第二話:「子供の壁」
シーン1:ラジオ収録2回目
前回の反省を活かそうと意気込む自由。しかし、またも収録中に噛んでしまい、場の空気が少し重くなる。自由は懸命に笑顔を取り繕うが、収録後に櫻井から思わぬ一言を言われる。
櫻井「無理に笑わなくてもいい。」
自由「え?」
櫻井「君は頑張りすぎると逆に空回りするタイプだろ?緊張したら、そのまま正直に『緊張してます』って言えばいい。リスナーだって完璧な君を求めてないんだから。」
櫻井の言葉にハッとする自由。「素直さ」が自分の強みだと教えてくれた彼の優しさを改めて感じるが、同時にその“大人な視点”が自由のコンプレックスを刺激する。
シーン2:同僚たちとの会話
事務所に戻ると、自由は同年代の声優仲間である梶裕貴と内山昂輝にラジオ収録の愚痴をこぼす。
梶「まあまあ、櫻井さんだって最初はそんな感じだったんじゃない?」
内山「でもさ、自由って甘やかされキャラだし、櫻井さんみたいなカリスマとは正反対じゃん?」
自由「それが嫌なんだよ!みんな僕のこと、子供扱いするんだから!」
自由の言葉に二人は少し黙るが、良平がポツリとつぶやく。
内山「でも、甘えられるのも自由の魅力だと思うけどな。櫻井さんも多分そこに惹かれてるんじゃない?」
その一言に自由は赤面し、慌てて否定する。
シーン3:櫻井との偶然の遭遇
その夜、自由は偶然近所のカフェで櫻井に遭遇する。櫻井は静かに本を読んでいたが、自由に気づくと手を振った。
櫻井「お疲れ。こんな遅くまで何してる?」
自由「ちょっと考え事してて……。」
二人はそのまま同じテーブルに座る。自由はしばらく迷った後、口を開く。
自由「櫻井さんって、どうしてそんなに余裕があるんですか?」
櫻井「余裕?そんなものないよ。ただ、経験を積んでるだけだ。」
自由「でも、僕には分からないです。どうしてみんな僕を子供扱いするのか……。」
櫻井は少し考えた後、真剣な目で自由を見る。
櫻井「子供扱いされるのが嫌なら、大人のフリをしなければいい。ただ、君らしくいること。それが一番の近道だ。」
自由はその言葉に納得しつつも、心のどこかで「君らしく」という言葉が引っかかる。それは「今のままでいい」と言われているようで、逆に大人への憧れを遠ざける気がしたからだ。
シーン4:櫻井の過去
会話の流れで、自由は櫻井の過去の話を聞くことになる。
櫻井「俺も昔、完璧じゃなかったよ。むしろ、最初は声優としてどう生きていけばいいか分からなくて、失敗ばかりだった。」
自由「櫻井さんが……?でも、今はすごく完璧に見えます。」
櫻井「完璧なんてないさ。俺はただ、自分ができることを積み重ねてきただけだ。それでも時々、自分が情けなく思うこともある。」
自由は初めて見た櫻井の弱さに驚きつつも、少しだけ彼との距離が縮まった気がした。
シーン5:新たな決意
家に帰った自由は、櫻井の言葉を反芻しながら考える。自分の強みは「素直さ」だと櫻井に教えられたが、それだけでは「子供の壁」を越えられないと思っている。
自由(心の声)「僕は変わりたい。櫻井さんにもっと近づくために、もっと大人になりたいんだ。」
その決意を胸に、自由は次の収録に向けて新しい自分を模索し始める。
第二話:完
次回、自由が櫻井に負けじと「大人っぽさ」をアピールしようと奮闘します。しかし、その無理な努力が逆に空回りし、櫻井に叱られる展開に……。また、櫻井の意外な一面も明らかになります!
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