「ないこ今日デート行かへん?」
「えっ、?」
急遽会議終わりに彼から告げられた言葉。彼からの珍しいデートのお誘いに驚きが隠せない。
「な、何で?」
「笑、そんな驚く?いつも活動であんま2人の時間取れてへんからさ。今日はなんもないし、2人で過ごさん?嫌ならええけど、」
「あ、全然嫌ではないんだけど、その、」
「?なんも用事ないんやったら行こうや。」
「、うん、」
俺は後片付けを少し雑に済ませた後、彼と一緒にオフィスを出る。
楽しみなのか軽快なリズムで歩く彼。そんな彼を横目に俺は気持ちが沈んでいた。
色々な店を回る。特に必要な物はなくて、ただ見るだけ。見終えた後、はレストランで食事を済ませて、帰り道を歩く。
さりげなく彼が手を繋いで来たことは気が付かなかったことにしよう。
「まろ帰らないの、?」
「うん、ないこ送ってから帰る。」
「別に良いのに、仕事で疲れてるだろうし、」
「こんな時間に大切な彼女を1人で帰らせへんよ。こんな事ないように同居したいけど、まだ期間的に無理やしな。ライブもあるし。」
その言葉に胸がぎゅうっと締め付けられるのを感じる。彼は優しすぎる、。
踏切の前で止まり、電車が来るのを待つ。
「ないこ?大丈夫か?」
そう言い、俺の顔を覗き込む青髪の彼。その長い睫毛の隙間から見える瞳が心配そうに揺れる。
「さっきからずっと黙ってるけど具合でも悪いん、?」
別に具合なんて悪くない。ただ、ただ、、
「あっ、うん。大丈夫だよ。何でもないよ。」
今日の君は何処かに行ってしまいそうで、消えてしまいそうで。怖い。
でも、そんな事で俺は彼に迷惑をかけたくなかった。だから口を継ぐんだ。すると、目の前で閉まっている踏切に急に女の人が入った。もうすぐ電車が来るというのに。
「!?あの人、何して、」
俺が言い切るのと同時に彼が助けに行こうと走り出そうとする。
、嫌だ、嫌だ、彼がもし巻き込まれたりでもしたら、、ッ
「まろッ、いかないでッ、。」
俺は女の人を助けに行こうとする彼の腕を掴み引き止める。
彼ははそんな俺を暫く見つめた後、頬を撫で、微笑みかける。
「、大丈夫。大丈夫やから。ちゃんと戻ってくるよ。」
俺を落ち着かせる様な声でそう言い、突如自分の首からネックレスを取る。
「ほら、ないこにさ、このネックレス預けるからさ。戻ってきたら俺に付けてや。なっ、?」
そう言い、彼は俺の手にネックレスを乗せる。こんなの断れないじゃんかッ、、。
「、うんッ、分かった、絶対戻ってきてね、。」
「ん、約束。」
まろは最後に一度だけ俺を抱き締め、女の人助けに走っていってしまった。
踏切の外から彼が女の人を助けるのを見届け、安堵する。彼が此方に戻って来ようとした時、
「お母さんッ、!」
女の人の息子であろう子供が走って来た。踏切の中に入り、女の人がいる向かい側の踏切まで渡ろうとする。そんな子供に横から迫る電車。
「ッ、!」
彼は踏切の中に入り、男の子の体を思い切り押した。自分の体に電車が迫っているというのに。最後に此方を見つめて申し訳なさそうな顔で微笑んだ。俺はそれを見つめる事しか出来なかった。次の瞬間、グシャという嫌な音と共に目の前に広がる鮮烈な赤。
「、まろ、?」
そう彼の名前呼ぶ俺の声は掠れていた。子供の泣き叫ぶ声、女の人の悲鳴、電車のブレーキの音が頭の中で鳴り響き、段々と視界がぼやけてくる。俺はそのまま意識を失った。
目覚めた時は病院だった。ベッドの周りにいた皆が俺を抱き締める。
“ないちゃんは”生きてて良かった、と。一体どういうことだろう?彼は?
俺は震える声で皆に問う。
「ねぇ、まろは、?まろは生きてるよね、?」
すると、黙り込む皆。
「なんで黙るの?まろは生きてるんだよね?」
「、ないこ、」
アニキが重い口を開く。
「ッ、まろは亡くなってもうたッ、。」
、信じられなかった。だって、あれだけ戻って来るって、約束したのに。
優しい声、微笑む顔、俺を撫でてくれた手。全てが愛おしくて大切な人だったのに。
「ぅ“、はっッ、ふぅッ、ぁ、」
喉から嗚咽が漏れる。目から涙が溢れて、頬を伝う。そんな俺を無言でもう一度優しく抱き締める皆。まろ、まろッ、。もう一回彼の声が聞きたい。もう一回俺に愛を伝えてよ。
”愛してるって“
俺は手の中にある彼が最後に残したネックレスを強く握り締めた。
サムネ
少し雑になっちゃったけど頑張って描いた!
コメント
2件
バドエンは最高じゃないか(((((殴殴 半泣きなりかけたよ😭😭 曲パロあざす🙇🙇