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※時代劇風(グラジパではない)
※人斬りゾロ×男娼サンジ
※CP要素あるのかよくわからんくなった
※自分が見たかったので描いた‼️
色香漂う花街を闊歩し時折商売女に声をかけられながらも構わずにただ足を踏み進めていく。あちらこちらから聴こえてくる声が鬱陶しくゾロは眉を顰めた。静かに酒が飲みたい、ただのその一心でゾロは薄暗い路地裏へと足を進めた。表通りから一本、二本と道を逸れていく。すると、その奥まった場所に一軒の小さな見世が見えた。淡い乳白色の肌に柔らかな金の髪を携えた碧い着物姿の男がゆっくりと煙を吐いている。どこか憂いを帯びた青い瞳がゾロの姿を捉えた。ゾロはその男を一目見て、この男が花街の男娼であると理解した。男はゆっくりと立ち上がり、煙管の火種を落としてからゾロに近付く。
「お兄さん、うちの店に御用で?」
「……ああ。構わねェか」
「ええ、勿論です。お入りください」
鈴の鳴るような声で促されゾロは男娼が開いた襖の中へと足を踏み入れた。落ち着いた調度品に観葉植物や花が飾られ、品のある穏やかな雰囲気が漂っている。男がゾロに座布団を差し出し、そこへ座るよう促した。男は茶を出しながらゾロの横に控える。
「改めまして、サンジと申します」
「…」
サンジと名乗った男は、ゾロにゆるりと微笑みかけた。その笑顔を見て、やはり人間離れした美しさだとゾロは思い知った。サンジは、男娼であるのに女のように着飾ってはいなかった。着物を着ているがそれは質素なものだ。しかし、それが逆にこの男の美しさを引き立てているようにも思える。
「…あんた、花街じゃあ話題の人斬りなんだろう。わざわざ、こんな所まで来て良かったのか?」
「人斬り、か。そんな大層なモンじゃねェよ」
ゾロは出された茶を啜りながら、自嘲気味に笑うサンジを見つめた。サンジはゾロの視線を気にする素振りもなく煙管に葉を詰める。
「こんな人目離れた所で、相手探しでもしてたのか」
「そうじゃねえ、普通に俺ぁ酒が飲みたかっただけだ」
「アー、そうかい。そりゃあ悪かった。だいたいこの見世に来るやつは大概、俺を指名してくるのが定石でね」
サンジは自嘲気味に口角を上げた。その笑みにゾロは眉を寄せる。この見世でサンジが人気があるというのは本当だろう。しかしそれは、この男の容姿や雰囲気に惹かれた客が多いからに違いない。
「あんたも、おれを買うか?」
「あ?ああ……いや、いい」
ゾロの言葉にサンジは意外そうに目を見開いた。ゾロは茶を啜りながら、サンジと同じように自嘲気味に笑った。
「生憎、そういうのは趣味じゃない。表通りでやたらと声をかけられるもんだから、ここに入っただけだ。悪かったな」
「いや、構わないさ」
サンジは薄く笑ってから、煙草の煙をゆっくりと吐いた。それから何かを考えるように目を伏せる。そして、再びゾロを見つめた時には先程までの笑みが消えていた。代わりに、どこか冷たい雰囲気を纏いながらゾロに問いかける。
「じゃ、あんたおれをこの見世から連れ出すことはできるか?」
「連れ出す?」
ゾロはサンジの言葉の意味を図りかねたまま、じっとその青い瞳を見つめた。先程までの軽薄な笑みは消え、代わりに真剣な眼差しがそこにあった。冗談ではない。こいつは本気で言っている。
「…どういう意味だ?」
「そのままの意味さ。あんた、人斬りなんだろう? 腕が立つってことだ。なら、あんたがいれば、この見世から出ることだってできるかもしれないって話さ」
