コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
🦉🎻「凪ちゃん〜………、って、何これ?」
任務帰りの彼は、眉を八の字に曲げて私に問う。
📄「…あ”〜、ちょっと、片付ける暇が無くて…。」
セラ夫が眉をひそめる理由も分かる。
私の目の下には鬼程濃いクマが刻まれている。
机の上にはエナドリや某栄養食のゴミや書類が散らばり、それが床にまで侵食していた。
🦉🎻「…片付けないの?」
📄「ちょっと仕事がね…、この時期は貴方も知っている通り仕事が舞い込んでくるんですよ…。」
📄「申し訳無いのですが、片付けて頂けますか……?」
🦉🎻「…仕方が無いなぁ。」
🦉🎻「この間もそう言ってたよね…。」
🦉🎻「なんで自分の寝る間を惜しんでまで仕事するかなぁ…。」
🦉🎻「自分を削ったって、何もならないのに。」
📄「…確かにそうですね。」
📄「でも、なんだか断れなくて。」
🦉🎻「凪ちゃんはそういう人だよね。知ってる。」
🦉🎻「人が困ってたら、自分の事なんてお構い無し。」
🦉🎻「自分をすり減らしてでも助ける。」
📄「…良く分かっているじゃないですか。」
📄「さあさあ、こんな汚い部屋にいたら貴方も気分が悪くなるでしょう。」
📄「夜も遅いし、今日はお帰り下さい。」
流石にこの仕事量は自分でも心身共に危機を感じる。
だが、請け負ってしまったのだからやるしかない。
…………っていうのもあるが、1番は私達に仕事を依頼した人を放っておけないからだろう。
刺客の処理も請け負っているが、ほぼなんでも屋なので色々な仕事が来る。
中には酷く精神が揺さぶられる物事に関わる仕事の依頼も来た。
裏社会組織を抜けようと、私達を頼りにする者もいた。
そういう方がいると、昔の自分を思い出してしまって放っておけない。
🦉🎻「…君はさ、もっと人を頼ったらどう?」
🦉🎻「自分一人で済ませようなんて、馬鹿が考える事じゃない?」
セラ夫がこの有様に流石に痺れを切らしたのか、少し厳しい口調で話す。
🦉🎻「今は俺もいるんだし、ちょっとくらい頼りなよ。」
🦉🎻「任務帰りだけど、俺、まだ動けるよ。」
🦉🎻「なんなら、ご飯を作る手だってある。」
🦉🎻「机上見る限り、まともな食事取ってないでしょ。」
📄「……まぁ、それは…、はい。」
🦉🎻「何でもかんでも1人で背負わなくていいからさ。」
🦉🎻「少しは頼ってよね。」
🦉🎻「Room4Sの請負人には、エージェントがいる。」
🦉🎻「そのエージェントが今ここにいるよ。 」
🦉🎻「確かに、今まで自分の仕事を仕事した事ない人に自分の仕事を教えるのは面倒臭いかもしれないけどさ…。」
🦉🎻「頼って欲しい…って、思うよ。」
📄「ぁ…。」
確かに私だけじゃない。
セラ夫_セラフ・ダズルガーデンというエージェントがいる。
セラ夫の言葉を聞いて今まで張りつめたものが解けたのか、眠くなってくる。
そういえば、4日くらい寝てなかったな…。
🦉🎻「ほら、お休み。」
セラ夫はソファから毛布を手に取り、私の方に掛ける。
🦉🎻「…ちゃんと横になって寝るんだよ。」
🦉🎻「その間にご飯作って、出来るだけの仕事はしておくから。」
🦉🎻「『申し訳無い』なんて思ったら怒るからね。」
セラ夫に頭をぽんぽんと撫でられ、ソファへと腰を掛ける。
そのままぐでっと横になり、別室の給湯室へと向かうセラ夫の背中を見つめていたら、瞼が段々重くなって、夢の世界へと落ちていった。
📄「………ん”ぅ”、…あれ?」
あ、今、何時だ…?
あ、というか、セラ夫…………。
📄「…セラ夫〜?」
ソファから起き上がって、セラ夫を呼ぶと、ひょこっと給湯室から顔を出した。
🦉🎻「ん〜?」
🦉🎻「あ、起きたんだ。」
🦉🎻「おはよ。」
ふわっと笑うセラ夫にギュンっと何か来た気がして、思わず顔を伏せる。
📄「お、おはようございます。」
🦉🎻「ご飯出来たよ〜。」
🦉🎻「食べる?」
📄「はい。ありがとうございます。」
🦉🎻「ん、準備するね。」
セラ夫がご飯の準備をしてくれている間に、部屋を見渡す。
乱雑していた部屋が隅々まで片付けられ、床もピカピカになっていた。
📄「す、すご…。」
コト…ッ。
机に置かれた料理を見て思わず「わぁ」と声を上げる。
ほわほわと湯気がたっていて、キラキラと輝いている。
🦉🎻「セラフ特製!カルボナーラで〜す!」
🦉🎻「お熱くなっておりますので、お気を付けてお召し上がりください!」
📄「…貴方、凄いですね!」
📄「めちゃくちゃ美味しそうですよ!」
📄「い、頂きます!」
麺をフォークで巻き、口に入れる。
濃厚なクリームに、ブラックペッパーの辛味が程良く効いている。
🦉🎻「……どう?美味しい?」
📄「はひ、めっひゃおいひいです…!(はい、めっちゃ美味しいです!)」
🦉🎻「そっか…!良かったぁ!」
頬杖をつき、私をじーっと見つめるセラ夫。
📄「…ちょ、何ですか?」
📄「じっと見られてると…、なんか食べずらいです…。」
🦉🎻「ふふっw凪ちゃんすんごい美味しそうに食べてくれるから、なんか嬉しいな〜って。」
📄「…そ、そうですか。」
🦉🎻「なに凪ちゃんが照れてんの〜w」
🦉🎻「普通こっちでしょ〜w」
セラ夫は本当にずるい。
ふにゃって笑う顔も、動く度微かに揺れるピンクブロンドに赤いメッシュが入った髪も。
全てが私の胸を締め付けて、なんだか苦しくなる。
🦉🎻「ねぇ、凪ちゃん。」
📄「な、何ですか…?」
カルボナーラを頬張る手を止め、セラ夫の方を見る。
🦉🎻「好きだよ。」
📄「……………なッ!」
📄「…ちょっ、え、ぁ…………。」
本当にずるい。
顔が熱くなるのを感じて、恥ずかしくなって手で顔覆い隠す。
しれっと給湯室に戻って行くセラ夫の方を見ると、耳が赤くなっていた。
本当に、どれだけずるいことをすれば気が済むのやら…。