新作 太敦小説です。
暗いのか明るいのか判らない小説です。
私的には若干薄暗い感じだと思ってます。
後、今回は小説の書き方を変えてみました。
楽しめて頂けたら嬉しいです。
窓から斜陽が射し込む。
寝所のシーツが光に当たり暖かい。
ゆっくりと上半身を起こす。
隣から薄い寝息が聴こえた。
真っ白の髪に真っ白の肌。
後輩でもあり、恋人でもある教え子。
中島敦。
彼の白銀の髪をそっと撫でる。
出逢った頃はガチリとしていた髪が、
今では砂の様にサラリとしている。
最初、髪も石鹸で洗っていると聞いて驚いた。
今でこそサラサラしているが。
「ん……あれ、だざいさん、はやいですね」
未だ寝ぼけているのか、あまり呂律が回っていない。
「何時も敦くんの方が早く起きるからね
偶には君の寝顔を見たくて」
「……へんな、ひと」
「誰だって恋人の寝顔は見たいものだよ」
「…はずかしい、です」
白い肌を少し赤らめながら小さく呟く。
よく見る、彼らしい行動だ。
ふふっ、と笑みを零し、彼の髪を再び撫でる。
「撫ですぎです」
段々と目が覚めて来たのか、呂律がはっきりしてきた。
「朝御飯作ります」
「今日はベーコンエッグがいいなぁ」
「判りました」
完全に目が覚めた様だ。
寝所から出て洗面所に消えて行った。
私は部屋のカーテンを開け、寝所を整えた。
寝所の頭側の隣に小さな棚がある。
棚の上には敦くんが寝る前に本を読むため、電気が置いてある。
棚の中には本や小物、写真立てに入った
二人で撮ったツーショット。
其の写真を割れ物を扱う様に撫でる。
「太宰さん、洗面所空きましたよ」
「あぁ、判った」
其の声を合図に本格的に動き始める。
洗面所に行き、顔を洗う。
歯を磨いて、最後に少し鏡を見る。
何時もと変わらない、世間的には整った顔。
でも、何処か暗く感じる。
何故だろうか。
「太宰さん、机片付けておいて下さい」
「はぁい」
呑気な返事を返す。
これも何時もと変わらない。
何時もと同じ。
「そうだ、太宰さん。今日非番ですよね?」
「うん」
「久々に、デエトしませんか?」
「確かに最近してなかったね。いいよ」
仕事が詰まっていて中々デエトが出来ていなかった。
今日は目一杯楽しもう。
「帰りに、寄り道してもいいですか?」
「あぁ、いいよ」
「ありがとうございます」
久々にお洒落でもしようか。
この間買った敦くんとお揃いの白薔薇のネックレスでも付けようか。
「御飯、出来ましたよ」
「ん、美味しそう」
「このベーコンは一寸焦がしちゃったんですけどね……」
「敦くんが作ってくれたってだけで嬉しいよ」
「そうですかね……」
「さて、食べようか」
「はい」
床に座り手を合わせる。
そして一緒に頂きます、と呟いた。
「うん、美味しい」
「本当ですか……?」
「本当だよ」
心配性だなぁ〜、と笑いながら云う。
彼は相変わらずで安心する。
■■■
二人で指を絡めながら歩く。
今は九時頃だ。
首にはお揃いの白薔薇のネックレス。
二人で選んで買った大切な物。
顔に爽やかな風が当たる。
心地が良い。
空は雲一つない柔らかい青。
デエトに丁度いい。
「あ、あのクレープ食べたいです」
「いいよ。一緒に食べよう」
確か彼処のクレープは美味しいと有名だった気がする。
ちょっぴり楽しみだ。
「美味しい……」
「これは次のデエトでも買いだね」
「はい!」
明るい太陽の様な笑顔。
私には眩し過ぎる。
君は、本当に彼に似ているね。
「太宰さんのも、食べてみたいです」
「ん、いいよ」
はい、とクレープを差し出す。
「あむ…」
クレープを食べた瞬間、
パッ、と顔が明るくなる。
「之れも美味しいです!」
「良かった」
甘い笑みを零す。
彼を見ているだけで幸せになれる。
一緒に居て楽しい。
嗚呼、好きだなぁ。
■■■
「寄り道したい所があるって云ってたよね?」
「はい。彼処です」
彼の指差す所へ目を向ける。
そこは意外にもジュエリー店だった。
「何か欲しいものがあるの?」
「秘密です!」
悪戯をしようとしてる様な顔に笑みが零れる。
「なんで笑うんですか!」
「可愛くてね。つい」
そう云った途端敦くんの顔が真っ赤になる。
どうやら照れている様だ。
「一先ず、行きますよ!」
「はいはい」
■■■
「えっと……あ、これです」
「ブレスレット?」
「はい!綺麗でしょう、これ」
小さなパールの輪っかに白薔薇が二つ散りばめられている。
「綺麗だね」
「これを、お揃いで買いたくて……」
「!」
こうもデレが全面に出た敦くんは初めてだ。
「敦くんったら、可愛いなぁ」
「そんなに頻繁に可愛いなんて云わないで下さい!」
嗚呼、可愛い。
ずっと、このままで居られれば。
〜 今回のイラスト 〜
全体的に白くしたくて色素薄くしてます。
あと、絵には関係ありませんが、
小説内で太宰さんと敦くんが付けてた
お揃いの白薔薇のネックレスは白薔薇は一つだけ付いてます。
二人合わせれば白薔薇は合計で二つですね。
白薔薇が二つ散りばめられたブレスレットもです。
二人合わせれば、四つになりますね。
是非、花言葉を調べて見てほしいです。
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