「…可愛い、撫でてもらえて嬉しいね?」
Akの腕の中は、心地よかった。
あたたかくて、優しくて、
頭を撫でる手のひらまで、全部が。
「……ふん、べつに、こんなの嬉しくねぇし」
それでも、素直になれなくて。
ツンとした態度で、Mzはそっぽを向いた。
「ふーん」
Akが、ふと腕を緩める。
「じゃあ、俺部屋戻ってもいい?」
「っ……!」
一瞬、心臓が跳ねた。
(は?え、離れるってこと、…?)
「それか、お風呂でも入ってこよっかな、」
わざとらしくそう言って、
Mzの体を離す。
そして、部屋から出ようと足を進める。
今、ぎゅって抱きしめてくれてたのに。
せっかく、勇気出して言えて、撫でてもらって、ぎゅーしてたのに、まだ一緒にいて欲しいのに。
もう、離れるなんて…
——いやだ。
「……っ、」
気づいたときには、Mzの目は涙でいっぱいになっていた。
(なんだよ……そんな一緒にいるの、嫌なのかよ……)
眉を寄せ、噛みしめた唇が、
今にも震えそうになって。
「……え、ちょ、待って」
びっくりした? なんて言おうとし、振り返って顔を見た瞬間、
Akの足が止まる。
「嘘、嘘だから!!」
慌てた声とともに、
すぐにMzの体を引き寄せる。
「ごめん、ごめんって……!泣かないでよっ、!!」
強く抱きしめながら、
優しく頭を撫でる。
「……俺の腕の中、そんなに嫌?」
「……っ、ちがう、ばか……!」
「寂しい」という気持ちを埋めるように、
ぎゅっとAkにしがみついた。
腕の中が、心が、だんだんあたたかくなってって。
「……いじわる、すんな……」
掠れた声で呟くMzの頭を、
優しく、優しく撫でた——。
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