…なんでこうなってしまったんだろうか。
ある日、空はスメールに来ていた。
「あ、おーい!ナヒーダ!」
「あら、旅人。どうかしたの?」
「放浪者見なかった?探しても見つかんないんだよね…」
「残念だけどそれについては私もよくわからないわ…そうね、一緒に探しましょう」
今思えば、これが1番の原因だったのかもしれない…
そうして2人は放浪者を探しにいった。
「30分探したけど……」
「見つからないわね…」
「ナヒーダぁ…なんか放浪者がいそうな場所とかない?」
ナヒーダは少し考え込んでしまった。そして遂に…
「…一つだけ、あるわ」
「本当!?じゃあ行こう!」
「でも、一つ問題があるの…」
「問題?どうしたの?」
「少し遠い所にあるの。すぐには行けないわ…」
「ええ!?じゃあどうすれば…」
もう策がないかと思った所で、ナヒーダが提案を出した。
「そこで一つ提案があるの。ちょっと危ないかもしれないのだけれど…いいかしら」
「大丈夫!俺鍛えてるよ!」
「そ、そういうものではないのだけれど…まあいいわ。」
なんだか嫌な予感がするけれど、気にするものではないか。と空は思ったのだ。
後に空はそう思ってしまったことを後悔することになる____
「い、いやいやいや!?何これ!?」
「何って…肩車よ。」
そう、危ないものというのは……
『肩車』だったのだ。
「肩車って…!子供じゃあるまいし!!」
「あら、言ってなかったかしら。ちょっと危ないのかもしれないと。」
「い、言ったけどこういうことではないと思ってたんだけど…!?それに、男が肩車されるのはちょっと悲しいっていうか…!」
「これしかないの。少しの辛抱よ。」
「うう…!少しの辛抱…!少しの辛抱…!!!」
空は頬を紅く染め上げて、現実逃避をするしかなかった。
「あら、もう着いてしまったのね。なんだか悲しいわ。」
「悲しいって…うぅ…こっちは小さい子に肩車されてて…お、思い出しただけで恥ずかしい…!」
「あらあら、ふふ。こうやって旅人が頬を染め上げてるのを見るのは意外と楽しいものね。」
「俺は見せ物じゃないんだけど…!?」
少し世間話をしていたらもう着いてしまったのだ。それだけ世間話が楽しかったならよかった、と空は思った。いや、肩車をされたことに関してはまだ納得はいかないが。
なんて、ちょっとした会話をしていた所に放浪者が来た。
「…何の話をしている?」
その姿はあまりにも………………
恐ろしかった。
「ほ、放浪者…!?あ、そうだった…放浪者を探しに来てたんだった!」
「…へぇ?僕がいない間、楽しいことをしていたようだね?そう、本来の目的を忘れてしまうくらいには、ね?」
「あら、あなたがいなかったのが問題じゃないかしら?」
「何だ、君が手伝ったりしなければよかったんじゃないのか?」
「折角此処に尋ねてくれた旅人のことを放置は出来ないわ。それにあなたを探すために来てくれたんだもの。」
2人が話している間の空はまるで空気のようだ。
(…付き合っているみたい…なんでかはわかんないけどモヤモヤする…)
「…ふふ。旅人も意外とお茶目なのね。私は旅人を1番優先しているわ。だからあまり気にしないで頂戴。」
…どうやら心の声が読まれていたみたいだ。うっかり草神のことを忘れていた。
「いや、君の考えは全て顔に出ていたよ。何だ、気づいていなかったのかい?」
「え!?顔に出てた!?恥ずかしい…」
「「……」」
そんな反応をして見せたらナヒーダと放浪者はまるで赤子を見つめるような瞳でこっちを見ていた。
「あ、ねぇなんか今失礼なこと考えてなかった!?」
「考えてはないと思うわ。ふふ」
「…君の判断次第だね。」
はぐらかされたような気分がしてなんだか少し寂しくなる。
そうしたら急にナヒーダが。
「あら、旅人の後ろから何か来てるわ。」
と、言った。
一体なんだろう、と思って振り向いてみると…
「わぶっ!?」
「旅人〜!!オイラを置いてどこにいってたんだ!!」
「ぱ、パイモン!?ごめん!すぐ帰るつもりだったんだって!痛いからほっぺ引っ張らないで!」
「帰ったら美味しいものいっぱい作ってくれるなら許すぞ!」
「わかった!わかったから〜!」
「それなら、折角だしみんなで美味しいものを食べにいきたいわ。」
「おお!それならオイラも賛成だぞ!」
「俺もいいけど…放浪者は?」
「…僕も別にいいよ」
「よし!すぐ行くぞ!旅人もすぐ来ないと置いて行くからな!」
「ええ!?それは困るよ!?今行く!」
「賑やかね。これも旅人の力なのかしら。」
「…はぁ?何独り言を言ってる?早くしろ。」
「あなた、こういう雰囲気苦手だと思っていたけれどそんなことなかったみたいね。」
「別に、どっちでもない。ただどうせ行かなかったらあの厄介者になんか言われるだけだ。僕は好きでも嫌いでもないね。」
「そうかしら?…まあ、そういうことにしておいてあげましょう。」
「じゃあ僕は行くよ。早くこの時間を終わらせたいからね。」
「…私の予想は合っていたみたいね。前のあなただったらきっと、『はあ?そんなもの僕がいっても仕方ないだろう。』と言って断っていたと思うけれど…成長したみたいね。さて、そろそろ私も旅人のところへ行きましょう。このままあの2人に旅人を取られるわけにはいかないわ。」
コメント
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空って私の使ってるキャラなんですけどホントに可愛いです(*´`)最初に空を選んで正解でした。
神作をいつもありがとう