初兎ちゃんの側でドラマを見るのが好きだった
、ドラマを見るのが嫌いになった
甘いハッピーエンドに浸りながら初兎ちゃんと眠るのが好きだった
、ハッピーエンドに浸ったって何も変わらなかった
窓から差し込む光と少し春には冷たいそよ風が朝を教えた
、此処に無いもの 此処に居ない人
凍った床のワンルームから
いつも外へ明るい方へと連れ出してくれる初兎ちゃん
、連れ出さないで、思い出してしまうから
連れ出さないで
お願い
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甘い天使の様な君、頭には光の輪。
噛んだ憐れな匿名だ。
「う“ぇ、はッ、っおぇ”」
胃から戻ってきた薬が胃液と共に口から吐き出される。
気持ち悪い。気持ち悪い。苦しい。辛い。涙が出る程に。
でも、これで初兎ちゃんに会えるなら幸福の定義さえ覆るほどに薬漬けになって構わないよ。君に会いたいよ。
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夢を見たいだけだ
初兎ちゃんにに会える夢を
もう嫌んなったの全部。生きるのが。人生が。
初兎ちゃんの居ないこの世界が。
夢の中、今はひたすらあなたと
もっとずっと一緒に居たいなって 思ってしまう。
だから現実は見ないで夢の中の初兎ちゃんに優しくキスをした。
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間違いなく初兎ちゃんは僕の天使だった。光差すバルコニーから 太陽に手を伸ばす。
掴んだんだ、確かに。手の隙間からは光が溢れ出している。
僕はその光をぼんやりと見つめ、こう思う。
自分で起きれる様になったら初兎ちゃん天使としては僕の元に来てくれるかな?
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今際の際に消えてしまった僕の天使。
ゆっくりと横に倒れ、殺された哀れな初兎ちゃん。
幸福の定義さえ覆るほどに綺麗で美しいその瞳に
僕の全ては奪われて、映されていたんだよ。
もう嫌んなったの全部。未だの受け入れられない現実。何処をさがしても君は居ない。
今は ひたすらあなたとの幸せが欲しくて、もう既に生きていない君の遺影に
「いっそ、初兎ちゃんが居る天国に行こうかな」
と言い、笑いかけた。
「初兎ちゃん。来世があるなら、天国があるなら今度こそ幸せにしてみせるからッ、」
ごめんね。僕が守れなかったんだよ。
唇を噛み締め、大粒の涙を流す。
君が居なくなったのは僕のせいだよ。
だから、君を1人にしない様に僕もそっちにいくね。
「待っててね、初兎ちゃん。今そっちに行くから」
僕はフェンスの外に立ち、足を地面から離した。
目に映る綺麗に輝く眩しい朝日。今日も少し冷たいかな。
君に会える事を願って飛びたって飛びたっていくよ。
体が宙に投げだされる中、
僕の目に天使になった初兎ちゃんが見えた気がした。
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