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「なんでアンタが___なのよ!!」扉の向こう側で、とある少女が叫ぶ。…分からない。私には、もう……分からない。
「…セイラ〜…痛い〜」
「うるさいわよ。そもそもアンタが悪いんだからね。自覚あるの?ヒカリ」
私の名前はヒカリ。いたって普通の女子高生だ。そして、私の両頬を反対方向に引っ張っているつり目の少女の名前はセイラ。私の幼馴染だ。
「宿題やってこなかったのは謝るからさぁ〜…」
「そうよね。普通謝るわよね?写させろって土下座するんじゃなくって」
「えへへへ」
「褒めてないわ」
まったく……とグチグチ言いながらも宿題のノートを渡してくれた。
「ありがとうセイラ!今度なにか奢るね〜」
「そうね、考えておくわ」
先生が来る前にさっさと写さなくちゃ。またお説教されちゃう。
「はぁ〜〜〜…」
結局、先生が来るまでに間に合わなくて怒られてしまった。
「アンタねぇ…宿題くらい家でやりなさいよ」
「ん〜…まあ、そうなんだけどねぇ〜」
「歯切れ悪いわね?」
と、ジト目で覗き込んでくる。
「やることが多くって…」
「ぐうたらするだけでしょ」
「セイラと一緒にしないでよぉ」
「アタシはちゃんと終わらせてるわよっ」
またもやほっぺたを抓られてしまった。いひゃい…
「そんなに家でしたくないってんならアタシん家来てもいいのよ?」
矢っ張り、セイラは優しい。小さい頃から変わってないなぁ。私は、それが堪らなく嬉しい。
「ありがとう。でも大丈夫だよ」
「大丈夫じゃないのよ。アンタの成績が」
…痛い所を突かれてしまった。確かに私の成績表はオール1だ。良くても2止まりだった気がする。
それは当たり前だ。授業中に居眠りはするし、提出物は出さないし、点数も悪い。オール1にも納得なのだ。
「あ、セイラちゃんこんなところにいた」
そんな時、後ろから声がした。振り返ると、私には見覚えのない女の子が立っていた。
「あら…後藤さん?どうかしたの?」
「あーえっとね。掲示物貼るの手伝って欲しいなって」
と、後藤さんとやらが手伝いを頼んできた。もちろんセイラに、だ。
セイラは私を見てきた。きっと、私がいるから彼女の手伝いを躊躇っているのだろう。
「…私は良いから。気にしないで」
「ごめんなさいね、ヒカリ」
「良いよ良いよ」
気にするなとセイラに言っても、申し訳無さそうに謝ってくる。あんな性格だから、皆から信頼されて、好かれるのだろう。クラスメイトの名前と顔すら覚えていない私とは大違いだ。
それにしても、本当に私とセイラはどうしてこんなにも仲良しなのだろうか。私と彼女だと全然違う。正反対な人間なのだ。…ただ単に幼馴染ってだけなのかもしれない。
そんな事をぼんやりと考えながら、私は女子トイレへと向かった。