牢獄の中での戦いが激しさを増していた。
ヴァルド、リリス、エゼルは次々と処理班の騎士たちを斬り伏せていく。
しかし――
突然、処理班の隊長が 剣を振りかざしながら叫んだ。
「対象の再確認完了! 処理対象、フェン・カーミラのみ!」
「……は?」
ヴァルドの剣が止まる。
「ちょっと待て。俺たち三人は ‘処理対象じゃない’ ってことか?」
隊長は 冷たく言い放つ。
「第一血族ヴァルド、第三血族リリス、第五血族エゼル。貴様らは ‘神の創造物’ であり ‘正式な血族’ だ。」
「……血族?」
ヴァルドが 目を細める。
「待て待て、俺が ‘第一血族’ ? リリスが ‘第三血族’ ? 何の冗談だ。」
エゼルも 驚いた表情で口を開く。
「オレが ‘第五血族’ って……それ、いつ決まった?」
隊長は淡々と答える。
「それは貴様らが ‘生まれた時から’ だ。」
ヴァルドは 額を押さえながらため息をつく。
「……何か知らねぇうちに貴族になってたってわけか。」
リリスが 呆れたように腕を組む。
「つまり血族に属していないのは……フェン、あんただけってこと?」
「ああ、そういうことだ。」
隊長が 無表情で頷く。
「第十三の血族 ‘フェン・カーミラ’ は ‘存在してはならない者’。抹消対象は ‘お前’ のみ。」
フェンは 小さく笑った。
「へぇ…… ‘俺だけ’ ね。」
彼は 静かにヴァルドたちを見た。
「お前らは ‘血族’ だから、神様に許された ‘存在’ ってわけだ。」
ヴァルドは 苦々しい表情で剣を収める。
「……つまり ‘俺たちは関係ない’ って言いてぇのか。」
隊長は 鋭い視線を向ける。
「その通り。お前たちは ‘血族の者’ だ。処理の必要はない。だが、フェンを庇うなら話は別だ。」
エゼルは 鋭く聞いた。
「‘血族’ じゃないと ‘なぜ消される’?」
隊長は一瞬、沈黙した。
そして、低い声で答える。
「それが ‘神の意志’ だからだ。」
ヴァルドは 舌打ちをする。
「また ‘神様の気まぐれ’ ってやつかよ。」
リリスがフェンを じっと見つめる。
「フェン、あんた ‘第十三の血族’ って言われてるけど……本当のところ、何者なの?」
フェンは ゆっくりと答えた。
「……‘神の失敗作’ さ。」
その瞬間、処理班が 一斉に動いた――!
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