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「え〜、あにき本当に好きな人居ない訳?」
後輩で友人でもあるりうらに質問を投げ掛けられる。
「だからおらんって言っとるやん。そもそも恋自体1回もした事ないからどういう感じなんか分からんなぁ、」
皆が言っているような胸がドキドキする様な感覚も、その人以外考えられない何て思った事もない。そもそもドキドキって何や?
「、マジで言ってる?」
片手に牛乳を持ちながらりうらが驚いた、という風に此方を凝視する。
「おん、そうやけど」
「あにき、めちゃくちゃ損してるよ」
「?そうなんか?」
俺にはよく分からない。あにきはモテるんだからさー、と言いりうらが牛乳をゴミ箱へ捨てる。
「、そういうりうらこそ、そう言うって事は好きな人が居るんやないの笑?」
「、は、はぁ?!//そ、そんな訳無いでしょ!」
俺の質問に顔を赤面させるりうら。どうやら図星だった様だ。
「へー、どんな子なん?」
そう聞くと俺の教室に居るある1人を見つめるりうら。、ふーんなるほどなぁ、。
「もしかして“初兎”が好きなん?」
「?!ち、違うし!」
初兎の名前を出した瞬間明らかに動揺し始めるりうら。
「へー笑、どんな所が好きなん?」
「、や、優しくて可愛い所、。も、もうこれで良いでしょ?!俺授業だからもう行くね!!」
りうらは素早く後片付けをして。ドタバタと俺の教室から去っていった。、可愛い奴やな笑。次は、音楽か、移動しなあかんな。教科書と楽譜を手に取り、教室から出て音楽室に向かう。
「今日の授業、何するんやろ、。歌とか沢山やりたいな」
音楽室に向かいながら授業の内容を考え始めた、その時だった。
「わっ!?」
肩に衝撃が走ると共に驚いた声が聞こえてきた。相手はバランスを崩したのか地面に崩れ落ちる。どうやら考え事をしてしまっていたせいで人にぶつかってしまったらしい。
「ッすまん!?大丈夫か?」
転けてしまった相手を起こそうと手を差し出す。ありがとうございます、という綺麗な声が聞こえると相手がゆっくりと顔を上げた。
「っ、//!?」
目の前に映るルビーの様な瞳に桜色の綺麗な髪。その姿を見た瞬間胸が何だか急に心臓がドキドキと音をたて始めた。初めての感情に頭が混乱する。もしかして、これが恋という奴なのかもしれない。俺はこの感情を確かめたくてつい、彼の腕を掴んだ。
「き、君!名前はなんていううん?俺は悠佑!」
少し、震えた声で彼に名前を聞く。
「、ないこ。乾 ないこって言います」
俺の急な言葉に驚いた様子もあったが、彼は優しく名前を教えてくれた。
「ない、こ、」
ないこ、確かめる様に何度も口で名前を呟く。頭の中にひたすらその名前だけが響く。
「はい、笑」
少し微笑みながら此方を見る姿すら凄く可愛く愛おしく見える。
「あ?!もう授業なんで行きますね!じゃ、また今度話しましょうね!」
彼は慌てた様子でそう言い、この場を去っていった。
「っ、これが恋なんかな、//?」
先程の彼の事を思い出すと心臓がドキドキする。また今度、か、彼とまた話す事を考えるだけで嬉しくて飛び跳ねてしまいそうだ。それに好きだという恋に落ちた自覚をすると同時に、1つだけ彼に思う事があった。一瞬で俺の心を奪った彼はまるで泥棒、そう、
“初恋泥棒”の様だと。