サンジは煙管を手にしながら、煙をくゆらせた。だが、その仕草にはどこか焦りが見え隠れしていた。
「逃げたいのか?」
「……そう思うのが自然だよな」
サンジは静かに笑ったが、その笑顔は悲しげだった。ゾロは腕を組みながら考え込む。この花街の仕組みはよく知らないが、身請けでもしない限り、ここを出ることは難しいのだろう。 サンジの突然の言葉に、ゾロは素っ頓狂な声をあげた。サンジはそんな様子のゾロを見て、再び自嘲気味に笑う。そして煙管を煙草盆に置いてから、ゆっくりと立ち上がった。
「おれはこの見世で生まれてこの見世で育ったんだ。物心ついた時にはもう客を取っていたし、それがおれの仕事だと思っていた」
「…」
「でもよ……おれァ、こんな所で一生を終えたくない」
サンジは目を伏せて静かにそう呟いた。その横顔はどこか儚げで、ゾロは言葉を失う。サンジはそんなゾロに向き合い、そしてゆっくりと手を伸ばした。ゾロは思わず身構えるが、サンジの手は優しくゾロの頰に触れただけだった。その指先の冷たさに、ゾロは思わず息を飲む。
「何度も逃げ出そうとしちゃいたんだが、中々出れねえもんでな。
あんたなら、おれを連れ出せるか?」
「……」
サンジはゾロの目を真っ直ぐと見つめて問いかける。ゾロはその瞳から目を逸らすことができなかった。哀に満ちた青い瞳が、ゆらゆらと揺れる。 この見世からサンジを連れ出す、それはゾロにとっては造作もないことだ。ただこの男がここから出たいと願うのなら、その願いを叶えてやることはできる。しかし、果たしてそれでいいのだろうか。サンジの境遇を思えばそう思うが、仮に自分が連れ出したところで何も変わらないのではないだろうかとも考える。この美しい男が外に出ればまた数多の男を引きつけてしまうだろう。そうなれば結局、この男に待っているのは悲惨な最期なのではないだろうか。ゾロはそこまで考えてから、ゆっくりと口を開いた。
「連れ出してえのは山々だが……あんた、本当にここから出たいのか?」
ゾロの問いに、サンジは僅かに目を伏せた。青い瞳が陰る。
「本当に、ここから出たいのか?」
その言葉をもう一度噛み締めるように繰り返すゾロを前に、サンジは静かに息を吐いた。そして、煙管を手に取ると、ゆっくりと火をつける。しばらく無言のまま煙をくゆらせ、やがて意を決したように口を開いた。
「……おれがここにいる理由を知りたいか?」
「別に無理に話す必要はねェ。ただ、出たいならその理由を聞いておくべきだと思っただけだ」
サンジは小さく笑った。
「……そうだな。まあ、どうせあんたとは一期一会かもしれねェし、少し話すのも悪くないか」
煙を吐きながら、サンジはゆっくりと語り始めた。
「おれはな、ここで生まれた。母親はこの見世の女だったよ」
ゾロの眉がわずかに動いた。
「…そうか」
「母親は、そこそこ人気のある遊女だったらしい。けど、身請けされることはなかった。身請けどころか、子どもを産んだせいで商品価値が下がったってんで、結局は見世の片隅で細々と働いてたよ」
サンジは皮肉気に笑う。だが、その笑みの裏には深い悲しみが滲んでいた。
「おれが物心ついたときには、母親は病気で寝たきりだった。碌な薬も貰えねェまま、衰弱して死んだよ。それでも、あの人はおれに優しかった」
ゾロは黙ってサンジの言葉を聞いていた。
「母親が死んだあとは、おれは見世の旦那に拾われた。…いや、拾われたって言えば聞こえはいいが、要は『資産』としてな」
サンジは煙管を置き、煙草盆の灰を指で落とした。
