※ご本人様には関係ありません
※先輩後輩
※学パロ
kn「話聞くで?……嫌じゃなければ」
少しの沈黙の後、気まずくなって話し始める。
syp「なんか……色々、ありすぎて。……、ワイ、先輩にどこまで話しましたっけ」
kn「え?あー……なんか、好きな人がおったけど相手がおって……みたいな、」
syp「そう……っすか、」
じゃあ、告られたことは言ってないんか。
syp「……その、その人先輩なんすけど。その次の日、やったっけな、?……朝、告られたんです、その先輩に」
kn「おー、良かったやん!」
先輩はにかっ、と笑う。
あぁ、この笑顔が眩しい。
この笑顔を他人に向けられる優しさが、眩しい。
syp「それから……、その……告ってきた先輩、有名人なんです。ワイに告った、ってことが広まってから、何故かワイに色んな人に告ってくるようになって……、」
kn「へー、相手さん人気者なん。良かったやん」
syp「ま、まぁ……、」
途端、恥ずかしくなって下を向く。
syp「それ、で……その告白の返事、まだしてないんすけど……、その先輩が体育倉庫で知らん人に襲われそうになった時助けてくれて、……それで、そのままその先輩に襲われて……、」
kn「え、お、おー……、?大変……やっ、たね、?」
……そりゃ、反応に困るよなぁ。言わんかったら良かったかも〜……
……って思ったけどせやん、この先輩同一人物やったわ。なんでそんな驚いてるんやし、おい。
syp「それから……その先輩に相手がいる、って噂が流れ始めて」
kn「また?」
syp「あ……はい、」
確かに、この先輩の彼女いるって噂結構な頻度で流れてるやん。
……え、なんで、?
syp「それで……その先輩に、なんでワイのこと抱いてくれたんか聞いてみたら“遊びや”、みたいなこと言われて……」
kn「あー……、」
店員がやってきて、目の前に頼んであった烏龍茶が置かれる。
syp「……先輩、ワイのこと遊びやとしか思ってなかったんでしょうか」
そう尋ねると、目の前の先輩は黙る。
……本人なんでしょ、ねえ。答えてくださいよ、俺の問い。
先輩は伏せ目がちに、俺じゃない方向を見ながら答える。
kn「……ショッピ君は……、ショッピ君は、その人のことどう思ってんの?」
syp「え……、」
どう、思っているか。
好き……の2文字。
けど、先輩には彼女がいるらしいから。
それに先輩は、俺がいなくったってきっと別にいるんだし。
先輩の隣なんて、代わりはいくらでもいる。
あの告白だって体の関係を望むための口実で、俺自身に価値は……
あの黒い感情が、再び心臓を支配しようとする。
それが嫌で、その感情をどこかへ追いやろうとすれば、涙となって溢れ出すのが分かった。
……あー、あれ。なんで泣いてるんやろ、俺。
kn「え、あ、しょっ、……ぴくん、?」
syp「ぁ……すみません、」
溢れた涙をごしごしと服で拭う。先輩は心配そうにこちらを見つめていた。
kn「大……丈夫?」
syp「あー……はい、すみません、」
kn「……ごめん、」
先輩は分かりやすくしょんぼりと肩を落とす。
先輩に対しての、俺からの思い。
それは……多分、好きなんてものには収まらないくらいに大きな感情で。
先輩のものになりたい、って心のどこかで思ってるんだ、きっと。
……きもちわる、w 男同士のくせに、そんな。
使い捨ての駒が、何を望む?
本命じゃないんだから……期待は、したらダメやろ。
syp「すみません……これ以上は、良いです」
kn「あ、……そう、?ほんまに大丈夫……、?」
先輩は心配そうにこちらを覗き込む。
そうやって優しくされるから、怖いんだ。
syp「……大丈夫です」
kn「ん、じゃあ……ゲーセンでも行く?」
syp「え?」
kn「気晴らしに!!近くに大きいところあったし」
先輩はにかにかと笑う。その笑顔に心が揺らぐのがどこか嫌になる。
syp「あ……わか、りました」
先輩はコーヒーを一気に飲んで、伝票を持って立ち上がる。
kn「じゃ、行こか」
syp「……はい」
そこまで乗り気でも無かったけど、それ以外にやることがなかったし。
先輩に連れられて店を後にする。酷い人混みの中、必死で前にいる先輩に着いていく。
貴方の……貴方の、隣に立ちたいんだ。
足の速い先輩に追いつけなくって息を切らしていると、風が打ち付けていた右手が大きなもので包まれる。
見れば、先輩に手を握られているのがわかった。
kn「ん、迷子ならんように」
syp「あ……はい、」
子供やないんやしやめてくださいよ……、いつもの俺なら、こう言ったんかな。
先輩の肌からの熱が暖かくて、体全体が熱くなるのが分かる。
……あー、はず……なんでこの先輩は、当たり前のようにこういうことできるん、?
さっきまでのが嘘みたいに、幸せに浸る。
俺ってこんな単純やったっけ?
……どうでもいいや、どうでもいいか。
だからなのかは知らないが、首筋で何かが起動したことに先輩でさえ、気づかなかった。
この連載大好き。
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