教室の片隅で、佐野くんがいつものように本を読んでいるのが見える。小夏はその姿を少し見つめ、深呼吸をしてから、スマホを取り出した。
**LINE**
**小夏**:『佐野くん』
**佐野くん**:「なに」
**小夏**:『明日っ、放課後教室来てね』
**佐野くん**:「?おっけ」
それだけ送ると、すぐに返信が来た。軽く受け流している感じが少しだけ安心させたけれど、それでも自分の中では不安が広がっていた。明日、佐野くんに告白するなんて、今まで考えたこともなかったことだったから。
そして翌日、放課後。教室には残っている人も少なくなり、静かな空間が広がっていた。うちは緊張しながら佐野くんが来るのを待った。足元がふらつきそうで、心の中で何度も自分を励ます。
しばらくして、教室の扉が開き、佐野くんが入ってきた。いつも通り、冷静な表情だが、何となくその雰囲気がいつもと違う気がして、さらに緊張が高まる。
「佐野くん。」
うちは声をかけて、彼が自分の方を見ると、思わず言葉が詰まった。けれど、この瞬間を逃したくなくて、思い切って言った。
「うち、佐野くんが…好き。」
その一言が言えたことで、何かが少し軽くなった気がした。でも、次に続く言葉がすぐに出てこなくて、心臓が早く打ちすぎて、口から息が漏れそうになる。やばい。これは…ホントにやばい!
「彼女にならせて。」
その瞬間、佐野くんが一瞬黙って、驚いたような表情を浮かべた。
「は?」
うちはすぐに顔が赤くなり、焦った気持ちで続けた。 あ、引いてる…!?
「め、迷惑だったかな?ごめん…。」
そう言って、目を逸らした。だって、こんなに急に言った自分が恥ずかしくて、どうしても顔を見れなかったから。でも、佐野くんが何も言わないまましばらく静かに立っていたことが、逆に不安を呼び起こして、冷や汗が出てくる。
怖い。怖いよ…。
すると、佐野くんは軽く息を吐いて、少しだけ顔を近づけた。
「そんなことねぇよ。」
その言葉に、小夏は一瞬耳を疑った。信じられないような気持ちで彼を見上げると、佐野くんが続けた。
「ほら、これが証拠。」
その瞬間、佐野くんが突然うちを抱きしめた。びっくりして体が硬直したが、彼の手の温もりがじんわりと伝わってきて、あまりにも自然な動きに思わず目を閉じた。えっ…?えっ!?
「佐野くん…」
うちはそれ以上、何も言えなかった。ただ、心臓が早く打ち、胸の中が温かくなっていくのを感じた。すぐ近くで彼の呼吸が聞こえ、その声に、思わず安心した。
「これから、よろしくな。」
佐野くんの声が耳に優しく響き、さっきまでの不安が一気に溶けていった。
「うん…よろしく。」
うちはその言葉と共に、やっと落ち着いた気持ちで彼に応えた。彼の腕の中で、少しだけ力が抜け、これから一緒に歩んでいく未来が少しだけ見えた気がした
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