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『小夜っ!』
ふんわりとしたセミロングの髪が揺れる、可愛らしい声、まるでお人形のような白い肌、
私はあの子のことは今でも忘れない
忘れられない…
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拝啓 忘れられない君へ。
今でも元気にしてますか?
私は高校生三年になり順調に友達を作って勉強をしています。
何処に居るのかは私には分からないけど、咲が元気なら嬉しい。
まだ四年しか経ってないけど寂しいです。
いつか咲に会えるのを楽しみにしています。
小夜
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「小夜〜!」
穂乃果に呼ばれ目が覚める
「っ…おはよ…」
穂乃果はニコッと笑うとおはよ〜と返してくれる
穂乃果は高ニからの友達だ。多分傍から見ると親友位仲が良いように見えるだろう
「あ〜、…やっぱまだ眠い…」
再び睡魔に襲われるがなんとか耐える
その様子を穂乃果は楽しそうに見ていた
最近はなんだか穂乃果からの視線が多く感じている
チラッと時計を見ると扉がガチャリと開いた
先生だ。
穂乃果はすぐに自分の席に戻っていたようだ
私は先生が居るにも関わらずそのまま瞼を閉じた
………………………………
「痛っ…!」
「あっ…!小夜大丈夫…?」
私がカッターで指を切ると心配そうに咲が近づいてきた
「ん、大丈夫…、」
「ちょっと、ティッシュ取ってくる!」
咲はそう言うとすぐにティッシュを取って来て止血をしてくれた
「ありがと…」
私がお礼を言うと咲は嬉しそうに笑った
そして場面は変わり夏、草が生い茂った木の下、咲は私にこう告げた
「私…、引っ越すことになったよ」
「えッ…?」
…………………
「っ……!」
何だ…夢か…、
久々にあの夢は見た。
教室はガランとしていて私と穂乃果だけが居る
穂乃果も寝ているようだ
「咲…、」
私は彼女の名前を呟くように呼ぶ
「ん、…」
隣から穂乃果の声が聞こえた
「あっ…、穂乃…」
「……小夜…?」
寝ぼけて居るようだ
「おはよーございまぁす…、」
「おはよ〜、起きてぇ」
穂乃果はむくりと体を起こし目を擦った
「あッ…!」
穂乃果が思い出したかのように言う
「バイトだったっ!」
私は少し笑いバッグを持って言った
「んじゃ、早く行くよ〜!」
穂乃果と私は帰宅路に移った
翌日の放課後、穂乃果と一緒に帰っていると穂乃果はあそこで一休みしない?と川の近くの芝生を指差して言われたので二人で芝生に寝転がった
「ん〜…」
「小夜…」
私が唸っていると穂乃果は真剣な声で私の名前を呼ぶ
「どしたの、?」
「あのさ…小夜」
穂乃果は真っ赤な顔をこっちへ向け一言、言った
『好きだよ』
私は数秒停止し少し考え言う
「私…、穂乃果とは付き合えない。」
穂乃果の顔が暗くなる
「何で…?」
「私ッ…好きな人居るんだ…」
私は…咲のことは諦められない
穂乃果は悲しそうな顔になったがそれを打ち消すようにぎこちない笑顔を私に向けた
「そっか…、」
その一言を呟くように言ってあの子は去っていった…
次の日、穂乃果は普通だった
他愛のない会話をし笑い合っていた
昼休憩、穂乃果と話していたら教室のドアから息の荒い一人の少女が出てきた
「小夜…、」
懐かしい声が私を呼んでいる
振り返ると間違えるはずもない、咲だった、
私は無言で咲の元へ駆け寄り抱き着いた
咲は緩く笑って言った
「小夜…、久しぶり!」
「ん…、」
気づけば涙が溢れ出ていた
「咲ッ…、どこ行ってたの…?」
私が涙ながらに質問すると曖昧な返事をする
「ん〜、遠いどこかかなぁ…?」
「そっか…、」
私は咲にしか聞こえないような小さな声で言葉を零す
「好きだよ…。咲、」
咲は私を撫でながら言った
「うん。私も好き…、」
穂乃果side
本当は気づいていた。小夜には想い人がいることだって、相手は咲って言う人なんだって…、
小夜は寝ている時必ず”咲”と言葉を零すんだ。凄く…幸せそうな顔で…
この恋は終わらせる。忘れるんだよ
「馬鹿だなぁ…」
後ろから声がする
後ろを振り返ると一人の女の子が立っていた、
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拝啓 忘れられない君へ。
今私は違う恋をしています。
よく私を揶揄ったり笑ったりしてくるけど何だかんだ優しい人です。
ですが私は違う恋をしても貴方の事は忘れられません。ですが私はこれからもこの想いを抱いて生きていきます。
貴方も幸せになってください。
穂乃果
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〈終〉