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部活が終わって、私はいつものように荷物を整理していた。
(今日は、璃子と早く帰れるかな?)
ふと、璃子のことを思いながら周りを見回すと――
「あ、くるみ!」
璃子が部室に入ってきて、いつもの元気な声で声をかけてきた。
「璃子、遅かったね。どうしたの?」
「うーん、ちょっと西山先輩と話してた。」
「西山先輩と…?」
「うん、うん。」
なんだか璃子の顔がいつもより照れてる感じがする。
「え、どうしたの?何かあった?」
璃子はちょっとだけ顔を赤くして、恥ずかしそうに笑う。
「実はね、私…西山先輩に告白されちゃった。」
「えぇ!?告白!?西山先輩が!?」
思わず声を上げてしまう。
(まさか璃子が…!)
「うん、でも、私も先輩のこと好きだったから、うれしくて…」
「う、うわぁ、すごいじゃん!」
「うん、でも、なんだか夢みたい。」
璃子は少し恥ずかしそうに言った後、私に見つめられて照れ笑いを浮かべる。
「でも、くるみ、ありがとうね。」
「え?私、何もしてないけど。」
「いや、だって…くるみがいつも私を応援してくれて、私も気持ちを整理できたし。」
璃子の言葉に、私の胸がポカポカと温かくなる。
(璃子、良かったね…)
「よかったよ~、ほんとに。」
「うん、ありがとね、くるみ。」
「ううん!私も嬉しいよ!これからも応援するからね!」
それから、しばらく二人でその話をしていると、ふと気づいた。
(あれ?)
西山先輩の話をしていたのに、気づくと私の心は少しだけ寂しくなっていた。
(なんでだろう…)
(璃子が幸せなら嬉しいはずなのに…)
「……くるみ、どうしたの?」
璃子が心配そうに私を見ている。
「あ、いや、なんでもないよ!」
私は慌てて顔を明るくして答えるけれど、心の中ではずっとモヤモヤしていた。
(だって、私は…西山先輩と一緒に過ごす時間を、あんなに大切に思っていたから…)
でも、もう遅い。
璃子が先に進んだ道を見守るしかない。
(ううん、これでいいんだ…)
そんな気持ちを胸に、私は璃子の手をしっかりと握った。
「大丈夫だよ、璃子。これからもずっと、友達だよね。」
「うん!ずっと!」
璃子は元気よく答えて、私を安心させてくれる。
(だから、私は……璃子を応援してる。それだけで十分だよ。)
でも、心の奥にある気持ちを、私はまだ整理できていなかった。