「母親が死んでも、おれはこの見世の『財産』だった。母親の借金はそのままおれに引き継がれた。子どもだろうが何だろうが、借金は借金だ。だから、おれはここで働かされることになったんだよ」
「…なるほどな」
ゾロは静かに頷いた。その世界の仕組みがどうなっているのか詳しくは知らなかったが、少なくとも、サンジがここを出ることが容易ではないことは分かった。 サンジは小さく笑いながら、ゾロの方を見つめる。
「なあ、おれをここから連れ出すってのは、つまりこの見世の旦那に喧嘩を売るってことだぜ?」
ゾロは腕を組み、ゆっくりと目を閉じた。そして、しばらく考えるように沈黙した後、目を開いてサンジを見据える。
「…お前は、どこへ行きたい?」
その問いに、サンジは僅かに目を見開いた。
「どこへ…?」
「ああ。逃げるってんなら、逃げた先でどう生きるのか考えねェと意味がねェ」
サンジはその言葉を噛み締めるように唇を引き結んだ。
「……おれは、自由になりたい」
「自由?」
サンジの言葉に、ゾロはわずかに眉を寄せた。 サンジはどこか遠くを見るように、ゆっくりと瞳を伏せた。
「見世の旦那が機嫌のいい時に、一度だけ連れて行ってくれた食事処があった。そこは小さな店だったが、どの料理も絶品だった。特に、そこの親父の作る味噌汁の味は今でも忘れられねェ」
ゾロは黙ってサンジの言葉を聞いていた。
「無骨な野郎だったよ。髭を生やしてて、愛想もねェし、言葉もぶっきらぼう。でも、料理だけは……まるで魔法みてェだった」
サンジはふっと笑った。
「おれは初めて、食い物ってのはただ腹を満たすためにあるんじゃねェんだって知った。そいつの料理を食った瞬間、身体の奥からじんわりと温まるような気がしたんだ」
ゾロは腕を組みながら考え込んだ。サンジがこの見世から出たがっている理由は、ただの逃亡ではない。本当に手にしたいものがあるからこそ、自由を求めているのだ。
「……お前、本当は料理人になりたいのか?」
ゾロが問いかけると、サンジはわずかに驚いたように目を見開いた。しかし、すぐにフッと小さく笑う。
「……笑うか? 男娼なんて仕事しか知らねェおれが、料理なんて」
「別に笑わねえよ」
ゾロは淡々と答えた。
「食いたいもんを食う。行きてェところに行く。なりてェもんになる。それが自由ってやつだろ」
サンジはその言葉を聞いて、静かに目を伏せた。
「……料理を作りたい」
その言葉は、自分でも驚くほど自然に口をついて出た。サンジはふっと笑い、もう一度繰り返した。
「おれは、料理を作りてェよ」
花街の夜は、まるで絹を撫でる指先のように艶やかで、それでいて冷たかった。薄暗い路地に差し込む灯籠の淡い明かりが、湿った石畳をぼんやりと照らしている。その灯りの下、ゾロはサンジの横顔を静かに見つめていた。
サンジの青い瞳は、どこか遠くを見つめるように虚ろで、それはまるで閉ざされた窓の向こうに広がる知らない世界を夢想しているかのようだった。男娼として塗り固められた仮面の奥に、誰にも触れさせたことのない願いが確かに宿っている。それは、自由への渇望——剣の斬撃すら届かない、心の奥底で燻る小さな焔。
ゾロは静かに立ち上がり、腰の刀に手をかけた。畳の上に響くそのわずかな衣擦れの音が、まるで空気の張り詰めた糸を震わせるかのようだった。
「なら、おれがお前を連れ出してやる」
ゾロのその言葉に、サンジは驚いたように目を見開いた。薄暗い灯りの下でもわかるほど、その顔は青ざめている。
「何言ってるんだ…!」
サンジは慌てて立ち上がった。そして、怯えたように後退るが、すぐに壁に背中がぶつかった。ゾロは静かに刀を抜くと、そのままゆっくりとサンジに歩み寄る。
