”さんのような可愛らしいイラストしか見てない。あの方のイラストってレトさんの可愛さが異常なのよ、もっとイラスト書いてあげてほ（割愛）……兎も角、こんな感じのヤンデレというか、闇がチラチラと見える小説だと”黒羽初”さんが脳裏に過ぎる……いや、この感じは間違いなくfjky設立者であり教祖であるあの人…。

「……”黒猫保護委員会”…？」

キヨから原稿用紙を受け取っては思ったより多い文字数に驚く。キヨって文字書けたんだ。（失礼）

『さよならのかわりに』

作:キヨ

俺には諦めなければならない事がある。…メンバーであり学生時代からの友人であるフジに想いを寄せている事だ。友人ましてや同性に想いを寄せても実ることなんてないしフジに迷惑がかかる、そんなことは分かっているけど…フジからのスキンシップが大好きでいつもそれに甘えていた。もしかしたら、なんてあらぬ事を考えたりもするがフジのスキンシップは俺限定じゃない。このスキンシップは彼なりの友愛なんだ。だからこそ俺はこの恋を諦めなければと固く決意した。

「フジー、」

「ん？」

「お願いがあるんだけどさ」

「うん？」

「……まずはハグして。」

俺は両手を広げた。フジはニヤニヤと笑いながら俺を抱き締めた。

「どうしたの？急に。甘えたキヨちゃん？」

「うるさ、次行くよ。」

「仰せのままに。」

「…、キス、して。」

「……ん。」

俺は言うや否や目を閉じたのでフジがこの間にどんな顔をしたのかを知らない。…けれど、それで良かったんだ。キスをしてもらったらもう満足だし、それを否定されたらそういう事だ。何方にせよ諦める方向でいたからフジの表情なんて気にしてる余裕なんてなかった。

ふに、と柔らかいものが唇に当たる。

「……え、」

上擦った間抜けな声が部屋に響いた。フジはその声を聞いては吹き出す。

「なんつー声？」

「だだ、だ、だって、！！唇に、！！」

「あっはは、そんな事？キスしてって、言ったよね？」

「い、言ったけど……！」

「他にお願い事は？」

「……もう無いよ、ありがと。」

「…ん。」

俺は気まづさから目を逸らした。そしてそのままフジと触れ合った唇に触れた。

こんなことするから諦められないんだよな…。いや、諦めるって決めたからには全部忘れよう。否定されるより何億倍もマシなルートに辿り着けたのだから。

ありがとう、そしてごめんね、フジ。

さよなら。

……ん？

この書き方見覚えあるぞ。

そりゃあfjky小説なんて沢山あるし、ky受けの小説だって沢山ある。俺は小説も読むけど手軽に見れるほんわかイラストを主に見ている。大好きなのは”こふ @ほぼ活動休止状態”さんの作品。あれ本当に可愛らしくていいよね、キヨの良さを最大限に引き出せてて（割愛）……兎も角、こんな感じの切ない、思いが実らない小説だと”ゲスト”が脳裏に過ぎる……いや、この感じの短い且つ辛い小説は……、数ヶ月前に現れた期待の新星……。

「……”勝海舟”…？」

「「え？」」

「なんでその名前を！」

「い、いや、フジだってなんでその名前を！」

「「……あ。」」

言ってしまったことに気付いた2人は顔を見合せたまま口を開いて静止する。

「…と、取り敢えず…、扉空いたから出よ……」

「……うん。」

「で……まさかフジがfjky設立者の黒猫保護委員会だったとは……」

「キヨこそ期待の新星、勝海舟だとは思わなかったわ。」

「勝海舟我ながらおもろ。」

「改名を希望するわ……」