夕暮れの空が赤く染まるころ、霧島のスマホに通知が鳴り響いた。画面には「吉田パパ支えよう’s」のグループ名が表示されている。
霧島は通話を繋ぎ、ゆるりとした声で応じた。
「よっ、元気? …って、翔太、また部屋暗くね?」
「うるせえよ。集中してんだ。」翔太はパソコンのキーボードをカタカタと叩きながら、ぶっきらぼうに返した。
「相変わらず引きこもってるのですね。大学生のクセして。」美咲が半笑いで茶化す。
「うっせえ、サイコ妹。」
「サイコはあなたですわ!」
「どっちもどっちだろ。」白川結那が冷静に突っ込みつつ、ナイフを研ぐ音が通話越しに響く。
「…物騒な音してんな。」霧島が笑いながらツッコミを入れると、結那は淡々と答えた。
「裏切り者は始末。それだけよ。」
「相変わらず怖ぇな…。」
そして、通話にもう一つの声が加わった。吉田武史の、少し疲れたような声。
「…お前ら、少しまともになれんのか。」
「まともになってたらこんなグループできてねぇよ、パパ。」霧島がさらりと言うと、全員が笑った。
しかし、その和やかな雰囲気も一瞬で変わる。翔太のタイピングが止まり、重い声で口を開いた。
「…雨宮の一派、動き始めてる。」
全員の空気が一気に張り詰める。結那のナイフを研ぐ手も止まった。
「ライアの動きは?」美咲が鋭く尋ねる。
「報酬系のダメージは受けたけど、雨宮が治した。」翔太が舌打ちをする。
「じゃあ、また暴れるってこと?」霧島がタピオカを啜る音が聞こえた。
「暴れるどころじゃねぇよ。次は…こっちが狙われる。」
その言葉に、吉田は深く息を吐いた。
「…お前ら、覚悟はできてるか?」
「当たり前でしょ。」結那がナイフを握り直す。
「今さらビビるわけねぇだろ。」翔太がディスプレイを睨む。
「ま、俺は俺のペースでやるけどな。」霧島が微笑む。
「…5人で勝ちますわ。」美咲が静かに言った。
「おうよ。」吉田は拳を握った。
こうして、「吉田パパ支えよう’s」は、本格的に雨宮一派との戦いに突入することとなった。
つづく。
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