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例の紙をポケットにしまい教室を出ようとするがなぜか扉が開かない。内鍵造りでロックがかかっていないのになぜか開かないこの扉に僕はまた焦るがすぐに落ち着きを取り戻す。ここにきてゲームをやってきた経験が活きてきた。得体のしれない力で閉じられているということはこの教室内でまだ何かしないといけないということだ。いうなればフラグが建っていないから先に進めないということ。なら、そのフラグとなるものを探せばいい。状況は笑えないしシリアスなのにゲーム脳がここにきて役に立ち、そのおかげで冷静に何とか立ち回りができている。僕はすぐに扉を離れて教室を探索する。なぜか辺りは暗くなっており、光源が必要なため明かりはスマホのライトで何とかする。が、問題はスマホのバッテリーが持つかどうかというところだ。懐中電灯か別の何か、ろうそくでもいい。とにかくスマホ以外の明かりを灯せるものを見つけたいものだ。そんなことを思いながら教室を見て回るとある机にノートが置いてあった。光を当てるとそれは日直ノートという物であった。
「懐かしいな……。これってまだ使われてるんだ。」
このノートはその日の当番がその日の授業内容を書き込み一つの授業に対して一言コメントを残すもので、ほかにもその日の反省や明日の目標、最後に今日の一言という変な欄があった。当時僕も嫌々これを書いていたと思い返し懐かしくなる。そのままノートを手に取り中をペラペラとめくると出てくる内容はすべて身に覚えがあるものばかりだった。例えばとある日のとある人物が残した今日の一言『休み時間に○○の顔に思いっきりボールをぶつけてしまった。けんかにはなったけど最後はそういうゲームだからってことで何とかなりました。』と書いてる。もちろんこれだけならどこにでもありそうな日常の一コマだが、そのコメントの余った空間に絵が描いてあり、その絵が僕の記憶する人物が描いていた絵柄そっくりなのだ。
「なんでこんなものがここに?この日直ノートって一体何年前のものだと思ってるんだよ……。」
ぼそっと独り言を呟いた後自分の発言に違和感を覚える。『何年前の日直ノート』という言葉に……。その違和感を確かめるべく再度ノートを確認するとそこには【2000/05/10】と記されていた。その後先生の机に置いてあるカレンダーを確認すると【2000/05/12】に丸が付けられおり、そこから先には丸が付いていないところを見ると今日がその日なのかもしれない。もちろんこれは憶測でしかないがこんな古いノートがここに置いてあるということは今自分がいるこの場所は過去の学校なのかもしれない。そんなバカげた話があるわけないと思うが、現に僕は校庭から突然どこかの教室に飛ばされてるんだ。あり得ない話ではないと思う。
「とりあえずこれでフラグは立ったから教室の外に出れるかな?」
教室内をある程度探索したのち再度教室の扉に手を掛ける。すると、先ほどまでは開かなかった教室の扉が開き廊下に出ることができるようになっていた。一度廊下に出て教室のプレートを確認する。『1-2』と書いてあった。
「この教室が1-2てことはここは三階だね。それにこの廊下の感じ当時の学校の雰囲気そのまんまだね。なら、特別迷うこともないのかな?とりあえず今はみんなとの合流を急がないとね。」
先ほどまでいた教室を後にし学校内の探索を開始する。校舎内の構造は当時通っていた頃そのままで特に迷うことなく探索ができた。しかし、ほぼ全ての教室はカギがかけられており中に入ることはできず、人の気配は感じられなかった。
「一体みんなどこに行ったんだろう……。」
唯一開いた教室は同じ三階の『3-1』の教室。当時僕が居た教室だ。そういえばさっきいた教室も過去僕が居た教室だった。これは何か関係があるのか?気にはなるが、今はそれよりもほかの教室に向かうためのカギでもみんなに会うための手掛かりでもいいからほしいところだ。思考をすぐに元に戻してその教室に入る。
中は1-2の教室とほとんど変わりはない。強いて言えば机の数が少ないとか、窓辺の構造が少し変わっている程度でそれ以外は大きく変わっているところはない。とりあえずは面倒だが一個一個の机の中を確認して何かないかのチェックをしていく。すると気になるもの見つけた。それはプラスチック製の宝石を模った装飾が施された可愛らしい小さな箱とその箱についてたメモ用紙だった。箱はカギが掛かっており簡単には開けられそうにない。一旦メモを手に取り中身を確認する。
「メモの内容は……。『あんたの大切にしてるその箱のカギ隠したから!開けたいなら頑張って探すんだね!優しい私らはヒントくらいは残してるよ!まぁ、その紙も隠してるけどね(笑)ヒントの紙のヒントはこの教室であんたが好きなところだよ!』と書いてある……。なるほど、俗にいういじめってやつか。まったく可愛げのないことをするもんだね最近の子は。」
ぽつりとつぶやいた後一度その箱を机に置く。その後ほかの机も調べて変わったものがないかを確認する。するとどこかのカギを見つけた。カギの形状からすると恐らく教員が使っているようなものだ。また、カギ自体にはネームプレートのようなものが付いていないところを見ると恐らくは教員のデスクのカギだろう。これもまた、子供のいたずらだろうか。ものを隠すという行為は裏を返せば自分を見てほしい、構ってほしいという気持ちの裏返しになるだろう。その行動自体は可愛いが……。まぁ、隠すものが結構大事なものって言うのは洒落にならないんだけどね。とりあえずこれはありがたく貰っておこう。これで生徒の机は調べ終えた。残るはこの教室の担当先生の机くらいだ。恐らく今見つけたカギはそこで使うんだろう。一つずつ引き出しを開けていき一番下の引き出しだけが開かない。そこに先ほど手に入れたカギを使うとカチャと音が鳴りロックが解除された。中を確認するとそこにあったのは担当教室の生徒の名が記された名簿表と座席表の二つだった。
「少し中を確認させてもらおうかな。まずは名簿の方だけど僕の予想してることが確かなら……。うん、ビンゴだね。」
紙の上から順々に指で下になぞっていき、とある地点でぴたりと指を止める。『尾崎裕太』僕の名前がきっちりと書いてある。そしてさらに指を下にスライドしていくと『堂本夢叶』彼女の名前も見つかった。となるとやはりこの学校は僕の知る過去の学校ということになる。今いるこの空間は恐らく現実とは別の空間にあるという解釈でいいだろう。これでここがどこかを確約できたがそれと同時に何故そんな不思議な空間に連れてられたのかという謎が出てくる。これもまた今考えることではないのかもしれない。とりあえずここがどこか知れたということが大事だ。そしてそれとは別にこの名簿と座席表の謎も解いていかないといけない。
僕の予想だとこれらはさっき見つけた『箱』と関係あるはずだ。まずは座席表を広げて今の机の並びとこの座席用表があっているかを確認する。縦横の机の数を数え合っていることを確認し今度はそれぞれの席に誰が座っていたのかを確認していく。すると先ほど箱を見つけた机の持ち主の名前が出てきた。そこに書かれた名前は『堂本夢叶』その人の名前が書いてあった。