「待て…待ってくれ! あんた、自分が何を言っているのかわかっているのか? そんな真似をすれば…あんたは殺されちまうんだぞ!」
サンジの声は震えていた。その青い瞳は恐怖と混乱、そしてどこかに滲む微かな希望で揺れていた。震える声が、薄暗い部屋の中で壁に反響し、まるで空間そのものがサンジの不安を嘲笑うかのようだった。
ゾロは立ち止まることなく、無言でサンジに近づいていく。刀の刃先は下を向き、威圧するでもなく、ただそこに「意志」として存在していた。冷たい鋼の光が、灯りの中でわずかに煌めく。
「殺される?」ゾロは低く笑った。その声には、まるで死すら意に介さないような冷淡な響きがあった。
「そんなもん、最初から承知の上だ。」
サンジは言葉を失い、ただゾロを見上げる。その目には、怒りでも哀しみでもない、説明できない感情が浮かんでいた。
「……なんでだよ。」
かすれた声が、サンジの喉から漏れる。拳を固く握りしめ、爪が掌に食い込むのも気づかないまま、ただ答えを求めるように。
ゾロは足を止め、サンジのすぐ目の前に立った。そしてゆっくりと刀を鞘に戻す。その動作は驚くほど静かで、しかしその沈黙がかえって空気を重くした。
「理由なんざねぇよ。」
ゾロは淡々と答えた。鋭い視線がサンジを貫く。
「お前がここに縛られてるのが、ただ気に食わねぇ。それだけだ。」
その言葉はあまりに単純で、サンジは思わず苦笑した。だがその笑みはすぐに消える。胸の奥で何かが溶け出すような感覚が、心地悪くも温かいものだった。
「バカか……あんたは」
サンジは小さく呟いた。声はまだ少し震えていたが、先ほどまでの恐怖とは違う何かがそこにあった。
ゾロは肩をすくめる。
「バカで結構だ。」
そして再び、真っ直ぐにサンジを見つめた。今度は剣の代わりに、ただその鋭い眼差しだけで。
「だが、お前はもうここにいるべきじゃねぇ。逃げたいんだろ?」
その問いに、サンジは口を開こうとして、すぐに閉じた。どんな言葉も、この男の前では無意味に思えた。偽る必要も、飾る必要もない。ただ、心の底にある本当の気持ちだけが問われている。 長い沈黙の後、サンジは目を伏せ、深く息を吐いた。そして、震える指先をゆっくりと緩める。
「……ああ。」
それは、囁くような小さな声だったが、確かな決意が宿っていた。 ゾロは微かに口角を上げると、再び刀の柄に手を置いた。
「なら、行くぞ。」
その瞬間、外から怒号と足音が響き渡った。見世の外で何かが起きている――否、何かが、彼らを待っている。 サンジは顔を上げ、ゾロの背中を見つめた。その背中は大きく、揺るぎない強さと、何より「自由」の象徴そのものだった。 そして、サンジは自分の足で一歩を踏み出す。
「おれも行く。」
ゾロは振り返らず、ただ一言だけ返した。
「好きにしろ。」
「ああ、勝手にさせてもらうぜ」
サンジは不敵な笑みを浮かべると、ゾロの隣に並んだ。二人の目の前に広がる道は暗く、その先に何があるのかもわからない。それでも彼らは迷いなく足を踏み出した。
「なあ、あんた名前は?」
「……ロロノア・ゾロ」
「そうか」
サンジはその名を口の中で転がすように小さく呟いた。
「ロロノア・ゾロ、ね。」
夜風が二人の間をすり抜ける。花街の喧騒が遠のいていく中、彼らの足音だけが静寂の舗道に淡く響いていた。
サンジはちらりと隣を歩くゾロの横顔を盗み見た。無骨で鋭い輪郭、深い影を落とす眉の下で、鋼のように冷えた瞳がただ前を見据えている。その目には恐れも迷いもなかった。ただまっすぐに――まるで「自由」そのものが形を成したかのようだった。
