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『塩路くんと佐藤くん』
*1*話 「*塩路くんと佐藤くん*」
「塩路のグループまじ調子のってんな」
「それな。イキってんじゃねーよってw」
「自分の事かっこいいとか勘違いしてるイタイ奴らの集まりw」
他人の悪口を言うことが生きる糧になっている哀れな奴ら。
自分よりも格上だと認識しているからこそ出てくるものだ、僻みというものは。
こんな奴ら相手にしない方がいい事は百も承知。
相手にしている時点で俺もこいつらと同じレベルだということも分かっている。
それでも俺は、俺の大切な人を馬鹿にされて黙っていられる程まだ大人じゃない。
「妬みも程々にしなよ」
輪になって陰口を叩いている奴らの背後から俺は堂々と物申す。
「出たw」
「塩路セコムw」
「いやママだろw」
今まで塩路のグループがどうちゃらって盛り上がっていた話題が途端に俺の話題へと切り替わる。
「どしたのママ〜w 我が子が心配になっちゃったかなぁ?w」
「パシリくんもさぁ〜、塩路の不満の一つや二つあんだろ?」
「言っちゃいなよ〜w 俺ら内緒にしてやるからさw」
「お前それ絶対チクるやつ〜w」
ママじゃねーし。パシリじゃねーし。
不満は、まあ、いっぱいあるけど、
俺がいる事も既に忘れたかのように、塩路達が今この場にいないことをいい事に大声で笑い飛ばすこいつら。
うぅっ……悔しいッ……。
なんで俺の大切な人の悪口言うの……。
聞きたくないのにッ……!
「あーー…俺も混ぜろよ」
「……し、塩路…」
俺よりも少し背の高いキミが俺の傍まで来て肩に手を回し、俺の視界を遮る。
「何の話?」
「い、やぁ……」
「塩路何してんの?」
「なんか俺ら抜きでおもろそうな話してたから聞いてんの」
「へー、俺も混ぜてよ♡」
俺の目を覆ったままどこかへ押し進められて行く。
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「なに泣いてんの」
机に軽く腰をかけ、俺より下の目線から俺の頬や目尻を優しくカーディガンの裾で拭ってくれる。
空き教室まで俺を連れてきてくれたらしい。
「だってぇ〜…」
なんであいつらにこいつの事あんなに言われなきゃダメなん!
思ったことをそのまま塩路に伝えた。
「泣くぐらいなら首突っ込むなよw」
頭を撫でながら「無視しとけって」、と優しく慈しむように俺に微笑みかけてくれる。
「嫌…」
「なんで?」
「だってあいつらお前のこと何も知らんのに勝手な事ばっか言っててさ…」
「うん」
「むかついたんだもん…」
「むかついちゃったか〜w」
さっきのことを思い出してまた視界がぼやけたところ、俺を優しく包み込む大好きな香りと温もり。
「俺以外に泣かされんなよ」
俺の為に泣いてくれるのは嬉しいけど、と付け加える。
「勝手に言わせとけばいーの」
そんなこと分かってるっつーの…。
「ははっ、納得いってなさそーな顔w」
俺の頬をむにむにと揉んだり引っ張ったりして遊び始める塩路。
「ブサイクw」
「はぁ!?最低っ!」
「怒った怒ったw」
「怒ってないもん」
「はいはい怒ってないもんね〜w」
「馬鹿にすんな!」
馬鹿にしてくる塩路に言い返す俺。
そんな俺の手を引っ張って2人して教室に戻った。