コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
黈side
綺麗だった。
それでも、伝えられなかった。
伝えちゃ、いけなかった。
百side
旅行も終わり、帰りの電車に揺られていた。
電車の窓からは夕日がちらちらと顔を出していて眠たい俺の視界をぴかぴかと邪魔している。
茈「…(寝)」
赫「ふ…(笑)」
瑞「…ん~…(寝)」
翠「…(微笑)」
前の方では寝ているふたりを親のような顔で優しく見守るふたりが見える。
夕日と電車と外から見える自然も相まってこれ以上ないほどエモい雰囲気が漂っていた。
黈「…(眠)」
隣にいる黈もこくこくと頭を揺らしていて眠そうだ。
百「寝ていいよ?」
黈「ん…(寝)」
優しく頭を撫でると俺の肩にこてん、と倒れて眠る黈。
百「…(優笑)」
…かわいいなぁ、…
百「…(涙目)」
…好きになっても、いいかなぁっ、…
なんで俺は好きな人に好きって言うのにこんなに苦しまないといけないんだろう。
…。
ううん、そんなこと、言ってちゃダメだ。
茈side
茈「…ん、(目覚)」
赫「…(笑)」
茈「っ、おまッ(焦)」
赫「かわいい寝顔なことで(笑)」
目が覚めると目の前には想い人の顔が。
寝てる時のあほ面をそんなに至近距離で見られてたなんて恥ずかしい。
赫「顔真っ赤(笑)」
茈「っ…うるせぇ(顔背)」
こちらを覗き込んでくる赫から顔を背けると更に近づいてくる。
赫「かぁわい(笑)」
茈「っ…そういうことほいほい言うなよ(赤面)」
赫「えぇ?本心だけど?(笑)」
茈「…お前な…(照)」
こういうとこが罪な男だとつくづく思う。
赫「…ほんと、…」
茈「え?」
赫「…なんでもねぇよ(笑)」
小声で言った赫の声がうっすら聞こえた気もしたが、きっと聞き間違いだろう、と浮き上がった気持ちを心の中に押し込めた。
翠side
瑞「…んぅ…(寝)」
翠「…(頭撫)」
規則正しい寝息の中に所々はいる小さな声が可愛らしくて、自分も疲れていて眠たいのに身体がこの可愛さを逃そうとしない。
瑞「…すっち~…(寝)」
翠「え…、?(撫止)」
自分の名を呼ばれて聞き返すが、寝言だったのだろう。
目は閉じたままだった。
翠「ふふ…(笑)」
どんな夢見てるのかな
翠「…好きだよ、瑞ちゃん(小声)」
青空に浮かぶ、アイスクリームのような白い雲。
それは、出来てから初めて襲いかかる優しい…それでもこの雲にとってはとても強い風によって少しずつ小さくなっていく。
…まるで、〝太陽〟に照らされて溶けていく〝氷菓〟のように。
百side
瑞「旅行楽しかったね~!!」
黈「ほんま楽しかった!」
翠「また行きたいねぇ(笑顔)」
長いこと電車に揺られて、いつの間にか学校からの帰路へと に着いていた。
赫「たまには大人数で遠出すんのもいいな(笑)」
茈「…おう、」
百「…」
ほんと楽しかったなぁ…。
それこそ、人生で1番くらい。
瑞「明日もあそぼーよ!」
茈「は?疲れたしパス。」
黈「おれも明日は…」
赫「明日は一日中寝るって決めてる。」
百「課題しないと…」
瑞の提案は続々と断られていく。
それによってだんだんと表情が暗くなっていく瑞。
翠「それじゃ明日は2人であそぶ?」
瑞「翠っちー!!(目輝)」
まさかの展開。
ぴょんぴょんしながら翠のもとへと駆け寄ってハグをする瑞を戸惑った表情で、それでも優しく受け止めていた。
赫「カップルかよ(笑)」
黈「破廉恥やぁ…(照)」
茈「これで?(笑)」
百「お似合いだけどね(笑)」
そんな会話を聞いていたからか瑞の耳が真っ赤に染まっていく。
ハグをしていて顔は見えなかったのでぎりぎり耐えている。
茈「…2人にさせてあげましょうかね~(笑)」
百「それじゃ俺らこっちだから」
黈「ほなね!」
赫「おつおつ~」
そういって俺と茈は左の道へ、黈と赫は右の道へ、瑞と翠はそのまま真っ直ぐ、十路地で分かれた。
赫side
赫「まじつかれたぁ~(伸)」
黈「でも楽しかったね(笑顔)」
いつも通り、黈と2人、横並びで歩く。
家が近いこともあって小さな頃から仲良しだった。
赫「…で、百とは進展あったの?」
黈「ほぇっ、!?(照)」
早速百との話題を切り出すと顔を真っ赤にさせて首を横に振る黈。
赫「あるやつの反応なんだわ、それ(笑)」
黈「うぅ…あったけど恥ずかしいから言わないし言えないっ(照)」
いや何この反応(笑)
ほんと愛おしいこいつ…(笑)
黈「…でも、何も無かったって言った方が正しい(苦笑)」
赫「…あー…予知夢だっけ、?」
黈は昔から不思議な夢をよく見るらしい。
ちょっと先の未来が見える、不思議な夢。
赫「ふーん…ま、反応見る感じ幸せな予知夢だったんじゃん?」
黈「…まぁ、うん…?」
曖昧な返事をする黈。
この予知夢がなけりゃ百と仲良くなっていなかったと考えるとこれにもだいぶ助けられている。
黈「…でも、ちょっと悲しい夢だった(遠見)」
赫「…」
ずっと奥の方を見ながらぽつりと呟く黈。
赫「…まぁ、全部が全部なる訳じゃねぇんだろ?都合悪いやつは気にすんな(笑)」
実際、不幸事の予知夢も見たことがあるらしいがその通りにならなかったこともあるらしい。
所詮夢だ。
黈「…うんっ、!気にせんどくっ、!」
無理してるようにも見えるが、このくらいが今の黈には丁度いいだろう。
黈「…それより、茈にきとはどうやったん!」
赫「まぁそれなりに?」
黈「うわぁ…強者の笑みや…」
唯一恋愛相談をしているのが黈。
相談、というより報告に近いのだが。
赫「ま、俺顔いいからさ」
黈「否定できんのが腹立つな(笑)」
…ふっ、
赫「あともうひと押し…っぽい」
黈「わぁっ、!…カップル誕生や…!」
赫「まだだけどな(笑)」
何となく見上げた空は雲ひとつない快晴だった。
next
♡×600