black.
「…」
最後にいつ、誰かからの「アイ」を受け取っただろう。
この世には、自分を「アイ」してくれる人などいない。
そう思っていたあの頃。
友人などいない。
家族とまともに会話することもない。
ネットだけが居場所。
中学を卒業したばかりの頃、俺は
自分の将来に希望など持てなかった。
進学する気もなく、「青春」なんて言葉は無縁だと感じていた。
だから、
「彼」の言葉がなければ
今この場所に俺はいない。
「松村北斗です、よろしくお願いします」
頭の中で何回も繰り返し、20人ほどの前で言った一言。
新学期に、必ず聞く言葉。
六石高校、定時制コース1-2としての時間が
今、始まった。
『高校には絶対に行った方がいい』
『定時制っていう道もあるんだよ』
『もっと自分を大切にして!』
「彼」すなわち「たいが」からは、たくさんの言葉をもらった。
ネットで出会った、顔も声も知らない人。
俺に、「アイ」を持って接してくれた人。
「たいが」のおかげで、俺の将来に
一筋の光が差したんだ。
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