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爽やかな風が頬をくすぐる。最初は新鮮だった通学路も、三年目になるとどうにもつまらない。自転車で数十分ほどかかるその学校は地元では少し有名で、進学校でありながら比較的自由な校風を謳っている。
「おはよ〜」
キーンコーンカーンコーン
友「やば笑、沙良来るのギリギリすぎ」
「寝癖治んなかったのー!」
友「今日小テストあるってちゃんとわかってんの?」
「え!?それ先に言ってよ〜!!」
友「自業自得じゃん笑」
せっせとカバンを置いて自分の席に座る。
進学校なだけあって小テストが頻繁に行われているため、勉強をしないやつは痛い目をみることになる。
私は予習復習がバッチリで、少し学校に遅れたぐらいじゃなんてことない。けど…、
男友「え!沙良も勉強してねーの!?俺らやべぇw」
「勉強してないけど、あんたと一緒にしないでくんない?どーせ遊び呆けてただけでしょ?」
男友「は〜〜?お前もだろ!」
「違うし!!寝癖直してたの!」
”テスト当日に勉強しようとしてる時点で二人とも同じよ‘’
バシッ
「いった!!先生なんで私だけ叩くのー?!」
先「あんたが近くに居たからよ。」
「理不尽なんですけどー」
担任が来て、朝のホームルームが始まったため教室のざわめきが落ちつく。
私は寝癖なんか数分もあればなくなるから、遅刻ギリギリになんてならないし、小テスト当日に急いで勉強なんかしない 。
ただ、そういうちょっと抜けてるキャラのほうが友達も出来るし毎日楽しい。
キャラを作ったおかげでそれなりの青春を送れていると思う。
キーンコーンカーンコーン
先「はいじゃあホームルーム終わります。掃除に行ってくださーい」
友「沙良〜掃除行くよ!」
「はーい!」
友「___でさ笑、そいつがー」
「うん笑」
掃除、授業が終わってお昼休み。いつも私は仲の良い友達と二人で机をくっつけて教室でお昼ご飯を食べる。
バチンッッ
『さいっあくなんだけど!嘘ついてたの!?どういうつもりよ!もう知らない!』 タッタッタッ…
?「いて〜…」
友「うわ、痴話喧嘩かな?あいつ何したんだろーね笑」
「確かに笑、訊いてこよっか?」
友「え、ちょっと!」
ほんとに訊くなんてバカじゃない?!
そんな友人の声が聞こえるがお構いなしに私は男の元へ行った。
同じクラスだが、まだ話したことのないこいつの名前は確か…
‹ヒイラギ イオリ›
「柊 伊織君?だよね。ねぇ、なんの嘘ついてここ、叩かれたの?」
頬を指差しそう言うと、名前負けのしないほど顔の良いその男は、少し目を見開いてびっくりしたように見えたがすぐに、にこやかな笑顔に変わり、頬を大げさに抑えながら、
柊「俺、別に好きでもないけどあの子が好きなバンド、俺も好きだよ〜って言って、嘘ってことバレて、こうなった」
「へ〜笑なんでそんな嘘ついたの?」
柊「ただの社交辞令だよ〜笑、お友だちをたくさんつくるためには必要な嘘じゃん。」
“アンタはわかるでしょ?沙良さん”
何かを見透かしたような目で語りかけてくるこの男に話しかけるのはやめとけばよかったと今更ながら後悔した。