「此処が、狭間の入口…」
私の目の前にあるのは私よりも何百倍もある門の前
昔、言い伝えの歌を祖母から聞いたことがある
〜ふたつの堺 近づくな お前の魂 取られるぞ〜
昔は意味が分からず、ただの歌と思った自分を恨みたい
門を何回かノックをするとギィィと音がして門が開く
ビクッとしながら恐る恐る見ると黒髪の男の人がいた
「人?なんでこんなところに…」
「あ、え、えっと…実は私”情報屋”さん?に用事があって」
ピクッ「情報屋?ハァ…着いてこい」
そういうと男の人は1人で門の中、つまり狭間にスタスタと入っていった
「(…行くしかないよね)」
意を決して中に入った
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そこから右に7つ、階段登って、真っ直ぐ行って左に2つそこからすぐに右に行ったところにポツンと部屋がある
見た感じ、少し不気味で入るのを躊躇うような感じだ
「社長!依頼者ですよ…って寝てるし」
男の人が呼んでいる社長さんは見た感じ私と同じ…いや、年下ぐらいの年齢で 私よりも少しだけ身長が高くて猫目の少年
社長さん?は、ふぁ〜とあくびをしながらこちらを見る
するとパーっと明るくなりこちらに来た
「シキ!帰ってたんだ!」
志岐と言われた男は舌打ちをしながら社長さんに紙袋を渡した
「これ、例のやつとお客さんです。あと名前で呼ばないでくださいとあれほど言ってるのに…」
背中を押されて慌てた私を彼は物珍しそうに見ている
「お客さん?ってことは依頼人かな?ようこそ!情報屋”炉”(いろり)へ、俺はここの社長をしている神代 或斗って言います!」
神代さんは、よろしくねと手を出してきた
手を握ると後ろからため息が聞こえた
「君の名前は?」
「あ、私は月川 夢羽と言います!」
神代さんは少し考える素振りをすると笑いだした
「ムウだっけ?今さ、この部屋ボロボロだなーって思ったでしょ?」
……図星だ
「なんで…?分かったんd「そんなの簡単に決まってる」
「え…」
振り向くと志岐さんが呆れていた
「アンタの目や表情、仕草や声で分かるんだよ。此処はアンタが思ってるようなおままごとをしてないんだよ」
カッと熱くなる顔を手で隠す
「お客さんをいじめないでよ!」
神代さんと志岐さんは大笑いしていた
「で、ムウは何しに来たの?」
そういえば…と思い出し、ここまでの経緯を二人に話した
「…なるほどね。もしかしたら、それって”ゴースト”の仕業かもね…」
ゴースト?聞いた事がない単語に頭の中で疑問が浮かぶ
ゴーストとはいわゆるお化けなのか?
「ゴースト?というような顔してるねムウ」
図星で少し照れながら頷く
すると神代さんと志岐さんは目を合わせて微笑む
神代さんは詳しく説明してくれた
“ ゴースト”、それは死んだ人の魂が強い力を持って擬人化したもの
特に芸能人、プロの選手、初恋の人、先生
そういう人達は特に生きている人から思い出されることが多く、その分力が強くなる
普通のゴーストはそれだけで終わる
けれど、その中でも悪い噂や不満が思い出されると悪霊化してしまう
その悪霊化したゴーストは人や物に取り付いたりし、悪事をしている
その中でも”情報屋”は、そのゴーストを浄化させる力を持つと言われている
「君に取り憑いているそのゴーストは、悪霊化してないみたいだし、どうやら未練があるようだね」
神代さんは笑って言う
「じゃあ、未練を聴こうか?」
そう言うと、神代さんはニヤッと笑った
1m…50cm…10cm…と近づいて来る
「(な、何すんの!このままだと…)」
真っ黒の瞳が私をじっと見つめながら動かない
神代さんは、手を口元に動かすと
「シー、動かないで」
耳元で呟いた
「(私の初めてが…!)」
覚悟して目を瞑る
「ふーん、そういうこと」
ニコって笑って離れてくれた
ソウイウコト?ってどういうこと?という状況の私
「どうやら君の祖先?親戚辺りかな〜君が心配らしいね」
最近なんかあった?と顔を覗き込まれて少し焦る
何か…いや特にはなかったはず…
「多分ありません…心当たりがなくて」
「じゃあ、これからあるのかな?」
神代さんは悩む素振りをして志岐さんに何かを相談している
「え…俺は嫌ですよ…なんかあったらって…しりませんよ…ハァ分かりましたよ!」
志岐さんはため息をつくとこちらに来る
「今日から少しの間、俺がアンタと一緒に行動することになった」
「……え」
よく分かってない私に神代さんが説明してくれた
「もし、悪霊化したりしたら大変だし悩みを解決してこそ情報屋だからね」
「わ、分かりました…」
じゃ〜よろしくねと神代さんは奥に言ってしまった
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