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奏斗は俺の運命の人だ。
出会った時から第六感が過剰反応し、奏斗が俺の運命と悟った。
俺、渡会雲雀はαだが、Ωに反応したことは今までに一度もない。用事で外に外出してる時Ωの発情期が来ちゃったみたいで町中にフェロモンを出して大変なことになった。αもβもゾンビみたいに引き寄せられてて俺も思わず足を止めた。だけどちっとも足はそいつに向かなかった。
直ぐに警察に連絡され、その子は保護されたらしいが結局近くにいた俺は一切反応せず。
もしかしてαじゃないのか…?と疑心暗鬼になっちゃったぐらい。多分俺が鈍いんだろうけど。
そんな俺が今喉から手が出るほど欲しいと渇望する存在。
これがきっと運命
瞳の奥の星が瞬いた。
一度口にしたら離れられない劇薬のような男の名は風楽奏斗。
好き好き、好き。
俺の全部をあげるぐらい好き。
俺の体も、心も、声も、才能も、地位も、権力も、財産も、人生も全部あげるぐらい好き。
春も、夏も、秋も、冬も変わらず好き。
目が見えなくなったとしても、耳が聞こえなくなったとしても、感覚がなくなったとしても、味覚が、嗅覚がなくなっても好き。
俺は奏斗のことを知りたくて、仲良くなりたくて近づいた。勿論下心ありで。
近くで見る奏斗は、雪のように肌が白くて瞳は飴玉ぐらいの大きさ。思わず舐めてしまいたくなるほど魅力的なブルースカイの瞳をぎらつかせて威嚇する奏斗は懐かない家猫みたいで可愛い。
初めは露骨に嫌そうな顔をされたけど、たまに笑うと花のように可愛らしい。
しかし、その思いは一方通行だった。
奏斗は俺のことはなんとも思っていないようだ。αであることを伝えても「ふーん、そうなんだ」と「へぇ、明日雨降るんだ」と変わらないテンションで飲み込まれてしまった。一世一代の告白があっさりと吹き飛ばされ落胆する。
結婚するなら石油王かαなんていう女子もいるのに、奏斗はそんな世間的には従わない奴だ。
奏斗は自分の信じるものしか信じない。
人の噂話とか嫌いだし、世論とかも
俺のことを運命の番とも思っていないようだった。
可笑しいな、運命の番って出会ったら惹かれ合うって言ってなかったっけ?
俺の知らないやつ、いや知ってる奴でも…俺以外の男、女と奏斗が話してる時は毎回知らぬ間に唇を噛み締めていて鋭利な八重歯が唇から血を溢す。
痛みにも気が付かず俺は奏斗を遠くで見つめていた。