本当はね

病み

赫

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ねぇ。なんで。

なんであいつばっかり愛されるのさ。

同じ血が入ってるのに。

同じような顔をしてんのに。

同じような服を着てるのに。

なんで俺は愛されないの？

俺より勉強できないあいつがｯ

俺より運動できないあいつがｯｯｯ

俺よりｯｯ俺よりｯｯｯｯｯ、

なんでなのｯ、……ｯ

俺はｯ…愛されたいだけなのｯ……ｯｯｯｯ

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弟『おかーさんー！見てぇ絵かいたぁ！』

母『あらぁ！可愛い絵ね上手だわ！』

弟『これおとーさんで、これおかーさん！』

弟『でこれが僕でぇこれおにーちゃん！』

そんな声がリビングから聞こえる。

………

いいな。

俺も褒められたい。

頭を撫でて欲しい。

よくできたねって頑張ったねって

言って貰いたい。

撫でられるってどんな感じなの？

痛いの？苦しいの？

それとも

暖かくて嬉しいもの？

わかんないわかんない

撫でてって言えば撫でてくれる？

お母さんは笑って俺を褒めてくれる？

優しい顔で抱きしめてくれるの？

赫『……ｯおかーさん？』

母『……』

赫『ｯりうらおかーさんに撫でてもらいたｯｯｯｯ』

母『うるさい。』

赫『えっｯ、ｯｯ 』

母『あの子があそこでお絵描きしてるの』

母『邪魔しないでちょうだい』

…………

そんな強く言わなくてもいいじゃん…

おかーさんはそんなにりうらのことが嫌いなの？

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弟『おにーちゃん一緒に遊ぼ！』

赫『うん！いいよ！』

赫『ぶーぶで遊ぶ？』

弟『うん！！ぶーぶ持ってくる！！』

赫『おかーさんまだかな〜』

弟と遊んだらありがとうって言って貰えるかな〜！

お母さん助かるかなー！

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先生『じゃあおかーさんのお顔を描いてみましょう！』

赫『おかーさん♬』

喜ぶかなー！

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なんて。

こんなの夢見すぎてた。

小さい時から嫌われてて。

それでもお母さんのためにって頑張ってた自分が馬鹿みたい。

元々運命だったんだ。

俺はひとりぼっちだって。

俺が高校に入学してすぐ親は離婚。

父が作った借金が原因。

母『あんたにかけたお金が無駄だったのよ 』

これが俺に残した最後の言葉。

母は弟を連れ隣町へ

父はアパートを借りそこに引っ越した

産まなきゃ良かった

知らないよ。

勝手に産んだくせに。

俺だって……もっと、

……

あれ、なんだろう冷たいな。

視界がぼやけて、

やだ、泣きたくない。

泣いたことなんてないのに。

あれ、今まで涙なんてすぐ引っ込ませて垂れて来なかったのに

止まんないな

本当はねこんなにされてもお母さんが好き。

頑張ったって言って欲しい。

優しい顔で抱きしめて欲しい。

本当はね沢山我慢してたの。

お母さんは俺に優しい顔を見せてくれないから。

笑ってくれる方法を考えてやってみたの。

でも弟と俺に向ける顔は全くの別人で。

俺を汚いゴミを見るような目で見てくるから。

その目が怖くて。いつも体になにか刺さったみたいに痛くて。

泣いたら怒られるから必死に引っ込めた。

でも本当はねお母さんの前で泣いて、慰めてもらいたかったの。

ぎゅーって音が出るまで抱きしめてくれて、やさしい手で背中をさすってくれて

そんなことをずっと夢見てたの

本当はもっとｯｯ…ね

本当はもっと愛して欲しかった。