6話
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「この音、聞こえる?」
私は音楽室の隅にある古い柱時計を指差した。
静かな室内に響くのは、規則的な振り子の音。
それが、まるで耳元で囁いているように感じられた。
「普通の時計の音じゃないな、、、」
翠が柱時計に近づき、眉をひそめる。
「でも、どうして今になって動き出したの?」
ノアが冷静に観察している。
時計の針は12時ちょうどを指していたが、振り子は確かに動いている。
「次の七不思議は、この時計に関係してるってことですよね、、、?」
紫音が興味津々に時計を見上げた。
「そう考えるのが自然かも。」
私はノートに浮かんだ「古い時計のもとへ」という言葉を思い出しながら答えた。
夜の校舎に戻るのは、もう慣れてしまった。
次の日、私達は授業が終わるのを待ち、再び校舎に行くことにした。
「なんか、こうやって夜の学校に入るのも当たり前になってきたよなw」
黃葉が冗談めかして言う。
「それ、全然褒められたことじゃないからね?笑」
私は軽く笑いながらも警戒を怠らなかった。
音楽室に到着すると、昨日と同じように柱時計が動いていた。
ただ、今夜はそれだけではなかった。
時計の振り子の音が、いつの間にか不規則になっていたのだ。
「なんだこれ、、、変な音。」
ノアが一歩引き、顔をしかめる。
「音に合わせて、、、何か隠されてるんじゃないの?」
翠が時計の振り子を見つめながら言った。
「そ~いえば、時計の裏側とか調べてないよね。」
私は恐る恐る時計の後ろに回り込んだ。
柱時計の背面には、小さな木の扉が付いている。
「これ、開くかな、、」
私は手を伸ばし、扉をそっと押した。
扉の中から出てきたのは、一枚の小さな紙片だった。
それには手書きの文字が書かれていた。
「三度目の鐘が鳴る時、影が動き出す。」
「三度目の鐘、、、、?どういう意味だろ、?」
黃葉が不思議そうに紙片を眺める。
「鐘の音を聞いたら何かが起こるってこと、?」
紫音が首をかしげた。
話している間に、時計の針が静かに進んでいることに気づいた。
今の時間は11時55分。
「あと5分で12時だ。」
ノアが冷静に時計を指差す。
「もしかして、、、12時になったら鐘が鳴るんじゃない?」
私は緊張で息を飲んだ。
「なら、待ってみるしかないよな。」
翠が肩をすくめて答える。
時計の針が12時を指した瞬間、鐘の音が響いた。
ゴーン……
最初の鐘はゆっくりと重々しく響き渡る。
私達は息を呑んでその場に立ち尽くした。
ゴーン……
二度目の鐘が鳴ると、音楽室全体に冷たい風が吹き込んだような感覚がした。
柱時計のガラスに、私達の影が映り込む。
「これって、、、昨日の鏡と同じ感じ、ッ?」
黃葉が震えた声で言う。
ゴーン……
三度目の鐘が鳴ると同時に、影が動き出した。
いや、正確には影が「私達と別の動きをしている」
「やっぱり影がおかしいッ、、、!」
私は思わず叫んだ。
影の中で、私の姿がこちらをじっと見つめるように止まったのだ。
「待って、何か伝えようとしてるかもしれない。」
ノアが一歩前に出た。
柱時計のガラスに映る影が指を動かしている。
その指先が示しているのは、、、時計の文字盤だった。
「文字盤の、、ここだ!」
翠が影の動きに合わせて時計の一部を押し込むと、小さな音を立てて文字盤の一部が外れた。
その中から現れたのは、またしても古びた紙片。
「次なる謎は静寂の図書館」
「図書館、、、次の七不思議はそこか、、、。」
私は紙片を握りしめながら呟いた。
「でも、今の影って一体なんだったんだろうな、?」
黃葉が柱時計のガラスを見つめた。
「多分、七不思議に囚われた“誰か”だと思う。」
ノアが静かに言った。
その言葉には、確信のようなものがあった。
「“助けて”って言葉も影が残していたし、、、何かを伝えようとしてるんだよね、、、。」
私は昨日の鏡の出来事を思い出しながら答えた。
不気味な影の謎は深まるばかりだ。
けれど、次の手がかりは図書館にある。
私達は気を引き締め、音楽室を後にした。
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6話 終
next~7話
【図書館】
♡たくさんほしぃ、、
コメント
2件
謎は深まるばかり、ほんとそのとーりでどんどんわからなくなってく それがおもしろい !!
怖いけど……面白い、!