「へぇ、剣の道を歩く男にしては、悪くない名前だな。」
不敵な笑みを浮かべながら、サンジは煙草を取り出して火をつけた。煙が夜空へと昇り、まるで過去の重荷を燃やし尽くすかのように消えていく。
ゾロはちらりとサンジを横目で見たが、特に何も言わず、ただ前へと歩き続けた。その沈黙すら、妙に心地よい。
「おれはサンジ。」
わざわざ名乗る必要もないのに、そう言葉を続けたのは、自分でも不思議だった。ただ、この瞬間だけは、本当の自分の名前を知ってほしかったのかもしれない。誰かにとっての「商品」や「財産」ではなく――ただのサンジとして。
ゾロは立ち止まることなく短く頷いた。
「知ってる。」
その一言はまるで、余計な言葉など必要ないと言わんばかりの重みを持っていた。
サンジはふっと鼻で笑った。
「……そうか。」
再び二人は無言で歩き出す。その先には、追っ手がいる。家族という名の鎖が待っている。血と闇、過去と未来が交差する道のりだ。
それでも、サンジの胸の奥には不思議な高揚感があった。まるで、初めて本当の意味で「生きている」と感じられる瞬間が、すぐそこにあるような気がしてならなかった。
二人は黙って夜の街を歩いていた。花街の艶やかな光は遠ざかり、代わりに冷たい月明かりが足元を照らす。薄暗い路地には誰もいない。足音だけが、静寂の中に微かに響いている。サンジは着物の中で震える指先を握りしめた。寒さのせいではない。胸の奥で燻る、どうしようもない感情が体の中に居場所を求めているだけだった。ふと、隣を歩くゾロに目を向ける。乱暴な物言いで、ぶっきらぼうで、不器用な男。けれど――なぜか、サンジを「モノ」ではなく「人」として扱う。 それが、どうしようもなくサンジの心を掻き乱していた。
『なら俺が、お前を連れ出してやる』
あの時の言葉が、耳の奥に残っている。
守られたことなんて、一度もなかった。
誰かが自分を庇ってくれるなんて、考えたこともなかった。
誰かの「守る」という言葉が、こんなにも重く胸に響くものだとは知らなかった。
――何で、あんな顔で言うんだよ。
サンジは無意識に唇を噛んだ。まるで胸の奥で、何か小さな芽がひっそりと顔を出したような感覚。温かくて、けれど少しだけ痛い。
「……何ジロジロ見てやがる。」
不意にゾロが口を開いた。鋭い視線をこちらに向けるわけでもなく、ただ前を見据えたまま。サンジは慌てて視線を逸らし、咳払いでごまかす。
「べ、別に……。あんたの顔が不細工だから、どんなもんかと思っただけだ。」
「は? 斬るぞ。」
「やれるもんならやってみろっての。」
言葉を交わしながらも、サンジの心はどこか上の空だった。何気ないやり取りの中で、心の奥底が少しずつ温まっていくのを感じる。こんなふうに誰かと軽口を叩き合うのが、こんなにも心地いいなんて思わなかった。
ふと、ゾロの手に目が留まる。大きくて、ゴツゴツした無骨な手。けれど、その手が確かにサンジを引き留め、守ってくれた。優しいわけじゃない。ただ、当たり前のようにそこにあった。
(馬鹿だな、おれ)
サンジは心の中で呟いた。こんなことで心が揺れるなんて、きっと今までなら考えられなかった。けれど、どうしても胸の奥が騒がしい。ゾロの存在が、心のどこかに静かに染み込んでくる。 ゾロはサンジの視線に気づいたのか、こちらに目を向けた。その瞳に自分が映るだけで、胸の奥が熱くなる。それが何を意味するのかわからないまま、サンジは再び視線を逸らした。